漢方ビュー通信

肌トラブルの原因、紫外線対策はしっかりと!

肌トラブルの原因、紫外線対策はしっかりと!

夏を迎えて、日差しを強く感じる日が増えてきました。
さて、日差しといえば気になるのが肌の大敵“紫外線”
じつは、紫外線量は、1年の中でも特に5月から8月にかけて量が多くなっているとのこと。
真夏のような暑さを感じていない日でも、紫外線対策が必要な時期真っ最中なのです。

紫外線は、さまざまな肌トラブルの原因になるので、しっかりと対策をしておくことが大切です。

そこで今回は、薬剤師である筆者が、この紫外線について解説します。

シミに関係しているのは“メラニン色素”

肌にできるシミの原因は、メラニン色素によるものです…が、じつはメラニン色素は全くの悪者ではありません。
なぜなら、メラニン色素は紫外線から肌を守るために生成されていて、紫外線を吸収したり、炎症や細胞が傷つくことから防いでくれたりしているからです。

通常であれば、肌のターンオーバーのタイミングで、メラニン色素は排出されます。
しかし、一度に紫外線を浴びすぎたり、加齢によって肌の新陳代謝が乱れたりすることで、メラニン色素が排出されずに残ってしまうと、シミの原因になってしまいます。

また、マクロファージと呼ばれる免疫細胞もメラニン色素の排出に役立っています。
そのため、免疫を下げてしまうストレスや睡眠不足などもシミの原因となってしまうことがあります。

紫外線の種類で受ける影響も変わる

紫外線にはUV-A、UV-B、UV-Cの 3種類があります。
このうち、地上に届くのがUV-AUV-Bで、UV-Cはオゾン層に吸収されてしまうため、地上には届きません。

UV-Aは、波長の長い紫外線で皮膚の深いところに影響するため、コラーゲンやエラスチン繊維を破壊し、シワやたるみなどの老化現象の原因となります。また、浴び続けることで皮膚がんのリスクを高めるとされています。
UV-Bは、波長が中程度の紫外線のため、皮膚の深いところではなく表面に影響し、シミの原因となります。

紫外線対策を忘れがちなシチュエーション

紫外線対策を忘れがちなシチュエーション

よく晴れた日や外出をする際は、しっかりと紫外線対策をする方が多いと思います。
しかし、次のようなシチュエーションでは、しっかりと対策が取れているでしょうか?

1)曇りの日

地上に届く紫外線の9割は、UV-Aになります。
UV-Aの特徴は、雲を突き抜けることができること──つまり、曇りの日でも紫外線量がゼロになるわけではありませんので、紫外線対策は必要となります。
ちなみに、晴れの日の紫外線量を約90~100%とすると、うす曇りから曇りの日の紫外線量は約60~90%です。
さらに、雲の隙間から太陽が出ている時には、雲からの散乱光が加わり、晴れの日よりも紫外線が強いこともあります。

2)窓際の室内

意外と油断してしまうのが“室内”。
紫外線は窓ガラスも通過しますが、特にUV-Aは約8割も通過しているといわれています。
カーテンなどで対策をしてほしいところですが、それでも半分は通過してしまうとのこと。
1日家に居るという時でも、せめて日焼け止めを軽く塗ることをおすすめします。
また、車や電車などの移動中の紫外線にも注意が必要です。

このように、曇りの日や外出の予定がない時でも、紫外線対策は必要です
場所や時間帯に合わせて、適した対策を行うようにしましょう。

紫外線の対策は、カラダの内側からも

紫外線対策として、代表的なアイテムは「日焼け止め」です。
その日焼け止めの選び方のポイントとして、注目してほしいのが「PA」という数値。
PAは、室内や曇り空、日陰などの環境下でも影響をうけてしまうUV-Aのブロック効果を表すものになります。
したがって、普段使いの日焼け止めは、このPAに注目して選ぶのがおすすめです。
※PAの数値は「+」の数で強度(4段階)を表しています

また、日焼け止めの効果は、朝塗ったとして丸1日持つというわけではありません。
どうしても、汗をかいたりすることで落ちてしまいますので、こまめに(2〜3時間に1回)チェックして塗り直すようにしましょう。

次に、カラダの内側からの対策として、漢方薬という選択もあります。
漢方医学には、「気・血・水(き・けつ・すい)」という考え方があり、この3つの要素が体内をうまく巡っている状態が健康とされ、いずれかが不足したり、偏ったり、滞ったりした時には何かしらの不調が起きてくると考えられています。

気・血・水

例えば、「血(けつ)」の巡りが悪いと、顔が黒ずんだり、皮膚の新陳代謝が落ちたりすると考えます。そこで、「血(けつ)」の巡りを促すことで、皮膚の新陳代謝を助けてくれる漢方薬が役立ちます。
ただし、漢方薬はあくまで医薬品なので、これから試してみたいと思う人は、必ず漢方に詳しい医師に相談をするようにしてくださいね。

人間は、日々歳を重ねていきます。
そして、その過ごし方によって、シミ、シワ、たるみが作られていき、人それぞれの形で現れてきます。
来年も再来年も、きれいな肌を保つために、今できる対策をしっかりとしていきましょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/search.html

Aug 7 2020

薬剤師・大久保 愛

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