風邪も引いていないのに、のどに違和感!?
風邪を引いたわけでもないのに、のどがおかしい…
のどに何かつっかえるような感覚や胸が苦しくソワソワ感じる感覚を経験したことはありませんか。
身に覚えがあるという人は、ストレスを感じた時などに違和感を生じたり、精神的なことが原因で引き起こる、「咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)」という病気を発症していたかもしれません。
今回は薬剤師である筆者が、咽喉頭異常感症について解説します。
精神的要因で起こる、のどの違和感
咽喉頭異常感症とは、のどに対しての違和感や異常感覚のことをいい、主にストレスなど精神的要因が引き起こしている症状です。
風邪や鼻炎などによる影響ではないため、検査を行っても原因を特定できないのがこの病気の特徴で、ストレスを強く感じる時の指標として代表的なものです。
漢方医学では、のどに梅の種が詰まった状態に似ていることから「梅核気(ばいかくき)」と呼ばれることもあり、また「咽中炙臠(いんちゅうしゃれん)」や「ヒステリー球」と表す場合もあります。
<よく見られる症状>
- 喉に異物感がある
- 喉が詰まっている感じで息苦しい
- 詰まっているものを飲み込めない など
<原因として考えられること>
- ストレスを溜め込みやすい
- 人に合わせて我慢をする
- 不安なことがある
- 強いストレスを感じている
- 人前で緊張しやすい など
咽喉頭異常感症は、精神的要因から発症するケースが多いので、うつ病や自律神経失調症、更年期障害などの精神疾患を患っている人などにも発症しやすい病気です。
精神的要因の改善には漢方薬も
咽喉頭異常感症の治療には、まず原因となっているストレスを排除することが先決です。
ゆっくり休養を取ったり、できるだけリラックスできる時間を持つことが必要でしょう。
また、この症状を漢方の考え方では「気・血・水(き・けつ・すい)」の中の「気(き)」の巡りが悪い状態と捉えます。これは、まさに漢方が得意とする分野で、気を巡らす治療を行っていくことが一般的とされています。
漢方薬を適切に活用するためにも、一度、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談することをオススメします。
ストレスを軽減する生活習慣を身につけよう
咽喉頭異常感症は精神的要因によって引き起こされるケースが多いので、日々の生活から気をつけることが大事です。
前述したように、なるべくストレスを受けないような生活を送ることが理想ですが、ライフスタイルによっては、なかなか難しい人もいるかと思います。
そこで、まず生活習慣の中で注意してほしいのが、“暴飲暴食”です。
胃腸への負担が大きいと、咽喉頭異常感症を感じやすくなります。同様に、早食い、ながら食い、遅い時間の食事、油の多い食事なども負担となります。
次に、咽喉頭異常感症の対策を3つ紹介します。
深呼吸を心がけましょう。
ストレスを感じている時は、呼吸が自然と浅くなります。気分が落ち着くまで深呼吸をすることがポイントです。
軽い運動をしましょう。
少しでも汗をかくような運動はストレス発散になります。また、何かに夢中になることで頭が切り替わるので、心も楽になります。
柑橘系やミント系の香りを嗅ぎましょう。
漢方では、これらの香りを気の巡りを改善するものと考えます。また、他の活用法として、お茶にして飲んだり、実際に食べたりしてもよいでしょう。
急なストレスとともに訪れる息苦しさ──。
咽喉頭異常感症は、その理由を理解していないと、深刻な病気なのかと不安を煽る症状だと思います。風邪などの症状以外の時に、のどに違和感を感じた時には、“心の風邪”のようなものだと考え、いつも頑張る自分にご褒美の時間をつくってあげるなどして、工夫をしてみましょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛