女性の健康と漢方

PART5不調・病気からカラダを守る3つのポイント

なぜ女性のほうが平均寿命が長いのか?

厚生労働省の「簡易生命表(平成28年)」によると、男性の平均寿命は80.98年、女性の平均寿命は87.14年で、過去最高を更新しました。
この「女性のほうが長生き」という現象は最近だけのことではありません。第1回完全生命表のデータは明治24年〜31年の5年間の統計ですが、それによると男性の平均寿命は42.8歳、女性は44.3歳。生命表が作成された当初から女性の方が男性より長生きでした。
女性のほうが長生きする理由として考えられることの一つに、エストロゲン(卵胞ホルモン)という女性ホルモンの存在が挙げられます。エストロゲンは動脈硬化を引き起こす中性脂肪やコレステロールを抑えるはたらきがあるので、脳卒中などの脳血管疾患や、心筋梗塞や狭心症といった重大な病気に男性よりかかりにくいのです。
もう一つ注目したいのは病院や医院への受診率の違いです。女性のほうが男性より受診率が高くなっています。この背景には、女性のほうが男性より食事のバランスや生活習慣を見直すなど普段から健康を気遣う傾向があること、自分のカラダの不調にも気づきやすく、積極的に「自分の病気や不調を治療しよう」という傾向があることなどが挙げられます。

【ポイント①】健診・検診のススメ

がんや生活習慣病などの病気は、早期の段階では自覚症状がほとんどありません。こうした「自覚症状のない段階のカラダの異常」を診察や各種検査で見つけるのが健康診断(健診)・検診です。病気を早期で発見できれば早いタイミングで治療が開始でき、がんのような命に関わるような病気でも「完治」できることもあります。
女性がとくに気をつけたい病気は、乳がんや子宮がん、卵巣がんなどです。このうち乳がんと子宮頸がんについては、自治体や職場の集団健診で検査を受けられます。子宮体がん、卵巣がんは検査項目には含まれていませんので、不正出血をはじめ何かしらの症状を自覚している場合には、放置せずに婦人科を受診しましょう。
そのほか甲状腺の超音波検査やホルモン値の測定、骨粗しょう症かどうかが分かる骨密度なども女性が受けておいた方がいい検査に挙げられます。血液検査で貧血の有無をチェックすることも大切です。
そして健診で大事なのは、結果を捨てずに保管しておくこと。健診のたびに過去のデータと比較し前回より悪くなっている数値があれば、それが基準値の範囲内であっても要注意。生活習慣を改善するなどの対策を行っていくことが大切です。

積極的に受けたい検査
病気 病気の解説 検査の種類 検査を受ける所
乳がん 乳房にできるがん 触診(手で触ってしこりを確認する)・マンモグラフィ検査(乳房のX線検査)・超音波検査(エコー)など 乳腺科
子宮頸がん 子宮の入り口にできるがん 問診・視診・内診・細胞診など/コルポスコープ検査(膣拡大鏡を用いた検査)は必要に応じて 婦人科
骨粗しょう症 骨がもろくなって骨折しやすくなる病気 超音波法(かかとの骨に超音波をあて骨量をみる検査)・DXA法(デキサ:X線の検査)・血液検査(骨代謝マーカー)など 整形外科
婦人科
内科
貧血 血液中のヘモグロビン濃度が低下した状態 血液検査 科を問わない

【ポイント②】婦人科や女性外来をかかりつけに

女性には月経など女性ホルモンに体調が大きく左右されやすいという特徴があります。そんな女性の味方が「婦人科」や「女性外来」です。
婦人科の内診が苦手という人もいると思います。しかし、内診や経腟超音波(腟から超音波の機械を入れて調べる検査)は、子宮頸がんや体がん、卵巣がん、子宮筋腫、子宮内膜症など、子宮や卵巣の病気を知る大事な手がかりとなります。重要な診察の一つなので、必要に応じて受けてほしいものです。
婦人科を受診する際は内診に備えた服装を。スカートなら脱がずにすみ、腰やお腹を隠せます。ガードルなど締め付ける下着は避け、脱ぎ着がしやすい格好がベストです。内診後、まれに出血することがあるので、ナプキンやおりもの用シートなどを持って行った方がいいでしょう。内診や経腟超音波検査で気分が悪くなった経験がある方は、診察の際に医師もしくは看護師に遠慮なく伝えましょう。
「女性外来」は必ずしも婦人科ではなく、内科が主体の医療機関もありますので、どうしても内診に抵抗がある場合は、そちらにまず相談してみてもいいかもしれません。

婦人科や女性外来をかかりつけに
病院で聞かれること
症状 ・症状のある場所
・いつぐらいから出ているか(時期)
・どんなときに症状が出るか(月経前など)
・症状の状態(下腹部が痛い、くらくらする、デリケートゾーンがかゆいなど)
・症状の頻度(週1回など)
・症状の程度(我慢できないほどの痛みなど)
月経関係 ・前回の月経の時期と期間
・平均の月経周期と期間
・月経の量
・初経(初潮)年齢/閉経年齢
・妊娠歴、出産歴(流産・中絶)について
・子宮がん検診を受けた時期と結果
・おりものの状態(色、臭い、量など)
・妊娠しているかどうか
家族関係 ・家族(血縁)がかかった病気(生活習慣病、がんなど)
薬・手術 ・現在飲んでいる薬(サプリメントも含む)
・薬でアレルギーが出たことがあるか(その場合、薬の名前も)
・これまでかかった病気や手術歴(帝王切開も含めて)
・輸血の経験はあるか
そのほか ・アレルギーはあるか(薬以外、食べ物、花粉など)
・喫煙、飲酒の習慣や嗜好品

【ポイント③】漢方を上手に使おう

月経関係の病気や不定愁訴などで婦人科にかかったとき、漢方薬を処方されたという方は多いと思います。じつは婦人科系の病気だけでなく、女性がかかえるさまざまな症状に漢方薬はたいへん有用です。実際、日本漢方生薬製剤協会が2011年に行った調査では約9割の医師が漢方薬の処方を行っていると回答しました(内科96%、外科95%、産婦人科97%、整形外科90%、精神神経科92%、小児科58%、その他85%)。

漢方を上手に使おう

漢方薬が女性の不調改善に向いている理由は主に以下の3つになります。

1. 検査をしても分からない「不定愁訴」に強い
頭が痛い、食欲がない、むくむ、イライラする・・・こうした症状があるのに、検査をしても異常がないことがあります。西洋医学ではこのようなときそのまま様子をみることが多いのですが、漢方はそうしたカラダに現れた症状を重視し、その人の体質などを考慮した治療(漢方薬の処方)が行われます。
2. 症状が複数あっても1剤ですむことも
西洋医学では痛みには痛み止め、精神症状には精神薬、むくみには利尿剤というように、一つひとつの症状に薬が処方されます。それに対して漢方は、カラダをトータルに診てバランスを整える治療を行っていきます。ですから複数の症状に対し1剤の漢方薬ですむことも少なくありません。
3. 病名がつかない症状にも対応
冷え症(冷え性)、不定愁訴のように、西洋医学では病気としてとらえにくい不調や症状(未病)に対しても、漢方薬による治療が効果的な場合があります。
女性の健康と漢方 監修医師
麻布ミューズクリニック院長玉田真由美先生
  • 麻布ミューズクリニック
  • 院長玉田 真由美 先生

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