漢方ビュー通信

ストレスフリーに生きるコツは「気」の流れを整えること

ストレスフリーに生きるコツは「気」の流れを整えること

日常で大小さまざまなストレスにさらされている私たち。
しかし、目に見えないこの「ストレス」とは一体何なのか、その正体を探ったことのある人はあまりいないのではないでしょうか?

漢方医学では、ストレスのことを“気の流れの停滞=気滞”と表すことができます。
そこで今回は、「気の流れ」の正体と、その停滞を解消する方法をお伝えします。

漢方の考え方のひとつ「気」とは?

漢方では、「気・血・水(き・けつ・すい)」の3つの要素がカラダの中を流れていて、その量が充足していて、流れが滞ることなくスムーズだとココロもカラダも健康な状態であるといわれています。
その中でも「」とは、人間の生きるためのエネルギーや、ココロの状態と深く関与しています。

漢方の考え方のひとつ「気」とは?

【気とカラダの関係】

  • 免疫力を保つ
  • 各臓器のはたらきをコントロールする
  • 血や水を全身に流す
  • 体力と比例する
  • 代謝を促す

【気とココロの関係】

  • やる気や気合い
  • 心地よさや安心感
  • イライラやフラストレーション
  • マインドフルネス

なんとなく、イメージが湧いてきたでしょうか?
「気」は目に見えないため、その概念は専門家によってもさまざまかもしれません。ですが、今回お話しする「ストレス」は、間違いなく気の流れが停滞し、本来の自然な流れではない状態にあります。

それでは、気の流れを止めている原因は何なのでしょうか?
気の流れをよくするにはどうしたらいいのでしょうか?それを次にお話しします。

気の停滞が起こるワケ

「なぜストレスは生じるのか?」という疑問と同じくらい、気の流れが停滞する理由は無限にあります。
しかし、漢方では「人間本来の自然な生き方」あるいは「自然との調和」から離れたライフスタイルを送ってしまうことで、気の流れが乱れてしまうこともあると考えます。

例えば、昼夜が逆転しているような生活や、日々の夜ふかしなど、生物的なバイオリズムを乱すようなライフスタイルは、私たちの本来の気の流れを乱してしまいます。
食事では、もともと特定の季節にしか採れなかった食材を、ハウス栽培や養殖などで真反対の季節にたくさん食べることも、古来から続く人間の生活や地球の自然な在り方から離れています。
また、真夏に寒すぎるくらいの冷房を浴びたり、冬に汗ばむくらい暑い部屋で過ごすことも、人間のカラダを混乱させ、私たちの持つ調節機能が衰えてしまう可能性も。
そして、普段の生活において、自分が心から「やりたい」と思うことをやらずに、「やりたくない」ことをやり続けるのも、私たち自身のココロを無視して気の流れを停滞させます。

このように、私たちが地球上の生物であることや、自然の一部であることを忘れてしまうと、スムーズだったはずの気の流れが滞りはじめます。
そして何より、私たち自身の自然な反応や感情を無視してしまうことが、いわゆる「ストレス」に繋がるのだと感じます。

ストレス=気滞を解消するには

ストレス=気滞を解消するには

まず一番大切なのは、生活リズムを整えることです。
夜更かしをしないだけでなく、しっかり早起きをすることを心がけると、自分の体内リズムが整ってきて、スッキリと巡りがよくなるのを実感できます。

そして、できるだけ季節に抗わない暮らしを。
年々気温の差が激しくなっていますが、それを冷暖房で調節するだけでなく、服装や食べ物でカラダを整えていく工夫をしてみてください。
基本的に、旬の食べ物を食べることは、体内のバランスを整えてくれる効果があります。
例えば、夏に食べるきゅうりなどのウリ類は、カラダを内側から冷やしてくれる効果があり、反対に冬に食べる根菜類は、カラダを温めてくれる効果があります。
そういったものを生活に取り入れていくだけで、少しずつ私たちは調節機能を取り戻し、気の流れが整いはじめます。

そして最後に、私たちが最も直接的にストレスを感じること…それは、自分の意思に背くことを行うことです。
自分よりも他を重んじたり、周りの目を気にして自分の言いたいことややりたいことを言わないのは、それまで心地よく流れていた気の流れを急停止させるようなことになります。
果たしてそれは、本当に自分のためになっているのか?周りのためになっているのか?一度よく振り返ってみてください。
もしかしたら、自分が想像していた以上に、不必要な「気の停滞」を引き起こしていたかもしれません。

そして、ストレスをかかえていると思ったとき、気の流れを改善したい停滞を解消したいと思ったときには、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみるのも対策のひとつです。
気の流れを整えて、ココロもカラダも健康な毎日を送りましょうね。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

Jun 23 2020

薬剤師・森田博美

関連コンテンツ