その痒み、汗疹(あせも)じゃなくて「汗荒れ」かも!
今年は特に暑かったせいで、「汗」で悩んだ方も多いのではないでしょうか?
中でも、汗を大量にかくことで発生する“汗疹(あせも)”は、一度掻いてしまうとかき傷になってしまうことも…。
しかし、その症状が長期化・重症化しているのであれば、汗疹(あせも)ではなく、「汗荒れ」かもしれません。
今回は、薬剤師である筆者が、汗荒れと汗疹(あせも)の違い、そしてその対策について解説します。
汗荒れと汗疹の違いは?
汗をかいて皮膚に炎症ができると、汗疹だと感じる方は多いと思いますが、実際には、「汗荒れ」を起こしている場合があります。
さっそく、汗荒れと汗疹の違いを解説していきます。
<汗荒れとは>
汗をかき、そのまま拭かずに放置していると水分は蒸発していきます。この時に、汗の成分であるアンモニアや塩分は皮膚上に残ります。
汗荒れは、このアンモニアや塩分が皮膚への刺激となることで、かぶれを起こし赤みや痒みを生じさせることです。
衣服などで摩擦を受けバリア機能が低下している部分や、乾燥している部分に症状が出やすいとされています。特に、首やお腹の周りなどにできやすく、痒みを伴うことが多いため長期化しやすい傾向があります。
<汗疹(あせも)とは>
汗疹は、大量の汗をかくことで汗の出口が詰まり、表皮に汗が漏れ出し炎症を起こすことで発生します。
また、汗腺の数は大人と子どもでも、ほぼ同じであるとされています。そのため、汗腺の密度が高く、新陳代謝が高いために汗をかきやすい子どもは、汗疹を発生させやすいと考えられています。
膝、肘や足の付け根などの関節部分、首、お腹の周りなどにできやすいのですが、痒みを伴わないことも多いため、改善が比較的早い傾向があります。
汗荒れ対策における注意点
一番の対策は、原因となる汗を“その都度拭き取る”ことです。
しかし、拭き残しが出てしまうことがあるので、しっかりと拭き取ることを心がけましょう。
他の注意点も紹介します。
汗対策で、制汗スプレーや汗の拭き取りシートを使用している方も多いと思いますが、汗荒れは肌のバリア機能が低下している部分に起こりやすいため、なるべく刺激を与えない方がよいでしょう。
次に、入浴時の注意点です。
汗をかいたからといって、念入りに洗いすぎると逆に刺激となり悪化させてしまうことがあります。汗は水溶性の液体なので、お湯だけでも十分に洗い流すことができます。
また、日中蒸れる部分や皮脂の多い部分は念入りに洗う必要がありますが、汗荒れで炎症を起こしている場合は、ゴシゴシと洗わず刺激を与えないようにするのがよいでしょう。
汗疹と違い長期化・重症化しやすい汗荒れは、早い段階で対処していきたいですね。
とにかく、一番やってはいけないことは患部を“搔きむしる”ことです。
漢方薬の中には、皮膚の痒みを和らげてくれるものもあります。悪化する前に専門の皮膚科や漢方に詳しい医療機関などに相談することも大切です。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛