悩み別漢方

のどのつかえ感(咽喉頭異常感症)

のどのつかえ感(咽喉頭異常感症)のまとめ

<咽喉頭異常感症とは>

「のどがつかえる」「しめつけられる」「何かできている」など、のどの違和感、異常感覚のことを言います。のどの過敏性や貧血、自律神経失調症などが原因で起こる場合のほか、がんに対する不安、不安神経症、うつ病など心因的なもの(病気)が関係している場合などもあります。

<咽喉頭異常感症の治療>

漢方医学の視点

漢方の概念に「気・血・水(き・けつ・すい)」というものがありますが、咽喉頭異常感症は気の巡りが悪い「気うつ(気滞)」によって起こる症状と捉えられています。そのため、気を巡らす治療をしていきます。

<病院での診察>

漢方の診察では、独自の「四診」と呼ばれる方法がとられます。患者さんの状態、日常生活のことなど、咽喉頭異常感症とはあまり関係ないように思われることを聞かれることもありますが、いずれも処方を決めるための手がかりになるので、大切です。

咽喉頭異常感症のメカニズム

「のどがつかえる」「しめつけられる」「何かできている」「くすぐったい」など、さまざまな言葉で表わされるのどの違和感、異常感覚のことを言いますので、鼻やのどの検査(内視鏡検査、X線検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査など)をしても、訴えに見合うだけの異常(器質的な病変)が見つからないのが、この病気の特徴です。

原因は、のどの過敏性などのどに問題があるほか、鉄欠乏性貧血や自律神経失調症、更年期障害、糖尿病などの全身の異常(病気)がある場合、うつ病、心身症、神経症など精神的なもの(病気)が関わっている場合などが考えられます。不安の背景に、がんに対する恐怖を抱いている人が多いことも知られています。
こうした原因となる背景を見つけるためには、血液検査や専用の質問用紙を使った問診票、心理テスト、医師による問診などが重要になります。例えば、「食事どきよりも、ストレスがかかったときに症状が強まる」のであれば、心因的なものが関わっている可能性が高いと考えられるわけです。

咽喉頭異常感症の原因

局所的なもの 慢性咽頭炎、慢性扁桃炎、逆流性食道炎、慢性気管支炎、甲状腺の病気、慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎など
全身の異常・病気 のどの過敏性、嚥下(えんげ:飲み込むこと)機能の低下、鉄欠乏性貧血、自律神経失調症、更年期障害、糖尿病など
精神的なもの(病気) うつ病、心身症、神経症(不安神経症、がんに対する恐怖、ヒステリー)など

咽喉頭異常感症の薬物治療

咽喉頭異常感症の治療では、原因と考えられる異常(病気)が存在するときは、まずそちらを優先し治療していきます。漢方薬もよく用いられます。精神的な要因が強いときには、不安を取り除くための心理療法(カウンセリングなど)や、薬物治療を行うこともあります。

薬物治療としては、不安・緊張状態には抗不安薬、うつ病、うつ状態には抗うつ薬、また、局所の炎症が否定できない患者には消炎酵素薬や抗生物質が、アレルギーが否定できない患者には抗アレルギー薬が、単独あるいは上記の薬剤や以下の漢方薬と併用されることもあります。
検査で異常がないことがわかっただけでも、安心して症状が治まることがありますが、改善するまで時間がかかるケースもあります。

漢方薬による治療

漢方では、「梅核気(ばいかくき)」「咽中炙臠(いんちゅうしゃれん)」と呼ばれている病態があります。昨今ではヒステリー球とも言いますが、これらは「気が上逆して咽喉を塞いでしまう病」で、まさに現代の咽喉頭異常感症だと考えられています。
漢方の概念に「気・血・水(き・けつ・すい)」というものがありますが、梅核気、咽中炙臠は気の巡りが悪い「気うつ(気滞)」によって起こる症状と捉えられています。そのため、気を巡らす治療をしていくのが、一般的です。

もっともよく用いられるのは、半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)です。気を巡らせる「理気剤(りきざい)」の一つで、うつ症状を改善させたり、不安を和らげたりする働きがあるとされています。

咽喉頭異常感症で用いられるおもな漢方薬

半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)
体力中等度で、気分がふさいで咽喉食道部に異物感がある方ののどのつかえ感、しわがれ声、不安神経症 など
茯苓飲合半夏厚朴湯(ブクリョウインゴウハンゲコウボクトウ)
体力中等度以下で、気分がふさいで咽喉食道部に異物感がある方ののどのつかえ感、しわがれ声、不安神経症 など

漢方治療では、原因と考えられる異常(病気)が存在するときは、まずそちらを優先し治療していきます。その他にも、患者さんの訴えや体質などから、いくつかの漢方薬が選ばれます。

気血の巡りを良くして和解させる小柴胡湯(ショウサイコトウ)に前出の半夏厚朴湯を加えた柴朴湯(サイボクトウ)をはじめとする、柴胡剤(さいこざい)が応用されることもあります。咽喉頭の乾燥感が強い場合には、麦門冬湯(バクモンドウトウ)が良い場合もあります。鼻炎や副鼻腔炎などにより鼻閉や、後鼻漏(鼻汁が口腔内に分泌されること)がある場合には、辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)小青竜湯(ショウセイリュウトウ)葛根湯加川キュウ辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)を服用することによって改善する場合もあります。

漢方の診察では、独自の「四診」と呼ばれる方法がとられます。患者さんの状態、日常生活のことなど、咽喉頭異常感症とはあまり関係ないように思われることを聞かれることもありますが、いずれも処方を決めるための手がかりになるので、大切です。

*すべての医師がこの診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。

【監修医師 金沢大学医学部附属病院 漢方医学診療科長・臨床教授 小川 恵子先生】

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