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うつ・うつ症状とは、「何となく気持ちが滅入る」「落ち込む」「気分がふさぐ」といった、心の状態を言います。「うつ状態」「抑うつ状態」という言葉を使う場合もあります。
こうした感情は失恋したり、試験に失敗したときにも起こる、ごく自然なものですが、うつ・うつ症状が長く続いたり、日常生活に支障をきたしたりする場合は、うつ病をはじめとするさまざまな病気が原因となっている可能性がありますので、一度、きちんと専門医を受診したほうがよいでしょう。
うつ・うつ症状が起こりやすい病気には次のようなものがあります。他の病気で服用している薬剤でうつ・うつ症状が起きる場合もあります。
| 病気 | うつ病・神経症・心身症・統合失調症・PTSD(心的外傷後ストレス障害)・パーキンソン病・脳血管障害(脳卒中など)・認知症・膠原病・糖尿病・肝臓病・インフルエンザ・アルコール依存症など |
|---|---|
| 薬剤 | インターフェロン(C型肝炎の治療薬)・ステロイド薬・一部の抗うつ薬・ピル(経口避妊薬)など |
うつ・うつ症状とうつ病とを区別するのは、非常に難しいので、私たち一般の人が両者を見極めることはできません。ただ、アメリカの精神医学会(APA)が作ったDSM-IV(精神疾患の分類と診断の手引き)では、次のようにうつ病(DSM-IVでは「大うつ病性障害」という名前になっている)を定義していますので、参考になるかもしれません。
上の項目のうち、(1)か(2)を含む5つの項目が同時期に2週間以上続く場合、うつ病と診断されます。
単なるうつ・うつ症状である場合、基本的に治療は行わず、ストレスの原因をなくす、できるだけ休息を取るようにするなど、日常生活の改善などで症状の改善を図っていきます。一方、うつ病と診断された場合は、うつ病の治療(薬物治療など)を行っていきます。主に抗うつ薬が用いられますが、最近では依存性や副作用の少ない薬が使われています。同時に心理療法(カウンセリングや認知療法など)を行う場合もあります。不眠や強い不安感を訴える場合は、睡眠薬や抗不安薬を併用します。
最近は軽症のうつ病を患っている人が増えていますが、早期に治療を始めるほど、治療の効果は早く確実に現れることが分かっていますので、「一時的なものだから」「精神科は敷居が高い」といって放っておかずに、一度、受診するとよいでしょう。

漢方医学の考え方には「気・血・水(き・けつ・すい)」というものがあります。うつ・うつ症状は、体を巡る生命エネルギー「気」がスムーズに流れていない状態と捉えられ、気の流れを整える漢方薬を中心に、気持ちを鎮める作用のあるものも加えたりして、症状に対応していきます。
ただ、今のところうつ病に対しては抗うつ薬が第一選択薬となり、漢方薬はどちらかというと、うつ・うつ症状がある人、軽症のうつ病の人に用いたり、抗うつ薬などの西洋薬と併用したりするケースが多いようです。また抗うつ薬の副作用対策として、漢方薬が使われることもあります。具体的には、実証、虚証などの「証」に応じて、次のような漢方薬が使われます。
| 実証 | 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)・大柴胡湯(だいさいことう)・大承気湯(だいじょうきとう)など |
|---|---|
| 虚証 | 加味逍遙散(かみしょうようさん)・加味帰脾湯(かみきひとう)・帰脾湯(きひとう)・香蘇散(こうそさん)・柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)など |
漢方の診察では、独特の「四診」と呼ばれる方法がとられます。一見、ご自身の症状とはあまり関係ないように思われることを問診で尋ねたり、お腹や舌、脈を診たりすることがありますが、これもうつ・うつ症状が起こる原因を探るために必要な診察です。また、体質改善を目的にする場合は長期にわたる服用が必要となります。忘れずに根気よく飲み続けることが、症状改善の最大の鍵となります。もちろん漢方薬だけに頼らず、ストレスや疲れをためず、生活のリズムを守ることも、うつ・うつ症状の改善には必要です。
*すべての医師がこの診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。
【監修医師 西田愼二】