漢方ビュー通信

睡眠はカラダと心の健康の源〜睡眠の質について

睡眠はカラダと心の健康の源〜睡眠の質について

なかなか解決しない悩みや不安…気がつくと、毎晩夜中に目を覚まし、一度起きたら眠れない…少し大袈裟かもしれませんが、このような睡眠障害は誰にでも起こる可能性があります。
一時的なものであればよいのですが、長期化すると心身ともに影響を及ぼします。

そこで今回は、薬剤師である筆者が、健康の源である睡眠の質を上げる方法を解説します。

睡眠がもたらす3つのメリット

睡眠は、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という性質の異なる2種類の眠りの繰り返しです。
眠りについた直後は、ノンレム睡眠がおよそ90分続き、その後にレム睡眠が20分程度続きます。そして、このサイクルが一晩に3~5回繰り返されます。

レム睡眠とは、全身の筋肉が緩み、カラダが休んでいる状態です。入眠時は20分程度ですが、朝になるにつれてだんだんと時間が増えていき、自然に目を覚まします。
ノンレム睡眠とは、脳がリラックスしている状態、つまり脳が休んでいる状態です。その間は、成長ホルモンが分泌され、細胞の修復や免疫力アップにつながる働きがあります。

睡眠がもたらす3つのメリット

それでは、睡眠から得られる3つのメリットを紹介します。

脳が休まる

脳は弱い組織のため、日々休息や修復が必要です。それを行えるのが睡眠時のみなのです。
精神状態や認知機能、判断力などにも影響し、記憶の定着も行います。

カラダが強くなる

寝ている間に分泌される成長ホルモンは、カラダの修復を促したり、免疫を高めたりする働きがあります。

活性酸素を除去する

老化や病気の原因ともされている活性酸素の除去を行います。

こうして、質の良い睡眠は1日ごと自分のカラダをリセットし、心身ともに老化や疲労から守ってくれるのです。

日中の過ごし方で睡眠の質が変わる

日中の過ごし方で睡眠の質が変わる

睡眠のリズムが障害されて眠れない、眠りが浅い、朝早く目覚めてしまうことを不眠といい、こうした状況が継続的に続く場合を不眠症といいます。
さて、このような睡眠に問題があるときは、どうしても“寝る時間”にばかり注意がいきがちですが、じつは起きている時間(日中など)の過ごし方が影響しているものです。

良質な睡眠を得るために、日中や寝る前の過ごし方として次のようなことに気をつけてみてください。

・毎朝同じ時間に起きる
・なるべく午前中に太陽の光を浴びる
・カラダを動かす
・趣味など楽しいことをする
・夕方以降、居眠りをしない
・夕方以降のカフェイン摂取を控える
・アルコールは寝る前の3時間は控える
・ぬるめの風呂にゆっくり入る
・寝る前に緊張するような仕事はしない
・寝る前のスマホやパソコンなどの強い光を避ける

上記以外に、漢方薬もおすすめです。
漢方では、同じ不眠症でも原因は複数あり、その分、対処方法も複数存在すると考えます。
例えば、原因として考えられるのが、カラダに必要な「気・血・水(き・けつ・すい)」の中でも「気」の巡りが滞っていることなどが挙げられます。
また、不眠が生じている背景、つまり日中の体調の変化なども細かく分析し、一人一人にあった漢方薬が処方されます。

漢方薬

このように、漢方薬で不眠症を改善しようとする場合は、不眠だけにフォーカスせず、その時感じているすべての不調も分析し、カラダ全体を整えることで不眠を改善していきます。
ひとつの症状ではなく、複数の症状(冷え、疲れ、めまいなど)も同時に見ていく漢方薬は、悩みを多く抱える人におすすめといえるでしょう。

いずれにせよ、眠れない日が続いている人は、まずは日中の時間の過ごし方を見直してみてください。そうすることで、自然な睡眠が取れるようになるはずです。
しかし、昨今のストレス社会で、どうしても改善が難しいようであれば、漢方薬に頼ることをおすすめします。
睡眠の質を上げることは、すべての健康につながっています。悩まずに、お近くの医師や薬剤師に相談してみてください。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/search.html

Apr 24 2020

薬剤師・大久保 愛

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