漢方ビュー通信

疲れたときにやってはいけないこと、やるべきこと

疲れたときにやってはいけないこと、やるべきこと

がんばりすぎて、ぐったり…

新しい年号が始まって早くも1カ月以上が過ぎました。
「令和になったからがんばろう」なんて張り切りすぎて、ぐったりしていませんか?
健康長寿ネットによると、疲労は熱や痛みなどの症状と同様、「これ以上作業を続けていると、カラダに害が生じるサイン」とのこと。
ゆっくり休養をとって、元気回復に努めなさいということなのでしょう。
しかし、なかなかそんな時間が取れないというのも事実。
あとちょっとだけ頑張りたい!」というときには、どうしたらよいでしょうか。

疲労の犯人は乳酸ではなく、◯◯◯だった

疲労の原因については長らく解明されていませんでしたが、近年、そのメカニズムが少しずつ明らかになってきています。
疲労の原因で有力視されている〝真犯人〟は、ズバリ「活性酸素」です。

運動の例を挙げると、わかりやすいかもしれません。
運動ではたくさんの酸素を使いますが、その際に活性酸素も多量に作られてしまいます。カラダに取り込まれた酸素の一部が、活性酸素に変わるためです。
本来なら、その活性酸素を除去するために抗酸化物質が働くのですが、その物質を上回る活性酸素が作られてしまった場合、除去されず体内に残留することとなります。
その残留した活性酸素が自律神経や筋肉などを傷めてしまうため、疲労症状が起こるというわけです。
ちなみに、「乳酸=疲労物質」と考えられていましたが、今は否定されています。

疲れたときは甘いものではなく、深呼吸

疲れたときは甘いものではなく、深呼吸

疲れたときにチョコレート…つい手に取っていませんか?
確かに、甘い物(糖質)を摂ると集中力が高まり、疲れが取れた気になります。
ところが、それは一時的に血糖値が上がるためで、一過性の現象とされています。その後、すい臓から「インスリン」というホルモンが分泌されて、急な血糖降下を招きます。
かえって疲れやイライラ、眠気などの症状が出るとのことなので、注意が必要です。

では、疲れを感じたときには、どうすればよいのでしょうか。
じつは、元気を取り戻すために必要なのは、“太陽の光を浴びて、深呼吸を繰り返す”こと。
これによって元気をもたらす脳内物質「セロトニン」が分泌されて、ココロとカラダの回復を図ってくれるのです。

漢方薬が疲労回復に役立つことも

自律神経の乱れには漢方薬が効果的な場合も

また、漢方では「気・血・水(き・けつ・すい)」という概念があります。
疲労は、このなかの「」、つまり生命エネルギーやパワーが不足した状態(気虚)と考えられています。
したがって、疲労に対して「」を補う漢方薬が使われることもあります。

具体的には、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」や、「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」、「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」などが、その人の体質や疲労以外の症状を加味して、処方される場合があります。

一般的には疲労という状態は病気ではないと考えられているので、病院に行くということをためらいがちだと思いますが、慢性的に疲れが取れないという方は、一度、医師や薬剤師に相談してみてはいかがでしょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

参考

健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/undou-shougai/hirou-busshitsu.html

「わが家の漢方百科」(東海大学医学部教授 新井信、東海大学医学部付属大磯病院 髙士将典著)
「朝5分の呼吸法」(有田秀穂著)
「医者が教える食事術 最強の教科書」(牧田善二著)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/search.html

Jun 21 2019

医療ライター・山内

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