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むくみ

マークむくみのメカニズム・西洋医学の考え方

私たちの体はつねに一定の水分量を保っており、飲み物から水分を補ったり、尿などから排出されたりして、その量を調整しています。体内の水分は、細胞内と血液中、それ以外(細胞と細胞の間など)の3箇所に存在し、その間を行き来することで、細胞や血液の濃度が均等になるようにしています。ところが、この水分の行き来が何らかの理由で障害され、血液と細胞以外の部分によぶんな水分が蓄積されてしまうと、むくみ(浮腫)が見られるようになります。
こうした水分バランスの異常が起こる原因はさまざまで、食べすぎや塩分の摂りすぎ、飲みすぎといった飲食が影響しているケース、睡眠不足などの生活が影響しているケースのほか、腎臓や心臓などの病気、生理(月経周期)や妊娠、薬、手術の影響でも起こってきます。なお、病気によってむくみが出る場合、まぶたなら糸球体腎炎やネフローゼ症候群、足なら下肢静脈瘤(りゅう)というように、特定の部分だけに生じることもあります。

むくみの原因
一過性のもの 食べすぎ・塩分の摂りすぎ・飲みすぎ・飲酒・睡眠不足・睡眠のとりすぎ・立ちっぱなしなど
病気 急性糸球体腎炎・ネフローゼ症候群・腎不全・肝硬変・心不全・下肢静脈瘤・甲状腺機能低下症など
その他 月経・妊娠・薬剤によるもの・手術あと(リンパ浮腫)・体質的なものなど

病気によるむくみが疑われた場合、血液検査や尿検査、レントゲン検査など必要な検査を行って病気を特定し、診断が付いたらその病気や障害に対して治療を行ったり、食事療法を試みたりします。同時に利尿薬などを使って、むくみをとることもあります。
それに対し、一過性のもの、月経や妊娠によるもの、体質的なものなどは、とくに治療をせず、そのまま様子をみることが多いです。

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マーク漢方医学ではこう診る

漢方の場合、独自の考え方からむくみの原因を探り、必要なら治療を行っていきます。 漢方の概念には、「気・血・水(き・けつ・すい)」というものがあります。「気」は生命エネルギー、「血」は血液とそのはたらき、「水」は血液以外の水分と考えられています。この「水」に異常をきたす「水毒・水滞」になるとむくみが出るというのが漢方の考え方です。
「水」に異常をきたす原因の一つが、「腎(じん)」の機能低下です。「腎」とは五臓六腑のひとつで、西洋医学のように腎臓というひとつの臓器だけを指すのではなく、水分代謝、ホルモンバランス、成長、記憶力などを受け持つところです。
たとえば腎の代表的な働きとして、食べものの吸収や代謝、排出があります。腎は食事で摂った食べものや飲みものを「気・血・水」に変えて、全身に運ぶはたらき(専門用語では「気化作用」と言います)があります。その一方で、「気・血・水」にならなかった成分や、必要の無くなった成分を、汗や尿などの「水」として排泄させるはたらきもしています。
このように、腎がうまく機能していれば、「気・血・水」は正常に保たれるので、私たちは健康で元気でいられますし、機能しなくなれば「気・血・水」に異常をきたし、乾燥やむくみが出る、成長や発育がとまる、精気が失われる、記憶力が低下するといったさまざまな症状が出てきます。とくに排泄がうまく行われないと、水が滞る「水毒・水滞」の症状が強く表れます。

漢方でむくみを改善させる場合、この「腎」によって「水」が滞るという状態を重視して、「利水剤」と呼ばれる漢方薬を処方していきます。漢方の利水剤は、体がどんな状況でも尿を出させてしまう西洋薬の「利尿薬」とは大きく異なり、「よぶんな水分だけを出して、いい水分バランスに調整する」というはたらきをします。

むくみの治療で用いることが多い漢方薬
五苓散(ごれいさん)、猪苓湯(ちょれいとう)、八味地黄丸(はちみぢおうがん)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)、菌陳五苓散(いんちんごれいさん)など

月経前や月経中のむくみには上記の漢方薬のほか、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)桂枝茯苓丸(けいしふくりょうがん)なども用いることがあります。このほか、腎の機能が低下する背景に胃腸障害や加齢による変化、血行不良、冷え、虚弱体質などがある場合は、その根本的な原因を解決する漢方薬が処方されることもあります。
西洋医学的にあきらかに腎臓や肝臓、心臓などの臓器に異常が見られる場合(ネフローゼ症候群・腎不全など)は、西洋薬を中心に治療を進め、補助的に漢方薬を使うことが多くなります。

漢方の診察では、独特の「四診」と呼ばれる方法がとられます。一見、むくみとはあまり関係ないように思われることを問診で尋ねたり、お腹や舌、脈を診たりすることがありますが、これもむくみの根本的な原因を探るために必要な診察です。
また、体質改善を目的にする場合は長期にわたる服用が必要となりますので、忘れずに根気よく飲み続けることが、むくみ改善の最大の鍵となります。同時に漢方薬だけに頼らず、食べすぎや飲みすぎに注意し、規則正しい生活習慣を送ることも大切です。

*すべての医師がこの診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。

【監修医師 関口由紀】

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