あなたに足りない!? 重要な“ビタミンD”
ビタミンCやビタミンB群などに追いやられて、いまひとつその存在感を示せていないのが、“ビタミンD”。
カラダの中でとても大切な働きをしているのにもかかわらず、日本人ではその不足が問題になっていることをご存知でしょうか。
「飽食の時代なのにビタミン不足?」と思われる方も多いでしょう。
その原因は意外なところにあるようです。
カルシウムの吸収を助ける大切なビタミン
まず、ビタミンDの持つ働きについて、少し解説を。
ビタミンDは、ビタミンAなどと同じで油に溶けやすい「脂溶性ビタミン」の仲間。
もっとも大事な働きの一つに、“カルシウムの吸収を助けて、骨や歯を丈夫に保つのをサポートすること”があります。
現代の、特に若い女性においては、過度なダイエットによるカルシウム不足が問題視されていますが、その一因として“ビタミンD不足”もあると考えられています。
ビタミンD不足が続くと骨の成長が妨げられることから、子どもでは足などが変形する「くる病」に、成人では「骨軟化症」「骨粗しょう症」などにかかるリスクが高まります。
これらは薬での治療が可能ですが、やはり予防のためにはビタミンDをしっかり摂ることが大事です。
ビタミンDの食事摂取基準(㎍/日)
性別 | 男性 | 女性 | ||
---|---|---|---|---|
年齢等 | 目安量 | 耐用上限量 | 目安量 | 耐用上限量 |
0〜5(月) | 5.0 | 25 | 5.0 | 25 |
6〜11(月) | 5.0 | 25 | 5.0 | 25 |
1〜2(歳) | 2.0 | 20 | 2.0 | 20 |
3〜5(歳) | 2.5 | 30 | 2.5 | 30 |
6〜7(歳) | 3.0 | 40 | 3.0 | 40 |
8〜9(歳) | 3.5 | 40 | 3.5 | 40 |
10〜11(歳) | 4.5 | 60 | 4.5 | 60 |
12〜14(歳) | 5.5 | 80 | 5.5 | 80 |
15〜17(歳) | 6.0 | 90 | 6.0 | 90 |
18〜29(歳) | 5.5 | 100 | 5.5 | 100 |
30〜49(歳) | 5.5 | 100 | 5.5 | 100 |
50〜69(歳) | 5.5 | 100 | 5.5 | 100 |
70以上(歳) | 5.5 | 100 | 5.5 | 100 |
妊婦 | – | 7.0 | – | |
授乳婦 | 8.0 | – |
「日本人の食事摂取基準2015」より
ビタミンDを作るために必要なのは?
そもそもビタミンとは、“カラダのさまざまな機能を調整する、微量な化合物”です。
共通するのは、カラダの中で作ることができないため、食事などで摂る必要があること。
――なのですが、ビタミンDなどいくつかのビタミンは、カラダの中で作られることがわかっています。
ビタミンDの場合、紫外線を浴びることによって皮膚で作られます。
国立感染症研究所は、「健康な生活を送るうえで必要なビタミンDを生成するための日光照射時間」を調査。
日本人に多いスキンタイプⅢ(紫外線により適度に赤くなり、黒くなるタイプ)の人が、10マイクログラムのビタミンDを作るためには、「顔と両手の甲(600平方センチ)に6分間だけ紫外線を浴びるといい」ということを明らかにしました。
これはつくば市の7月の紫外線量の場合で、札幌では8分、那覇では5分でした。
魚やキノコなどからもしっかり摂りましょう
ただ紫外線を浴びるだけでは、紫外線の害やリスクもあるということ。
シミやシワといった光老化だけでなく、皮膚がんなどのリスクも高めると言われています。
そう考えると、日光浴だけに頼らず、食事からしっかりビタミンDを摂ることも大事。
含有量が多いのは、魚類やキノコ類。(下表)
昨今、魚離れが指摘されていますが、サバ缶などの缶詰などを利用して、上手に摂るようにしましょう。
ちなみに、ビタミンDが豊富に含まれていると考えられていた「干しシイタケ」ですが、最近は天日干ししない「乾燥シイタケ」が店頭に並ぶようになりました。
シイタケも紫外線にあたることでビタミンDを作り出すことから、乾燥シイタケは一度天日に当ててから料理に使うとよいそうです。
食品中のビタミンD含有量(1日必要量は10-25㎍)
食品 | 一回摂食量(g) | ビタミンD(㎍) | [IU] |
---|---|---|---|
きくらげ | 1 | 4.4 | 176 |
サケ | 60 | 19.2 | 768 |
うなぎの蒲焼き | 100 | 19.0 | 760 |
サンマ | 60 | 11.4 | 456 |
ヒラメ | 60 | 10.8 | 432 |
イサキ | 60 | 9.0 | 360 |
タチウオ | 60 | 8.4 | 336 |
カレイ | 60 | 7.8 | 312 |
メカジキ | 60 | 6.6 | 264 |
なまり節 | 30 | 6.3 | 252 |
五訂増補日本食品標準成分表より
参考
厚生労働省「ビタミン」
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042635.pdf
厚生労働省「日本人の食事摂取基準」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
国立環境研究所「太陽紫外線による健康のためのビタミンD生成と皮膚への有害性評価」
https://www.nies.go.jp/whatsnew/2014/20141127/20141127.html
骨粗鬆症財団「ビタミンDを多く含む食品」
http://jpof.or.jp/pdf/LS2014_03_02AJ.pdf
医療ライター・山内