少しでも若く!それなら「腎」のケアがおすすめです
女性の関心が高いテーマといえば「アンチエイジング」──。
化粧品やエステなどのサービスを思い浮かべてしまいがちですが、本来の意味としては、心身の老化を少しでも抑え、できるだけ若さや若々しさを保つこと、またそのための取り組みのことをいいます。
じつは、漢方医学の中にも、現代のアンチエイジングに似た考えが存在します。
今回は、カラダの外側からではなく、内側からケアをする方法をお伝えします。
「腎」の不調が老化につながっている!?
漢方医学では、西洋医学と異なる臓のとらえ方をしており、「五臓」という概念があります。
それぞれ「肝(かん)」、「心(しん)」、「脾(ひ)」、「肺(はい)」、「腎(じん)」と名付けられ、非常に重要視されている考え方になります。
そのなかでも「腎」は、気温が低いと不調になりやすいといわれており、健康や美容に大きく影響するとされています。漢方医学における腎とは、いわゆる「腎臓(kidney)」ではなく、泌尿・生殖器系を意味しています。
腎は、生命力やエネルギーを蓄える場所で、成長や発育、生殖などを担っており、また全身の水分代謝を調整する役割もあり、そのバランスが崩れると排尿トラブルを起こすことも…。
さらに、ホルモンバランスやエイジングとも密接に関係しているため、腎の不調は老化現象にもつながるとされているのです。
漢方の考え方では腎が不調になると、次のような症状が出やすいとされています。
・足腰のだるさ
・耳鳴り
・白髪や抜け毛等の髪のトラブル
・精力減退や不妊
「なんだか最近疲れやすい…」、「肌のハリや弾力が失われてきたかも?」というような実感がしたら、それはもしかしたら腎の不調からきているかもしれません。
「腎」ケアの基本を紹介
そんな腎をケアするのに一番大切なのは、まずはカラダを冷やさないこと。
まだまだ肌寒い時もあるので、外に出るときはしっかりと防寒して、必要があればホッカイロで腰を温めるのも効果的です。
朝晩、白湯を飲む習慣をつけると、カラダの芯から温まるのでこちらもおすすめ。毎日湯船に浸かることもぜひ試してみてください。
そして、これは意外かもしれませんが、運動は少し控えるのがベター。
腎に不調があるときはカラダがだるく疲れていることが多いため、できるだけ休息を取るようにしましょう。睡眠も、日付が変わる前に寝ることができるとよいでしょう。
どうしても運動がしたい場合は、ストレッチがおすすめです。
血流などの巡りがよくなるため、リラックスした状態で行ってみてください。
また、ストレスは腎の大敵でもあります。
自分なりの発散方法を見つけ、ゆっくり過ごすようにしてください。
「腎」に効果的な食べ物は?
“バランスのよい食事”は、どの季節においても重要です。
例えば、旬の食材はみずみずしく栄養価がたっぷりなので、健康や美容に最適です。
腎と相性のよい食べ物を紹介します。
<鹹味(かんみ)のある食材>
鹹味とは、塩辛い味と言い換えることもできます。
昆布、ひじき、わかめ、のりなどの海藻類や、牡蠣、海老、鮭、鱈などの魚介類などがあります。
これらは腎の働きを高めるといわれており、火を通して食べるのがおすすめです。
<黒い食材>
“黒”は腎と相性がよいといわれています。黒木耳(黒きくらげ)、黒ごま、黒米、黒豆、海藻類、しいたけ、黒糖など。
こちらも腎の働きを高める作用があります。
<気(き)を補う食材>
「気」とは、カラダを巡るエネルギーのことです。
気を補う食材は腎だけでなく、ココロとカラダ全体に元気を与えてくれます。
赤身肉、羊肉、しいたけ、イモ類、雑穀、うなぎ、すっぽん、高麗人参、なつめなど。
一番大事なことは、「無理をしないこと」
季節の変わり目で気候が安定していない時は、どことなく気分が落ち込みやすくなりますよね。
人は本来、自然のリズムと調和して生きてきたため、肌寒い時などは活発に活動せず、心穏やかに過ごしてきたとされています。
このような時期に無理やりカラダを動かしたり、新しいことを始めようとしたりすると、心身のバランスを崩して不安定になってしまうことがあります。暴飲暴食をしたり、過度なストレスにさらされても同様です。
自分のココロ、カラダとしっかり向き合って、無理をしないこと。これが一番大事なことです。
また、腎は不安や恐れといった気持ちと密接につながっているため、腎のケアをすることで毎日を健やかに過ごすことができるでしょう。
自分のココロやカラダの状態をしっかりと見つめ、バランスの取れた日常生活を送ることが健康で若々しくいるためのポイントです。食事や睡眠、適度な運動を中心に、自分なりのバランスを探してみてくださいね。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
薬剤師・森田博美