漢方ビュー通信

キリキリと胃が痛む、胃がもたれる…。そんなときの対処法は?

キリキリと胃が痛む、胃がもたれる…。そんなときの対処法は?

胃の役目は「消化」と「貯蔵」と「殺菌」

ストレス発散のための暴飲暴食や、新種のオンライン飲み会での飲み過ぎ。そのせいか、朝から胃がキリキリと痛い。胃がもたれて気持ちが悪い――。
コロナ禍で、こんな胃腸の不快症状に悩んでいる人はいませんか。

消化管の一部である胃は、ある意味、健康のバロメーターでもあるといえます。
ストレス過多な現代、ついつい胃に負担をかける食事を摂ってしまいがちですが、ときには優しくいたわってあげることも大切です。

そこで、まずは胃の働きについて簡単に解説します。
胃の主な役目は、「消化」「貯蔵」、そして「殺菌」です。
胃酸や消化酵素によって食べものを溶かし、かゆ状にする働きを「消化」、それらを少しずつ十二指腸に送るよう溜めておく働きを「貯蔵」といいます。
また、強い酸性である胃酸が、食べものに付着していた細菌を死滅させます。これが「殺菌」です。胃は粘膜によって守られているので、胃酸のダメージを受けることはありません。

胃の粘膜が傷ついて炎症や潰瘍を起こす

胃の粘膜が傷ついて炎症や潰瘍を起こす

胃がキリキリ、シクシクする。
そんなふうに表現される胃痛ですが、引き金になるのが暴飲暴食やストレス、タバコ、アルコール、コーヒーなどの刺激物です。

先ほど、胃は粘膜によって胃酸の強い酸性から守られていると解説しましたが、じつは、暴飲暴食などによって胃酸が過剰に分泌されるようになると炎症や潰瘍ができ、それらが痛みの原因となります。
つまり、胃痛があるときは食事を消化のよい、温かいものにして、胃の負担をやわらげることが大事です。
また、単なる胃痛だと思っていたら違う病気による痛みだったということもあります。例えば、胃がんや胃食道逆流症、膵炎、胃・十二指腸潰瘍などが挙げられます。

胃もたれが起こる原因は暴飲暴食だけではない

胃もたれが起こる原因は暴飲暴食だけではない

何となく胃の調子が悪いときに口にする「胃がもたれる」という言葉。
胃に食べものが長くとどまっているような不快感、胃が重たいと感じる、ムカムカするといった症状にあたります。

主な原因は消化不良で、食事で摂った食べものや飲みものがいつまでも胃にとどまっていることで生じます。
引き金になるのは暴飲暴食だけでなく、油っぽい食事の摂り過ぎ、香辛料など刺激物の摂り過ぎ、ストレス、タバコなどのほか、加齢による胃の消化機能の低下も挙げられます。
若いころは平気で食べていた揚げものが、最近、食べられなくなった…。そんな経験がある人は、加齢による機能低下が影響しているのかもしれません。

このほか、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、機能性ディスペプシア、胃がんといった病気、服用している薬や、糖尿病が原因で胃もたれを起こすこともあるので、注意が必要です。

胃痛・胃もたれの薬物治療は?

胃痛や胃もたれでは、消化管運動機能改善薬や胃炎・胃潰瘍治療薬、整腸剤などが使われています。漢方薬も有用で、これらの症状で処方されることが少なくありません。

代表的な漢方薬としては、胃もたれに対する「安中散(あんちゅうさん)」、胃痛に対する「六君子湯(りっくんしとう)」などが挙げられます。

まだ漢方薬を服用したことのない人へ

医療機関では前述したような病気がないかを診察や検査で調べ、その上で治療を進めることになります。胃痛や胃もたれが長引くようなら、一度、受診を考えてみてもいいかもしれません。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

Dec 1 2020

医療ライター・山内

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