漢方ビュー通信

寒さで寝起きがツライ…スッキリ目覚める方法は?

寒さで寝起きがツライ…スッキリ目覚める方法は?

体内時計のシステムでは、冬の睡眠時間は長い

最近、なんとなく朝起きるのがツライ、昼間も眠い…そう感じている人はいませんか?
もしかしたらその症状、“季節のせい”かもしれません。

私たちのカラダは、24時間を1サイクルとする体内時計が備わっていますが、厳密には24時間ぴったりではなく、少々長めに設定されています。(個人差もあり、中には短い人もいるようです)
この少し長めの体内時計を、24時間周期に合わせるために必要なのが、朝の太陽光。
光は目の網膜から入って、脳内にある体内時計のシステムに伝わり、後ろにずれてしまう体内時計をリセットしてくれます。

また、この体内時計には1年という長期的なサイクルもあり、季節ごとに変動しています。
代表的なものが睡眠時間の変化で、日照時間が短くなり太陽の光も弱くなるこの時期は、日照時間が長く太陽の光が強くなる夏に比べ、睡眠時間が長くなるとのこと。
実際、夏の睡眠時間は平均で7時間弱に対し、冬だと30分ぐらい長く、7.5時間弱ぐらいになることが分かっています。

部屋が寒すぎることが眠りの妨げに?

部屋が寒すぎることが眠りの妨げに?

夜になって眠くなるのも、24時間の体内時計のリズムによるもの。
いつも布団に入っている時間が訪れると、自然に体温が下がってカラダが睡眠モードに入ります。
ちなみに、入浴がよい眠りをもたらすのは、お風呂の温熱作用で一時的に上がったカラダの熱が一気に下がり、それが自然な眠りへと誘うためです。

しかし、冬は室温が低くなるため、布団から出ている手足が冷えてしまいがち。
末梢の血液循環が悪くなると熱の放散がうまくできなくなり、体温が下がりにくくなります。その結果、寝付きが悪くなったり、眠りが浅くなったり…。
これも、朝起きるのがツライ要因のひとつになります。

ツライ冬の朝を快適にする方法とは?

ツライ冬の朝を快適にする方法とは?

では、なかなか起きられない朝でもスッキリ目覚めるためにはどうしたらよいでしょうか。

まず実践してほしいのが、目覚めたらカーテンを開けて太陽の光を“目で感じる”こと。
この行動によって、前述した体内時計をリセットすることができます。
また、寒くて起きるのがツライときには、エアコンなど暖房のセットを起床時間の少し前に合わせて、部屋を暖めておくのもオススメです。

寝具の使い方にもポイントがあります。
この時期、羽毛布団を使う人が多いでしょうが、温かさをしっかり保つのであれば、羽毛布団はカラダの上に直接かけること。そして、毛布をその上からふんわりかぶせます。
こうすることによって、羽毛の断熱効果がいっそう高まるとされています。

寝間着も寒いからといって、モコモコになるほど着込まないこと。素材は、汗を吸収する綿やウール、ガーゼなどを選ぶようにしましょう。
寝る際には、なるべく靴下を履かないほうがよいとされていますが、どうしても足が冷えて眠れないという人は、すぐに脱げる緩めのものを履くようにしましょう。

冷えて眠れない人には漢方薬も

冷えの症状が強くて、寒い冬はとくに眠れないし、起きられない――。
そんな人は漢方薬を試してみるという手もあります。

漢方薬の良い点は、眠りの症状以外の問題も考慮するところ。単に眠れるようにするだけでなく、不眠の原因となる別の症状の改善にも期待ができます。

ちなみに、睡眠障害に使われている漢方薬は、「加味帰脾湯(かみきひとう)」などがあります。その人の体質や睡眠の状況などをトータルにみて選ばれます。

ちょっとした工夫でツライ冬の朝を快適に。毎日が少しハッピーになるかもしれません。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

参照

厚生労働省 eヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-039.html

体内時計のしくみと合わせ方
https://www.med.kindai.ac.jp/anato2/koukai.pdf

健康づくりのための睡眠指針の改定に関する検討会報告書
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000041505.pdf

フランスベッド
https://www.francebed.co.jp/umoureform/faq/about/use.html

Dec 20 2019

医療ライター・山内

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