漢方ビュー通信

乾燥の季節…カラダの内側と外側からのアプローチを!

乾燥の季節…カラダの内側と外側からのアプローチを!

暖房が効いた部屋の中で過ごしていると、快適な反面、気になるのが“乾燥肌”。
ガサガサした肌は見た目も気になりますが、何よりその“かゆさ”に悩まされている人も多いかと思います。

乾燥による肌荒れは、対策をしっかり行わないとどんどん悪化し、掻きすぎで黒ずんだ跡になってしまう場合もあります。

今回は、薬剤師である筆者が、冬場の乾燥肌対策について解説します。

肌がかゆくなる原因は“乾燥”

肌がかゆくなる原因は“乾燥”

冬は空気が乾燥しているため、肌の水分が蒸発して乾燥しやすくなります。
それに加え、気温が低下することで皮脂腺や汗腺の働きが悪くなり、肌の潤いやバリア機能が低下するため、肌のカサつきやかゆみを感じるようになります。

かゆみを感じると、無意識にその部分を掻くようになってしまいます。すると、肌の表皮が荒れてしまうのと同時に、かゆみを感じさせるヒスタミンの分泌を促すことになります。
そうなると、肌は些細な刺激にも敏感になり、かゆみはさらに増して、悪循環となっていきます。

そこで、なるべく肌がかゆくならないようにするための乾燥対策を紹介します。

乾燥対策は入浴時と就寝時に

乾燥対策は入浴時と就寝時に

まずは入浴時のポイントについて。
正しい知識がないと、肌に大きな刺激を与えてしまう恐れがあるので、次のようなことに注意しましょう。

温度が40度以上のお風呂に浸かったり、長湯したりすると、皮脂が奪われてしまいます。さらに、カラダを洗うときやお風呂から上がるときにスポンジやタオルなどで全身をゴシゴシと強くこすると、肌の皮脂が奪われるだけでなく、表皮も傷つけてしまいます。

また、髪の毛を洗った後のシャンプーやリンスが背中に残ったままだと、肌への刺激になってしまうことがあるので、しっかりと洗い流すように心がけましょう。
このような入浴習慣に思い当たる人は、乾燥肌を加速させていることになるので注意しましょう。

次に寝るときのポイントですが、最近、寝るときに電気毛布を使用する人が増えているようです。
じつは、電気毛布の長時間の使用は体内から多くの水分を奪うとされています。
これは、肌や喉の乾燥を助長することになるので、寝る前に温める、もしくはタイマーをセットするなど工夫して使用するようにしましょう。

漢方で考える乾燥肌対策

漢方薬

漢方の独自の考えである「気・血・水(き・けつ・すい)」から不調を探っていきます。
肌の乾燥は、「水(すい)」の不足により起こっていると思われがちですが、実際は「血(けつ)」の不足が原因であると考えられています。
ですから、漢方ではカラダの内側から乾燥の原因を解決していくことが多いのです。

また、処方される漢方薬はさまざまで、肌の乾燥に加え、他に合わせ持つ症状や、体格、表情などをもとにして用いられます。気になる人は、一度漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談してみましょう。

一方で、西洋医学では外側から外用薬で改善することが多く、さらに、かゆみがひどい場合は、ステロイド薬や内服薬を使うこともあります。

いずれにせよ。専門のアドバイスを受けて、内側と外側の両方からアプローチしていくのがおすすめです。

冬特有の肌トラブルは、一度なってしまうと悪化しやすいものです。
一般的な乾燥を防ぐ保湿剤やローションなどの使用だけで済ませず、加湿器の使用やエアコンの調整など、生活環境の改善も効果的だと思います。

ぜひ対策を整えて肌荒れを防いでいきましょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

Feb 19 2020

薬剤師・大久保 愛

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