味覚障害は生活習慣病を引き起こす!
誰もが美味しいという料理が、自分にはイマイチピンとこないという方はいませんか?
また、有名なレストラン、人気のお店で外食をするよりも、ファストフードやコンビニの食事で十分満足と感じている方はいませんか?
もし、そのような感覚が当てはまると思った方は、味覚が“鈍感”になっているかもしれません。
“鈍感”と聞いて、そんなことか…と思った方は要注意!
じつは、味覚が鈍感のまま日常生活を送っていると、さまざまな生活習慣病を招いてしまう危険性があるのです。
今回は薬剤師である筆者が、この「味覚」について解説します。
味を感じる仕組み
人はどのようにして「味」を感じるのか。
味覚には基本となる要素として「甘味・苦味・辛味・うま味・酸味」、その他に最近追加された「脂肪味」がありますが、それらの味を認識する器官は「舌」にあります。
食べ物が口に入ると、まず唾液に溶けて、舌の「味蕾(みらい)」という器官に入り込みます。
そして、ここにある味細胞から味覚神経を通して大脳に信号が送られ、味覚中枢がその信号受け取ることで“味”を感じます。
仮に、いずれかの系統に弊害が及ぶと、味覚に異常を感じるとされています。
味覚障害が及ぼす生活習慣病とは?
濃い味の食事ばかりを摂り続けている方は用心が必要です。
なぜなら、濃い味が当たり前になっていることを放置していると、味覚がどんどん鈍感になっていき、生活習慣病を引き起こす原因になってしまうからです。
それでは、味覚の要素をいくつかをピックアップして解説します。
甘味
甘い味に鈍感になり、それを放置していると、甘いものを過剰に食べる習慣がつきやすくなります。この結果、糖尿病を招く恐れがあります。
塩味
塩味に鈍感になり、それを放置していると、料理の味付けが濃くなり塩分過多の状態になりやすくなります。この結果、動脈硬化などの血管系の疾患を起こしやすくなってしまう恐れがあります。
脂肪味
脂肪の油っぽい味に鈍感になり、それを放置していると、食事での満足感を得にくくなってしまいます。この結果、つい食べ過ぎてしまい、肥満を引き起こしてしまう恐れがあります。
このように、味覚に鈍感になると、食べ物を過剰に摂取してしまう傾向に陥ってしまいます。そして、その状態を放置していると、カラダ全体に影響を及ぼし、生活習慣病を促してしまう原因にもなってしまうのです。
味覚障害の原因と対策
それでは、味覚障害を引き起こす主な原因とその対策について解説します。
亜鉛不足
亜鉛は、タンパク質の合成を助け細胞の新陳代謝を支えています。
この細胞の新陳代謝に大きく影響を受けるのが“味蕾(みらい)”です。
つまり、亜鉛不足で味を感じる味蕾がうまく機能しなくなり、味覚障害を引き起こしてしまうのです。
亜鉛が不足する理由は、食事バランスの乱れや過度のストレスによるものなどさまざまです。現代人にとって、亜鉛不足は身近な問題となっています。
牡蠣や大豆、動物性のタンパク質など、栄養バランスを考えるようにしましょう。
味の濃い食事
濃い味の食事を続けていると、濃い味でしか満足感を得られなくなってしまいます。
特に、化学調味料を使った料理を食べていると、天然の旨味成分では物足りなくなっていきます。
化学調味料が多量に使われる代表的な食品として、ジャンクフードやレトルト食品などが挙げられますが、カラダに良いとは言い難いものがほとんどです。
なるべく自炊を心がけることからはじめてみましょう。
肥満気味
肥満気味の体質の方は、甘みを感じる味覚細胞が減少してしまうというデータがあります。
つまり、結果として、肥満はさらなる肥満を招くサイクルに陥っていくと考えられます。
食事制限のダイエットよりも、運動中心のダイエットがオススメでしょう。
味覚が敏感だと、美味しいものを食べた時の感動の幅も広がり、さらに自然とカラダに良い食べ物を選ぶことができるようになります。
味覚が鈍感かもしれないと感じた方は、以上のことに気をつけてみてくださいね。
薬剤師・大久保 愛