インタビュー

特別取材

芝大門いまづクリニック 院長 今津嘉宏先生監修

がん医療における漢方の役割

がん医療と漢方

漢方医学の役割

がん治療は、①抗がん剤による薬物治療、②手術、③ 放射線治療、の3つの「西洋医学」が治療の柱です。
最近では、「漢方医学」を西洋医学と一緒に取りいれることで、患者さんのQOL(生活の質)を考えた、よりよいがん治療ができるようになってきました。近年、がん治療に、漢方薬の効果が科学的に検証され、多くの結果が報告されています。

漢方薬が「がん治療」に役立つこと

これまで、がん治療では、がんを治すことだけに目が向けられてきました。
しかし、最近は、がん治療にともなう苦痛をとることに、注目がされています。
治療で低下する患者さんのQOL(生活の質)を維持・向上するため、
心身の状態や気力の充実など「全人的」な医療が大切になってきます。
漢方医学には、ココロとカラダは一体と考える「心身一如(しんしんいちにょ)という考え方があり、全人的な医療を実践しています。
漢方薬は、抗がん剤の副作用、手術や放射線治療の合併症、がんの進行による心身の苦痛を和らげる手段などに、たいへん期待されています。

【イメージ】漢方医学の役割

緩和ケアと漢方薬

緩和ケアとは

「緩和ケア」とは、「がんに伴う心身の苦痛を和らげて、患者さんを身体的、精神的、社会的に支えていく医療」です。
がんになると、がんや治療によって、①痛みや睡眠障害など「カラダの苦痛」が出てきます。また、②がんにかかった「精神的な苦痛」、③会社を休職、経済的負担などの「社会的苦痛」、④生きる意味や価値を見失う「スピリチュアルペイン」など、が生じます。緩和ケアは、がん患者さんのQOLを維持・向上し、自分らしく日々を過ごすために欠かせない「支える医療」です。

【イメージ】緩和ケアとは

緩和ケアで行われる医療

緩和ケアは、4つの苦痛( ①カラダの苦痛 ②精神的な苦痛 ③社会的苦痛 ④スピリチュアルペイン )に対し、薬物療法、理学療法、心理学療法など、が行われます。
そして、漢方医学も、重要な治療法となります。
漢方医学は、ココロとカラダのバランスを整えることで、病気や症状を改善します。
ひとつの漢方薬で、西洋医学の治療だけではむずかしいさまざまな症状に、効果が期待できます。
漢方薬の活躍の場は、たいへん広いものです。
まさに、患者さんの全身的な苦痛をとりのぞき、全身状態を向上させる緩和ケアに適した医療、といえます。

抗がん剤の副作用と漢方薬

抗がん剤の副作用に役立つ漢方薬

【イメージ】抗がん剤の副作用に役立つ漢方薬 抗がん剤を使ったことのある約9割の患者さんは、「倦怠感・疲れ」「食欲不振」「吐き気・おう吐」などの副作用を経験しています。しかし、その副作用を和らげるために、薬を処方された患者さんは、全体の半分にすぎません。
抗がん剤は、がん細胞だけでなく、骨髄、白血球、胃腸の粘膜など、細胞分裂の盛んな細胞にも、ダメージをあたえます。そのため、免疫力の低下、白血球や血小板の減少、貧血、食欲低下、下痢、吐き気、脱毛などの副作用が、患者さんを苦しめます。これらの抗がん剤の副作用に、漢方薬が、積極的に使われています。
薬物治療で最も大切なことは、定められた抗がん剤の量を、副作用などで中断することなく、決められた期間続けることです。
そのためにも副作用対策は大切です。漢方薬は、がん治療に大きく貢献しています。

外科手術・放射線治療と漢方薬

【イメージ】外科手術・放射線治療と漢方薬 抗がん剤の副作用だけでなく、手術や放射線治療の合併症に、漢方薬はよく使われています。
なかでも、開腹手術後におこる腸閉塞(手術後に腸の動きが悪くなり、内容物がとどこおる状態、イレウスともいう)に伴う腹部膨満感への、漢方薬の効果は広く知られています。
近年では、米国でその効果を科学的に検証する臨床試験が、始まっています。

舌がん、喉頭がん、食道がん、前立腺がんなどに放射線治療が行われます。
この放射線治療による皮膚の症状、口内炎などの合併症にも、漢方薬が使われています。

監修 / 今津嘉宏(芝大門いまづクリニック)

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