漢方ビュー通信

花粉症になりやすい人、なりにくい人。その違いとは?

花粉症になりやすい人、なりにくい人。その違いとは?

いよいよ今年も花粉が舞う時期になり、鼻水に涙、くしゃみで顔がクシャクシャになってしまうことを心配している人も多いかと思います。ですが、中には花粉症にまったく縁のない人がいるのも確かです。

では、一体どのような人が花粉症になりやすいのでしょうか。
また、すでに花粉症を発症していたとして、どのような方法で和らげることができるのか…気になるところですよね。

そこで、今回は薬剤師である筆者が、花粉症になりやすいタイプと対処法について解説します。

花粉症が起こる仕組み

まずは、花粉症が起こる仕組みを簡単に解説します。

花粉症は、カラダが花粉を“アレルゲン(アレルギーの原因となる抗原のこと)”と認識することからはじまります。
花粉がアレルゲンであると認識したカラダに対して、いざ花粉が侵入すると、カラダを守るためにIgEという抗体が過剰に作り出されます。
このIgE抗体が原因となって、鼻や眼などが刺激され、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状を起こすとされています。

花粉症になりやすいタイプとは

花粉症になりやすいタイプとは

花粉症は過剰な炎症反応のひとつで、炎症物質であるヒスタミン、ロイコトリエン、トロンボキサンA2、プロスタグランジンDなどが大量に遊離することで起こります。
そのため、この炎症を誘発するような食生活を送っている人に、症状が発症しやすいことが考えられます。

その食生活の内容としては大きく2つ、「油の質」と「腸にダメージを与える食事」が関係しています。

まず、油については、紅花やトウモロコシ油、ごま油、大豆油などのオメガ6脂肪酸である植物油脂の摂り過ぎです。じつは、オメガ6脂肪酸は、体内で炎症物質の材料となりますが、一方で魚やナッツなどに含まれるオメガ3脂肪酸は炎症を抑える物質を作ります。
このオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸は、ともに必須脂肪酸ではありますが、その摂取バランスが乱れると炎症体質になります。
炎症の原因となるオメガ6脂肪酸の比率は、オメガ3脂肪酸の4倍以内にとどめておくことが理想とされています。ですが、現代では無意識に生活していると、なんと50倍もオメガ6脂肪酸を摂取してしまっているケースも多いようです。

次に、腸についてです。
食べ物を食べると、消化管を通りながら分解され、フィルターのような役割をしている腸から必要なものが分別され吸収されていきます。ですが、小麦製品や乳製品、アルコールなどの過剰摂取があると腸壁にダメージを与え、腸壁のフィルター機能に異常にきたし、カラダに有害な影響を与える物質までも体内に取り込んでしまうことがあります。
これも炎症を誘発する原因のひとつになります。

花粉症には漢方薬もおすすめです

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花粉症の症状軽減には、食事内容も大きく影響することがわかりました。また、油の質と腸の状態に注目した食事を意識することは大切です。
ですが、どうしても症状が出てきてしまったときには、市販の抗ヒスタミン薬などに頼るのが一般的です。しかしながら、その種類も多く、眠気などの副作用を不安に思う人も多いでしょう。
そのような人には、漢方薬もおすすめです。

花粉症による目のかゆみやくしゃみ、鼻水などの改善に役立つ漢方として「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」が有名です。また、そのほかにも体質や症状に合わせていくつか処方があるので、花粉症の薬特有の副作用である眠気を感じずに症状を改善したいという場合は、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみてくださいね。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Feb 3 2023

薬剤師・大久保 愛

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