漢方ビュー通信

あらゆる病気と老化の原因に!?AGEの正体とは

あらゆる病気と老化の原因に!?AGEの正体とは

近年、老化物質として注目を集めている“AGE”。
人の加齢や健康に関わる物質として研究が進められていますが、どうやら食事と密接に関係していることが分かってきました。

カラダに蓄積されるAGEは、溜め込みすぎるとどのような影響を及ぼすのか。
また、どのような食事内容で蓄積量が変化するのでしょうか。

今回は、薬剤師である筆者が、AGEの発生原因やその対策について解説します。

毒性を持つAGEの発生原因

AGEとは、終末糖化産物(Advanced Glycation End Products)の略で、簡潔に説明すると、タンパク質が糖とくっついて毒性を持ったものになる化学反応です。
AGEは、体内のあらゆる箇所に蓄積し、さまざまな病気や老化の原因物質とされています。
特徴として、一度つくられてしまうと元の正常なタンパク質に戻りにくい、15年程度体内に留まり続けるということも分かってきています。
また、AGEには、内因性のものと外因性のものがあるので、それぞれ説明します。

 

<内因性のAGE>

体内でつくられる場合、血中のブドウ糖とタンパク質が結びつき発生します。
例えば糖尿病患者だと、血中のブドウ糖濃度が高いため、AGEがつくられやすい状態になっていると考えられます。
そのほかにも、血糖値を急上昇させるような食材はAGE発生の原因となります。

毒性を持つAGEの発生原因

<外因性のAGE>

外から取り込まれる場合ですが、タンパク質と糖を高温で加熱されたものを食べることによります。
例えば、パンのこんがり焼けた部分やカラッと揚がった唐揚げなどを想像していただけると良いと思います。
調理において、蒸したり、茹でたりといった加工は、水の沸点が100度までなのでそれ以上に温度が上がりませんが、油を使った炒め物や焼き物、揚げ物などはさらに高温になるためAGEがつくられやすくなります。
食べ物に含まれるAGEの一部は消化の段階で分解されますが、約7%は体内に蓄積されるといわれているので、AGEを増やさないためには調理方法も大切になってきます。

AGEを増やさないためにできること5か条

AGEの増加は、体内の組織や細胞に影響を与え、美容のみならずさまざまな病気(糖尿病・動脈硬化・アルツハイマー病・心疾患・呼吸器疾患・脳卒中など)の危険性を高めるなど、深刻な疾患リスクを引き起こす原因となることがあります。
ですから、日常生活の中で、いかにAGEを溜めないようにするかが大切といえるのです。

それでは、AGEを増やさないようにするにはどうすればよいのか、次の5つを意識した生活を心がけてみてください。

  1. 食事の際は、食物繊維を多く含むものをはじめに食べる
  2. 早食いをせずに、よく噛んで食べる
  3. 甘いものや精製された糖質は控えるようにする
  4. なるべく生の状態か蒸す、茹でる調理方法を活用する(このようにして食べられるものに限ります)
  5. アブラナ科の野菜を食べるようにする

1〜3は、血糖値の上昇を抑える働きがあり、4は外因性AGEの摂取を減らすのに役立ちます。そして、5はアブラナ科の野菜に含まれる「スルフォラファン」に注目しています。
スルフォラファンはファイトケミカルの一種で、タンパク質がAGE化するのを抑制する働きがあります。代表的なアブラナ科の野菜には、ブロッコリースプラウト、ブロッコリー、カリフラワーなどがあります。積極的に摂り入れていきましょう。

AGEを増やさないためにできること5か条

AGEの蓄積は、体内にさまざまな影響を及ぼすことが分かりました。
ですから、なるべくAGEを増やさない、つくらないように心がけましょう。
そのためには、食事に気をつけること、すなわち未病の段階から予防医療を意識することが大切なのです。
これを機に、食事や適度な運動を通して、生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

Apr 8 2020

薬剤師・大久保 愛

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