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肥満・肥満症 漢方

肥満・肥満症のメカニズム・西洋医学の考え方

肥満とは脂肪組織が過剰に蓄積した状態で、体格指数(ボディ・マス・インディックス:BMI=体重kg÷身長mの2乗)が25以上を肥満*、18.5未満を低体重、中間をふつう体重としています。これは、体格指数が22のときにもっとも病気になる率が低くなるという統計成績に基づいています。このほか単なる肥満ではなく、「肥満症」という病気の場合、医学的に次のような診断基準が設けられています。

*肥満のうち、BMIが25以上30未満を肥満1度、30以上35未満を肥満2度、35以上40未満を肥満3度、40以上を肥満4度としています。

肥満症の診断基準

1.BMIが25以上で明らかな疾患(2型糖尿病・高脂血症・高血圧・痛風・脂肪肝など)を有する肥満

2.BMIが25以上で明らかな疾患がないが、上半身肥満が疑われ、腹部CTで内臓脂 肪型肥満が確認された肥満

一般的な肥満のメカニズムは単純で、摂取エネルギーより消費エネルギーの方が少ない状態が続くことにより、余剰となったエネルギーが脂肪として蓄えられることで起こってきます。したがって、この摂取と消費の比率を変えて、消費エネルギーの方を多くすれば、肥満は解消されます。

消費エネルギーの方が少なくなっている原因には、次の3つが挙げられます。

1. カロリーオーバー

食の欧米化に伴う脂肪のとりすぎ。脂肪は1gあたり9kcalで、炭水化物やタンパク質(4kcal)の倍以上のカロリーを含んでいます。したがって同じ量の食事でも、揚げ物や炒め物、脂の多い食品などがたくさん含まれている方が当然、カロリーが高くなります。

2. 食生活の乱れ

1日2食、大食い、早食い、深夜の食事のいずれも、体に脂肪をため込みやすい食事方法といわれています。

3. 運動不足

何より体を動かさなければ、エネルギー消費は見込めません。また運動不足になると、脂肪を燃焼させてエネルギーを作りだす筋肉の量も減ってくるので、基礎代謝が低下して、エネルギーを消費しにくい体になります。とくに運動不足では消費エネルギーの減少より、基礎代謝の低下のほうが問題視されています。

このほか、太った両親の子どもは太りやすいというように、肥満になりやすい体質は遺伝子によって受け継がれることが分かってきています。ただ、そうした遺伝子を持っていても、肥満になる人・ならない人がいるように、環境によるところも大きいといえます。

以上のことからも分かるように、肥満を解消するためには消費エネルギーを増やして、摂取エネルギーを減らすことが欠かせません。同時に筋肉をつけて基礎代謝を高めたり、大食い、深夜の食事をひかえるなど太りにくい生活に改めていきます。
一方、肥満症では、医師や栄養士、運動療法士などのアドバイスをもとに、食事療法、運動療法、外科的な治療、薬物療法によって治療を行っていくことになります。具体的に言うと、食事療法では、一般的に1日あたり標準体重×25kcalを目安にカロリー制限を行い、脂質はできるだけひかえて、ビタミンやミネラルを十分にとっていきます。食習慣の改善も並行します。運動療法は有酸素運動を中心に、毎日、続けて行っていきます。これでも肥満が解消されない場合、薬物療法が行われます。肥満を治す抗肥満薬は現在、日本では1剤だけ健康保険適用として認められていますが、 BMI35kg/m2以上の超肥満患者に投与されるもので、使用期間も決められています。また、日本では一般的ではありませんが、胃の一部を切除し、胃を小さくする手術もあります。

最近になって、肥満のうち内臓に脂肪がついた内臓脂肪型肥満は、糖尿病や高血圧、高脂血症、高コレステロール血症、心血管障害のリスクを高めるとして、問題になっています。腹部にたくさん脂肪が付いている「りんご型」肥満の人は、内臓脂肪型肥満の可能性が高いので、とくに肥満の解消に努めなければなりません。

肥満を予防する6つの習慣

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肥満・肥満症を漢方医学ではこう診る

漢方では、肥満には「固太りタイプ」と「水太りタイプ」があるとされ、漢方の概念である「虚・実」や「気・血・水(き・けつ・すい)」の状態から、どちらか診断していきます。固太りタイプは、主に食事のとりすぎによって起こり、水太りタイプは主に消化吸収されたものや体に取り込んだ水分がうまく代謝されないために起こると考えられています。

肥満のタイプと特徴

固太りタイプ 筋肉質でがっちりした感じ。便秘やのぼせがある
水太りタイプ 色白で、むくみや多汗がみられる。胃腸が弱い

漢方薬もそれぞれのタイプにあったものを用います。固太りタイプにもっともよく使われるのが防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)です。防風通聖散は脂肪組織を減少させることが研究から明らかになっており、今、注目されている漢方薬の一つといえます。このほか大柴胡湯(だいさいことう)を使うことがあります。ただし、いずれも下剤成分が含まれる大黄(だいおう)という生薬が入っているため、おなかをくだしやすい人には不向きです。
一方、水太りタイプには利水剤(利尿作用がある漢方薬)の防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)が第一選択となります。そのほか五苓散(ごれいさん)を使うこともあります。

さらにストレスで過食し、太ってしまったような場合は、気の異常があると捉え、気を整える漢方薬が利用されます。代表的なものに大柴胡湯や柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)大承気湯(だいじょうきとう)桃核承気湯(とうかくじょうきとう)などがあります。

肥満で用いる主な漢方薬

防風通聖散・防已黄耆湯・大柴胡湯・五苓散・柴胡加竜骨牡蛎湯・大承気湯・桃核承気湯など

もちろん漢方薬だけでは肥満は解消できません。食事内容の見直し、食事のとり方の修正、運動などと組み合わせていくことが大切です。また肥満の解消は少しずつ行うもの。漢方薬を飲んでも急激に体重が減るわけではありません。あせらず、気長に取り組んでいきましょう。

漢方の診察では、独特の「四診」と呼ばれる方法がとられます。月経の状態、日常生活のことなど、肥満とはあまり関係ないように思われることを問診で尋ねたり、おなかや舌、脈を診たりすることがありますが、いずれも薬を決めるための手がかりになりますので、重要です。

*すべての医師がこの診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。

※女性の体のしくみでも「冷え症」について解説しています。

【監修医師 吉田麻美】

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