漢方ビュートップ > お医者さん教えてトップ > 女性ドクターに診てもらいましたトップ > 「全身の疲れが抜けないんです」


肩こりと目の疲れ、慢性疲労にお悩みの吉田さん。「最近は、仕事を終えて自宅に戻っても、ぐったりして何も手につかない状態。まずこの疲れを何とかしたい。あわせて肩こりや目の疲れも改善できればいいですね」。

お茶の水女子大学を卒業後、中央官庁入省(国家公務員T種)。イギリス・オックスフォード大学大学院に留学中、漢方に出会う。帰国後、退職して東海大学医学部に学士入学。2002年から東京女子医科大学附属東洋医学研究所に勤務。著書に『漢方で健康美人になる20の方法』(実業之日本社)。

注) 事前に病院で実際に使用している問診票に書いてもらい、その内容にそって診察を進めていますが、当記事では体験者のプライバシーを考慮して仮名とし、診察内容をすべて掲載しているわけではありません。
木村先生:お悩みは“疲れ”、ということですが。
吉田さん:はい。会社のほかに習い事をしているので、毎日、仕事が終わってからレポートを書いたりしています。忙しくても、これまでは何とかがんばれたんですが、2、3か月ぐらい前から、どんなに休んでも疲れが全然抜けなくなって。全身がだるくて仕方ないんです。
それから、肩こりや目の疲れもあります。どっちも前からあったんですが、ここ1か月ぐらいは特にひどいです。肩というより、腰から首までがコチコチになっている感じっていうんでしょうか。マッサージにも通ったこともありましたが、すぐにもとの状態に戻ってしまうので、今は通っていません。
木村先生:そうですか。では、ちょっと肩の状態を診させてくださいね。(吉田さんの背中側にまわって背中から首までを触診)あら、本当。これは、かなり硬くてこっていますね。
(イスに戻り)もう少し質問させてくださいね。食欲、睡眠はどうですか。
吉田さん: 昨年の秋に一時的に食べられなくなりましたが、今はふつうに食べています。食欲もあると思います。睡眠は、すぐ眠れるんですけど、途中で起きてしまうことが多いです。
木村先生:なるほど。眠りが浅く、途中で起きてしまう、と。
では、ちょっと舌を診せていただけますか。
木村先生:舌に白い苔がついていますね。これは舌苔(ぜったい)と言って、胃腸が弱っているときなどに現われるサインなんですよ。お顔を診たところ、口の周りにもニキビができていますよね。これも同じく、胃腸が弱っているサイン。吉田さんご自身、あまり気づいていないようですが、ちょっと胃がお疲れのようですね。最近、脂っこいものが食べられなくなったとか、お肉を食べなくなったとか、胃腸の方で変化はありませんか?
吉田さん:そういえば、このところ揚げものを食べていません。お肉も全然、大丈夫だったんですけれど、食べようとしても胃が受け付けないというか。思い出してみると、確かに胃が疲れているような気がします。
木村先生:夜遅くに食べていませんか?
吉田さん:あ、確かに寝る前に夕食を取ることが多いです。
木村先生:夜遅くの食事は、睡眠に影響してしまうんですよ。眠れなくなっちゃうのね。それによい睡眠がとれないと翌朝に疲れが残ってしまう。途中で起きてしまう、疲れやすいというのはこうしたことが原因の一つかもしれませんね。もちろん、胃腸にもよくありませんよ。
吉田さん:そうですか。
木村先生:もちろん、それ以外にもストレスの影響もあります。ストレスって簡単なようで、意外とやっかいなんですね。「こういう症状なら、ストレスが原因」と言える典型的な症状がなく、結局、その人のもっとも弱い部分に症状が現れることになります。例えば、皮膚が弱い人は肌トラブルとして、お腹が弱い人は胃腸不良などとなって現われる、と言う感じですね。吉田さんは胃腸と目と筋肉に出ているのでしょう。
木村先生:(脈診・腹診を終えて)吉田さんは漢方医学の概念で言う五臓六腑のうちの「肝」の機能があまりよくないみたいですね。
吉田さん:え、「肝」ですか? 肝臓のことですか?
木村先生:少し違うかな。肝臓だけではなく、肝臓が行っている働きなどもすべて「肝」に含まれるんですね。その概念で言うと、筋肉や目、自律神経なども「肝」の影響を受けているので、「肝」の機能が悪くなると、目の疲れや肩こり、睡眠障害などが現れてきます。
さらに吉田さんの場合、どうやら「肝」の影響を受けて、「脾」の機能も低下しているようですね。「脾」というのは、胃腸のことです。
吉田さん:あの、「脾」が弱くなってきたって言うのは、何で分かるんですか?
木村先生:舌苔や口の周りのニキビは「脾」の機能低下の印ですね。それから腹部を診察したときに、右肋骨の一番下や、みぞうちのあたりを触れたときに不快感を感じませんでしたか?
吉田さん:確かに、右のわき腹あたりを押されたとき、ちょっとだけ痛みを感じました。
木村先生:吉田さんの場合、肝の機能を調節する漢方薬のうち、「抑肝散(よくかんさん)」、あるいは抑肝散にミカンの皮などの生薬を加えた「抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)」がいいかもしれません。
今現在、疲労、肩こり、目の疲れ、胃腸の機能低下など、たくさんの症状お持ちですよね。それらをいっぺんにとるのは難しいかもしれませんが、飲んでいると一つの症状がとれたり、気にならない程度まで改善したりしてきます。まずは、現在、胃腸もお疲れのようですので、抑肝散加陳皮半夏を2週間飲んでもらって、様子を見ましょう。
それから、吉田さんは無理をしちゃう性格のようなので、もう少し体のサインに気づいてあげて、早めにケアをしてあげてくださいね。
吉田さん:はい。今日はありがとうございました。

吉田恵子さん(34才・仮名)最初、先生から「胃が弱い」と言われたときはよくわかりませんでしたが、話を聞いていると、当てはまっていることが多く、驚きました。胃腸のこともそうですが、これまでは先生が話していた「体のサイン」を見逃していたようなので、今度からはしっかりサインを受け止めて、早め早めにケアしていこうと思います。