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下痢

マーク下痢のメカニズム・西洋医学の考え方

下痢とはさまざまな理由によって、「腸管に水分が十分に吸収されないために、軟らかい便が頻繁に排出される状態のこと」を言います。大きく急性の下痢と慢性の下痢に分かれますが、急性の場合はウイルスや細菌の感染、薬物などの中毒によるもの、食品アレルギーなどがあり、原因によって対応法が違ってきます。とくに細菌や中毒によって下痢が起こる場合、下痢止めを使うとかえって全身症状を悪化させてしまう恐れがあるので、注意が必要です。

急性の下痢の原因と対策
感染性の下痢 水分やミネラルの補給。下痢を止めるような薬は使用してはならない。
中毒性の下痢 原因薬物などの摂取をやめる。
食品アレルギー 原因の食物の摂取をやめる。

一方、慢性の下痢は大腸や小腸の器質的疾患(がんやポリープ、クローン病など)、糖尿病、甲状腺機能亢進症などによって起こる場合がありますが、検査を行っても原因が見つからないことも少なくありません。こうした症状、つまりはっきりした原因がないのに、下痢が続いたり、あるいは便秘と下痢を繰り返したりする場合で、ストレスが関与していると思われるときは、「過敏性腸症候群(IBS)」と診断されることも少なくありません。

慢性の下痢のうち、比較的軽いタイプ〜中等度のタイプには、腸管を刺激する香辛料入りの食べものや、消化が悪い肉や脂っこい食べものをとらない、アルコールは控えるというように、食事の内容の改善から始めていきます。それでも下痢が治まらない場合は、腸の蠕動(ぜんどう)運動を抑えて便の通りを緩やかにさせる抗コリン薬、腸の粘膜を保護する薬、腸内細菌のバランスを整えて腸を健康にする乳酸菌製剤などを使って治療をしていくこともあります。
重症の下痢で緊急度が高いときは、一定期間、絶食をして点滴だけで過ごし、腸を休ませることがあります。この場合は入院治療になります。

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マーク漢方医学ではこう診る

漢方では、体力がなく、胃腸が弱い「虚証タイプ」に下痢が起きやすいことから、薬用人参という生薬が含まれる漢方薬のグループ「人参湯類」を用いて、下痢の改善を測っていきます。その際、食欲不振や胃もたれがある人は六君子湯(りっくんしとう)、疲れや冷えがひどい人は四君子湯(しくんしとう)人参湯(にんじんとう)、食が細く、ちょっと食べただけですぐにおなかにきてしまう人、極端に寒がりな人は真武湯(しんぶとう)というように、ほかの症状も考慮します。

また、これは漢方の大きな特徴と言えますが、漢方薬には全身の状態や胃腸の状態を正常に戻すことで、下痢の症状を抑えていくという働きがあります。腸が正常に働かないというのは下痢だけでなく便秘にも共通することですから、「下痢にも便秘にも効く」という種類が数多くあります。
こうした理由もあって、過敏性腸症候群の治療に桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)をはじめとする漢方薬を用いるとよいとされています。現在、治療効果を確かめるための臨床研究もさかんに行われていて、よい効果を上げているようです。

下痢の治療で用いることが多い漢方薬
真武湯 食が細く食べすぎるとすぐに下痢をしてしまう
四君子湯・人参湯 胃がもたれて、ひどい疲れや冷えがある
六君子湯 食欲不振や胃もたれがある
啓脾湯(けいひとう) 食欲不振や腹痛などを伴う
五苓散(ごれいさん) 風邪による下痢
桂枝加芍薬湯 下痢と便秘を繰り返す(過敏性腸症候群)

なお、漢方の診察では、独特の「四診」と呼ばれる方法がとられます。前述したとおり、胃腸の具合や月経の状態、日常生活のことなど、下痢とはあまり関係ないように思われることを問診で尋ねたり、おなかや舌、脈を診たりすることがありますが、いずれも薬を決めるための手がかりになりますので、重要です。

*すべての医師がこの診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。

【監修医師 新井信】

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