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先生の健康アドバイス

第1回 早乙女智子先生

PROFILE

1986年、筑波大学医学専門学群卒業。
1986年から1991年まで国立国際医療センターで研修医・レジデント・臨床薬理学教室RHRについて広い視野から学ぶ。
1995年、世界性科学学会にてPOSTER AWARD受賞。
1997年、性と健康を考える女性専門家の会(堀口雅子会長)発足。
2002年、明治薬科大学大学院非常勤講師。
2003年、ふれあい横浜ホスピタル勤務。
2004年、東海大学健康科学部看護学科非常勤講師。
2006年より神奈川県立汐見台病院産婦人科勤務。
自身の5回の妊娠のうち、流産や子宮外妊娠を経験して無事2人の子を出産。
日本性科学会セックスセラピスト認定、日本産科婦人科学会シンポジスト、
日本性感染症学会評議員、日本人口学会シンポジスト。
著書:『30代からの妊娠・出産』(永岡書店)、『避妊』(主婦の友社)、
『13歳からの「恋とからだ」ノート』(新講社)、他多数。

先生の健康アドバイス

●旬の素材を食べて、カラダにパワーを
食事では、旬のものを食べるように心がけています。今ならタケノコやタラの芽など、おいしいですよね。採りに行くことはできませんが、スーパーなどではなるべくそういうものを選んで買って、食べるようにしています。
旬のものを食べる?。これはとても大事なことなんですね。
(注:2008年3月に取材しております)
ヒトは60兆個の細胞でできていて、その細胞は半年ぐらいの期間で入れ替わります。野菜や肉、魚など、いろいろなものの命を、新しく生まれる細胞の糧にしているのです。
残酷なようですが、同じ命でも、失ってからだいぶ時間が経った「へたった命」をいただくのと、季節や土地の力がまだ残っている「生き生きしている命」をいただくのとでは、意味がぜんぜん違います。季節や土地の力が残る命、採れたての命を「いただきます。ありがとう」と感謝しながら食べることで、その命の力が自分の実となり、周囲のいろいろなものに恩恵をもたらす力になるのです。

●ケーキ作りで「待つ時間」を楽しむ
仕事は当直があったり、緊急手術やお産が入ったりするので、生活はとても不規則。睡眠時間はバラバラですが、当直前の夕方の空き時間に仮眠をとったりして調整しているので、寝不足でつらいとか、疲れがたまって動けないということはあまりないですね。
それでも、たまに仕事が忙しくて疲れがどっと出ることがあります。そういうときは自宅で飼っているミドリガメに癒してもらっています。気持ちよさそうに泳いだり、手足を伸ばして日光浴をしたりする姿を眺めていると、時間に追われて、あくせくしている自分がなんだかばかばかしく思えてきて(笑)。カメの観察は、いい息抜きになっています。
また、休日にはケーキやプリンを焼いたり、刺し子でフキンを作ったりしています。休日も研究会などがあって出歩くことが多いのですが、ちょっとした合間をみて、そうした作業をしています。周りから「忙しいのに、どうしてそんな手間がかかることをするの?」と聞かれますが、時間がかかる作業をあえてすることで、「待つ時間」を楽しんでいるのです。ケーキなら家族で一緒に食べるという楽しみもできますしね。それに、仕事とはまったく別の作業に没頭する、とくに細かい手作業をしていると、頭がリセットされてONとOFF の切り替えがスムーズにいくんですね。

漢方ビュー読者にメッセージを

●女性は”愛される”より”愛せよ”
外来にはストレスでがんじがらめになっている女性がたくさんいらっしゃいます。月経不順や不妊症を訴えてこられる患者さんでも、よくよく話を聞くとストレスが絡んでいるケースが少なくありません。
そういう患者さんのなかには、日常の不満ばかり言ったり、人のせいにするような言葉を口にする方がいます。とにかくいろいろなことに対して不満だらけで、それが結果的にストレスになっているんですね。女性の場合、仕事のことだけでなく、夫婦間や親子関係もストレスの原因になりやすいので、不満を感じるのも仕方のないことなのかもしれません。

ただ、私はそういう方に対して、「愛されるより、周りを愛してみてはどうでしょう」とお話ししています。「”誰かに何かをしてもらって当然”という発想を180度変えて、母親がわが子に対するのと同様な、見返りを求めない愛情を、仕事先の人や家族に注いでみてほしい!」と(たとえ苦手な人であっても)。
そうすると、周りの人たちまでもが穏やかになってきて、自分自身のストレスもなくなっていくんです。実際にそれで月経が順調になったり、赤ちゃんを授かったりした方もいらっしゃるんですよ。

●今だけでなく、5年、10年先の自分を大事に
女性の体のしくみでは女性の年齢によるカラダの変化やホルモンの変化など、基礎的なことが学べます。今や未来の自分のための情報源のひとつとして、ぜひ活用してほしいですね。
わたしが医師になって20年あまり。長年、おつきあいしている患者さんもいますが、なかには、昔はあんなに美人だったのに、どうしてこんなにやつれてしまったのだろうと思う方もいます。
女性は健康にとても関心があって、それはとてもいいことですが、今の自分と同じくらい5年先、10年先の自分にも関心を持ってほしいですね。歳をとったときに自分のカラダの状態を、良いことも悪いことも含めてきちんと知っておいて、そのときのために体づくりをしたり、趣味を始めたり、仕事の量を減らしたシミュレーションをしたりするなど、今からできることがあったら、やっておいてほしい。そうやってコツコツとやっていったことが、結果的にいい歳の取り方につながっていくのですから。
人は歳の重ね方で、受ける印象がすごく変わってきます。それが自分の満足のいく結果ならいいですが、"どうしてこんなふうになってしまったのだろう"とあとで悔やまないように、そのためにも5年、10年先の自分を大事にしてほしいと思います。

(2008年3月取材)