漢方ビュー通信

感情コントロールが難しい今だからこそ、ココロのケアを!

感情コントロールが難しい今だからこそ、ココロのケアを!

人は予測できないことが起きると、緊張したり不安に感じたりして身構えてしまいます。
とくに、この1年余りは新型コロナウイルス感染症の影響で予測不可能なことが次々に起こり、予定がずれたり、他人のことが気になったりしてイライラを感じ、ストレスを抱えた人が急増したと思います。

そこで今回は、薬剤師である筆者が、最近増加しているココロの病気について解説します。

なぜ感情のコントロールができないのか?

自分は打たれ弱い、なんでもネガティブに考えてしまう、一度悩むと寝る時まで引きずって眠れなくなってしまう──このようなタイプに当てはまりませんか?

では、ここで過去の自分を振り返ってみてください。
果たして、昔からずっとこのような“ネガティブマインド”だったのでしょうか?
きっと、犯したミスやハプニングに対して、『そんな日もある、タイミングが違っただけ、その分いいことがあるはず』などと、少しでもポジティブに考えることができた過去もあったはずです。

では、いつから物事を常にポジティブに捉えられなくなってしまったのでしょうか。
じつは、マイナス思考に陥っている時や感情のコントロールがうまくできない時には、何らかの影響で「自律神経」が乱れていることが考えられます。
自律神経は、生命維持のために24時間365日、常に働いてくれている神経ですが、自分自身ではコントロールできない神経です。

自律神経は、交感神経と副交感神経という2つの神経が対になってバランスをとってくれています。
バランスがとれている時には、体調もよくココロの状態も安定していますが、バランスが乱れていると、ココロとカラダの調子が悪くなり、自分に対して余裕がなくなっていきます。

例えば、緊張すると手汗や冷や汗が出たり、お腹が痛くなったり、食欲がなくなったり、胸がドキドキしたり、手先の冷えを感じた経験があるかもしれませんが、これは自律神経のうち交感神経が優位になっている状態になります。

このように、何らかの要因で自律神経のバランスが乱れ、その影響でココロの状態が悪くなって、さらに乱れていくという負のスパイラルに入り込んでしまうと、だんだん感情のコントロールができなくなってしまいます。

自律神経が乱れる原因はストレス

自律神経が乱れる原因はストレス

自律神経が乱れる原因として多いのは、やはり過度のストレスが長期的に続くことだと思います。

ストレスは、先の見えない不安や人間関係をはじめ、騒音や匂い、光などの刺激も要因になります。また、生活リズムの乱れによる睡眠不足や、生活習慣や栄養バランスの乱れも挙げられるでしょう。
他にも、意外な要因として天気(気温、気圧、湿度、日照条件など)の影響もあります。雨や曇りの日に気持ちが滅入ってしまう経験は誰でもあるのではないでしょうか。

そして、女性には1カ月の中で起きるホルモンの変動の他に妊娠出産、更年期などにも影響されてしまいます。そのため、男性より女性の方が感情的になりやすい機会が多いとされています。

ココロのケアに漢方という選択肢を

この1年、世界中の人が不安や苛立ちなど、さまざまなストレスに見舞われたことでしょう。
それは、つまり、自律神経を乱された人が多かったことを指しています。
そして、生活様式の変化に伴う生活リズムの変化、食生活の変化、在宅ワーク推奨による運動機会の低下などで、それらはさらに助長された形になってしまったと考えられます。
対処法として、心療内科にかかることも挙げられますが、さすがに抵抗がある人もいるかもしれません。

そこで、おすすめの選択肢に漢方薬があります。

「気(き)」の不調には漢方薬を

漢方の考え方では、カラダに起きている症状を、全体的なバランスを回復させていくことで、自律神経の乱れを整えていくように促していきます。
漢方薬の種類はさまざまですが、カラダに現れた自覚症状を重視し、その人の体質を見極めた上で、その人に合う処方ができるので、本人にしかわからないツラい症状に対して、よりよい選択をすることができるといえます。
また、医師や薬剤師に相談することで、自分自身と向き合うこともできるので気持ちの面でも楽になってくると思います。

しかし、自律神経の乱れを改善する近道は、やはり生活習慣の見直しです。漢方薬はあくまでそのサポート役として捉えておくことが大事です。
ココロの状態に悩む人は、漢方に詳しい医師や薬剤師に一度相談をしてみてはいかがでしょうか。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
http://www.kampo-view.com/search.html

May 18 2021

薬剤師・大久保 愛

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