漢方ビュートップ > お医者さん教えてトップ > 女性ドクターに診てもらいましたトップ > 「腰の痛みと冷えに困っています」


腰の痛みと冷えにお困りの橋本さん。「腰痛がひどくなったのは10年ぐらい前から。整形外科で診てもらったこともありますが、“様子を見ましょう”と痛み止めしかもらえず、がっかり。漢方なら根本的なところから治してもらえそう。期待しています」。

日本プライマリ・ケア学会専門医。日本内科認定医。
1997年和歌山県立医大卒。 98年より城南福祉医療協会大田病院で一般内科医として勤務。2003年同病院付属 大森中診療所副所長を経て、05年横浜朱雀漢方医学センター、副センター長就任。 2005年7月より東邦大学東洋医学科客員講師。
プライマリ・ケアの外来で働く中で、患者さんの様々な訴えに対し西洋医学だけでは 対処しきれないと考えて漢方医学に興味を持ち、現在に至る。
「こんなことを相談してもいいの?」とためらうようなことでも構いません。健康に関するどんなことでもご相談ください。
東邦大学医療センター大森病院の詳しい情報については『漢方のお医者さん探し』で
注) 事前に病院で実際に使用している問診票に書いてもらい、その内容にそって診察を進めていますが、当記事では体験者のプライバシーを考慮して仮名とし、診察内容をすべて掲載しているわけではありません。
※悩み別漢方で「冷え症(冷え性)」「腰痛」を解説しております。
高岡先生:こんにちは。今日はどうされましたか?(問診票を診て)なるほど、腰痛と冷えを治したいということですね。
橋本さん:はい。今日のように寒い日は服を着込んで防寒対策はしているのですけど、それでも冷えてしまって。寒いと腰痛もひどくなります。
高岡先生:それはとてもお辛いでしょう。漢方で何とかしていきましょうね。漢方の場合、腰痛のお薬というより、腰痛を引き起こす原因を改善するためのお薬を見つけていくような感じになります。そのためにいくつかお話を伺っていきたいと思います。まず腰痛ですが、症状が始まったのはいつぐらいからですか。
橋本さん:10年ぐらい前です。はじめはそれほど痛くなかったけれど、30歳を過ぎてからひどくなりました。
高岡先生:病院には行かれましたか?
橋本さん:整形外科で診てもらったことがあります。そのお医者さんは「少しだけヘルニアが出ているようです」と言っていました。どうしたらいいか聞いてみたら、「様子を見ましょう」と言って、痛み止めを処方してくれただけでした。
高岡先生:そのお薬は飲みましたか?
橋本さん:いいえ。痛み止めって症状だけを押さえ込む感じがしませんか? だから何となく腑に落ちなかったので、飲んでいません。
高岡先生:確かにそうですね。痛み止めは頓服ならいいと思いますが、常用すると胃腸障害が起きたりするので、あまりおすすめできませんね。腰痛は1日のなかでいつ、とくにひどくなりますか?
橋本さん:朝、起きたときです。
高岡先生:そうですか。次に冷えについて伺いますね。昔から冷えを感じていましたか。しもやけになったことはありますか?
橋本さん:小さい頃から冷え症だったと思います。実は母もひどい冷え症なので、母親譲りなんです。しもやけは小さい頃よくできていました。
高岡先生:冷え症の体質がもともとあるわけですね。 腰痛と冷え以外に不調なところはありませんか。
橋本さん:全然、冷えと関係ないかもしれませんが、のどがすぐに痛くなります。かぜもひきやすく、去年は何度か寝込んでしまいました。
高岡先生:お通じや胃腸の状態、月経はどうでしょう。
橋本さん:便秘ではありませんが、食後におなかが張ってガスが溜まっている感じがします。胃腸はとくに大丈夫みたいです。月経は順調です。
高岡先生:月経の前後にとくに腰が痛むことはありませんか。あるいは腰の痛みがひどくなるとか。
橋本さん:そうなんです! 月経前から月経が始まって2、3日ぐらいまで、痛みはひどくなります。周囲の人にあたってしまうので、本当に申し訳なくて…。
高岡先生:その気持ち、よくわかります。これまでのお話からすると、橋本さんご自身がおっしゃっているように腰痛は冷えからきているようですね。では、脈と舌、お腹を診させてください。診察をしていきたいと思います。
(脈診中)
高岡先生:あら、橋本さん、どちらかというとすぐに緊張しやすいのではありませんか?
橋本さん:え? そうです、その通りです。でも、どうしてわかるんですか?
高岡先生:脈でわかるんですよ。橋本さんの場合、左側の脈が右側に比べて強い。こういう方は緊張しやすいんですね。次に舌を診させてください。
(舌診中)
高岡先生:非常によい状態ですね。舌苔(ぜったい)もあまりついていませんし。ただちょっと色が紫っぽく、薄い感じがします。これは血行不良で、体が冷えていることを表しています。最後におなかを拝見しますね。
(腹診中)
高岡先生:足の付け根が突っ張っていて冷えの影響を受けているようですが、おなかそのものはあまり冷えていませんね。かなり冷えには気をつけていらっしゃるでしょう。それがよく分かります。それから、ここはどうですか?
橋本さん:押されるとちょっと痛いです。
高岡先生:先ほどおなかが張るっておっしゃっていましたが、確かにそのようですね。
高岡先生:(診察を終えて)やはり冷えが根本的な原因になっているように思います。女性にとって冷えは「万病の元」と言われるくらい、体によくないんですよね。さきほど腰痛は朝ひどくなる、痛みが一番強いとおっしゃっていましたが、体は夜間、もっとも体温が低くなるんですね。そのため朝に痛みが出るのでしょう。また、月経のときにひどくなるのも、血行不良によって体が冷えるからです。腰痛だけでなく、お腹の張りもかぜをひきやすいのも冷えの影響だと思われます。
橋本さん:どうしたらいいでしょう。
高岡先生:一般的にその場合、最初に何をしなければならないかというと、ライフスタイルを変えるということです。
橋本さん:どういうふうに変えればいいのでしょうか。
高岡先生:まずはお洋服ですよね。薄着ではなくしっかり着込む。この点、橋本さんは良くできています。重ね着の仕方がファッショナブルで、お手本にしたいくらいですね。
橋本さん:腹巻きしていますしね(笑)。
高岡先生:次はお食事です。“冷たい食べ物や飲み物をとらない”ということですが、こちらはどうですか?
橋本さん:温かいものを極力選んでいます。ただ、よくのどが痛くなるので、いつも何か飲んでいます。よくありませんか?
高岡先生:よくありませんね。最近、水分のとりすぎで冷える方が多いんですよ。乾燥予防に飲み物をとっても、実は思ったほど潤わないものなんですね。逆に水分のとりすぎで必要なところが潤わず、不必要なところに水が溜まる“水毒(すいどく)”という状態になることがあります。あとでのどの乾燥やかぜ予防におすすめの漢方薬を処方しますから、まずはそちらを服用するといいでしょう。
橋本さん:ありがとうございます。
高岡先生:あと冷え対策としては、ウォーキングなどの運動とぬるめのお湯で入浴すること。いずれも体の内側から冷えをとる方法で、私も実践しているんですよ。リラックス効果もありますから、緊張しやすい橋本さんのような方は、ぜひ、日常的に取り入れていくといいかもしれませんね。
橋本さん:やってみます!
高岡先生:橋本さんは小さい頃にしもやけになるなど、もともと冷え体質をお持ちでいらっしゃいますよね。冷えないための工夫をいろいろとされているようですが、それだけでは冷えを完全に解消するのは難しいかもしれません。漢方薬であと一押ししてあげるといいでしょう。冷えを改善するのによい漢方薬は、ちょっと長い名前ですが、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)です。暖房器具がなかった昔の人たちが冷えから来る不調を解消するために編み出した処方なんですよ。
橋本さん:ふぅん、そうなんですか。
高岡先生:そうなんですよ。ただ、体を温める生薬は辛くて飲みにくいことがあります。また、地黄・当帰などの生薬が配合されているものでは、胃腸の弱い方だと胃腸障害がくることがあります。橋本さんはこれまで漢方薬をお飲みになったことありますか。
橋本さん:名前は忘れてしまいましたが、昔、お医者さんに処方してもらったことがあります。苦かったけれど、飲みにくくはありませんでした。
高岡先生:でしたら大丈夫でしょう。胃腸もそれほど弱くないようですので、このお薬でいいと思います。
橋本さん:はい
高岡先生:それからもう1剤、乾燥を予防するお薬ですが、こちらは桔梗湯(ききょうとう)と言い、とても甘くて飲みやすいお薬です。私ものどが痛いときに飲みますが、お薬をぬるめのお湯に溶かして飲むと、のどがとても潤って調子がいいんですよ
橋本さん:なんだかおいしそう(笑)。ぜひ、やってみたいと思います。
高岡先生:まずはこの2つのお薬で寒い時期を乗り越えましょう。がんばって!
橋本さん:はい! がんばります!

橋本静香さん(35才・仮名)まず、質問が多いのに驚きました。お通じのことや月経のことなど、腰痛や冷え以外のことまで聞くんですね。その流れでのどの乾燥について話しましたが、結果としてそちらのお薬もわかったわけですから、ちょっとお得な気分です。
高岡先生は話をとてもていねいに聞いてくださったので、安心していろいろと話すことができました。どうやら私の冷えとそれに伴う腰痛はそうとうガンコそうなので、漢方薬でしっかり治していきたいと思います。