ココロとカラダに働きかける「マインドフルネス」って??
なかなか治らないカラダの痛み、風邪を引きやすい、鬱々とした気分が続く…。
近年、こうしたさまざまな症状に“脳を整える治療”が有効であることが分かってきました。
その治療として注目されているのが、「瞑想」や「マインドフルネス」など。
いずれもココロに働きかける治療で、医療機関にかからずとも簡単にできるセルフケアで、実際、国内外の大手企業などでも、メンタルヘルスの観点からマインドフルネスを取り入れているとのこと。
では、どんなものなのか見ていきましょう。
ネガティブな考え方はカラダにも悪影響
マインドフルネスとは、「ヨガ」や「禅」の思想を発展させたもの。
アメリカの脳科学者ジョン・カバット・ジンが生み出した認知行動療法のひとつで、うつ病の治療などでも行われています。
私たちは日々いろいろなことを考えて暮らしていますが、そのときにネガティブな考え方をしたり、何でも完璧にやり遂げようとしたり、“こうあるべき”という気持ちが強くなったりすることもあります。
最近の研究では、こうした考え方をしていると、脳の中の回路が過剰に働いて、エネルギーを多く消費することが分かりました。
そうなると、脳が疲労して機能も低下し、集中力も落ちるといい、さらには自律神経やホルモン、免疫などさまざまなところに悪影響を及ぼすため、病気などにかかるリスクが高まってしまうとされています。
過去でもなく、未来でもなく、「今」を感じる
マインドフルネスは、「今」に集中することでさまざまな事象をマイナスに考えてしまう“くせ”を修正していきます。
では、なぜ、「今」なのでしょう。
落ち込んだり不安になったりしたとき、“心は今にない”といいます。
落ち込むときは、「なぜあんなことをしてしまったのだろう」と過去に意識が向き、不安を感じるときは、「失敗したらどうしよう」「この先どうなってしまうのだろう」と未来に意識が飛びます。
だから、マインドフルネスで“今この瞬間にいること”を意識することが大事なのです。
やり方はさまざまな本などで紹介されていますが、そのひとつの手順を紹介します。
始める前に、携帯やスマホは電源をオフにしておきましょう。
- 心地よく座れる場所を見つける
(イスに座る場合は、足を床につけ、手はひざ、そして少し背中を離します) - 目を閉じる(軽く開けていても大丈夫です)
- しばらくの間、足が床についている感覚、手がひざを触っている状況を感じる
- 鼻から吸い、鼻から吐くという呼吸を続け、そこに意識を向ける
- いろいろな考えが浮かんできたら、それを受け入れる
※「脳から身体を治す」(久賀谷亮著)より
睡眠や脳のリセットも脳を整える
マインドフルネスでなかなか意識を集中できないという方は、ろうそくの炎を見つめる方法だと、案外、集中できるようです。
ほかにも睡眠をしっかりとる、脳をときどき休める(携帯やスマホはオフに)といったことも、脳を整えるためには必要なこと。
脳からココロとカラダにアプローチする生活。
今日から始めてみてはどうでしょうか。
参照
ココロのスキルアップトレーニング「脳から身体を治す」(久賀谷亮著)
http://www.cbtjp.net/
医療ライター・山内