漢方ビュー通信

免疫力を上げるために“胃腸のケア”を!

世の中には、ウイルスや細菌などによるさまざまな感染症が存在しますが、このような目に見えない敵は、空気中に浮遊していたりさまざまなものに付着していたりします。
しかし、私たちがそれらに触れても簡単に病気にならないのは、カラダの中で「免疫力」が働いているからです。

免疫力のメカニズムは未だすべてを解明されていない分野ではありますが、その力を上げるのはさほど難しくはありません。

今回は、その中でも土台となる、「胃腸の健康」に絡めて解説します。

胃腸の健康はなぜ大切?

胃腸の健康はなぜ大切?

胃腸は、一般的には“食べ物を消化吸収するところ”として知られていますが、じつは免疫機能にとても大きく寄与しています。それは、カラダ全体に存在する免疫細胞のうち、およそ7割が腸内に存在しているから。

免疫細胞とは、ウイルスや細菌などの病原菌が体内に侵入した際、カラダを守るために戦ってくれる細胞のこと。
腸内から血液に乗って全身に運ばれることで、私たちの健康を保ってくれています。

そんな頼もしい免疫細胞ですが、その免疫力を最大限に発揮するのに不可欠なことは、私たちの胃腸が健康であることです。
そのため、次に漢方の視点からも胃腸の健康について考えてみたいと思います。

漢方から見た胃腸(脾)の役割

漢方では、食べ物から栄養を取り込み、それを消化して全身に運ぶ役割をする臓腑のことを「脾(ひ)」といいます。
脾は栄養を取り込むことで、「気(き)」や「血(けつ)」を作り出すとされています。
中でも「」は、生命活動に必要なエネルギーのことで、免疫力とも深く関わっています。
気が不足すると、明らかに元気がなくなり、食欲も低下し、カラダ全体のパワーが低下します。
すると、免疫力が低下し、さまざまな感染症にかかりやすくなってしまうのです。

そのような状態を防ぐためには、まず脾が正常に働くようにすることが何よりも大切。
とてもシンプルですが、脾がしっかりと食べ物から栄養を吸収できる状態になるだけで、私たちの健康は飛躍的に上がるのです。

胃腸(脾)の健康のためにできること3選

胃腸(脾)の健康のためにできること3選

1)胃腸をしっかりと休めること

現代人は、基本的に“食べ過ぎ”といわれています。
朝昼晩の3食に加え、間食やデザートなどを食べてしまうと、胃腸が休まる暇はほとんどありません。
胃腸が食べ物を消化するのに要する時間は7〜8時間といわれており、食事を摂ったあと時間を空けずにまた食べてしまうと、胃腸は常に働き続けなければなりません。
じつは、胃腸が正常に働くためにはしっかりと「空腹」をつくることが大切。胃腸は空腹のとき「ぐー」と音を鳴らしながら強い収縮をして、大掃除を始めます。

もし、食べ過ぎていたり、お腹が重いと感じたら、1週間程度の「夕飯断食」をおすすめします。
寝る8時間前には昼食を済ませ、夕食を食べない生活を1週間ほど続けます。その間、水やお茶などの水分は積極的に摂取して、アルコールやカフェイン、砂糖の入った飲み物は避けるようにしてください。1週間後、お腹だけでなく、カラダ全体が軽くなるのを実感できると思います。

2)消化に良いものを食べること

夕飯断食と共におすすめしたいのが、日頃から消化に良い食事を心がけること。野菜中心の食事や、発酵食品を多く取り入れることで、胃腸の回復を助けます。
また、控えるべき食材としては、脂っこいお肉や、揚げ物など。スナック菓子や砂糖のたっぷり入ったお菓子もおすすめできません。
ただし、時には好きなものを思いっきり食べることも大切です。
ジャンクフードやお菓子が好きな人は、日頃の食事をなるべくヘルシーにすることでバランスを取り、好きなものを罪悪感なく楽しんでもいいのではないでしょうか。

3)漢方薬を服用する

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漢方薬の中でも代表的な胃腸薬は「安中散(あんちゅうさん)」です。
ストレスにより胃のあたりの膨張感や不快感を生じる神経性胃炎や、食欲不振、吐き気、胸焼けを伴う方の慢性胃炎など、じつに幅広く用いられます。
漢方薬は専門家による判断がとても大切です。個々の体質や症状によっても処方が異なりますので、医師や薬剤師に相談して、アドバイスを受けながら活用してください。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/search.html

Jul 10 2020

薬剤師・森田博美

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