免疫力アップに必要な3つのポイント
ちょっとした気温や気圧、湿度などの変化によって、すぐに風邪気味になったり、咳がでたり、吹き出物ができやすくなったり、口内炎がいくつもできたり、歯茎に違和感がでたり、お腹の調子が悪くなったりすることはないでしょうか。
これらは、外界から身を守る力──“免疫力の低下”が影響しているかもしれません。
特に、乾燥している季節や冷えやすい季節には免疫力が低下しやすいので、何らかの対策をとる必要があります。また、季節の変わり目には、さらに気温や気圧の変化が大きくなり、自律神経も乱れ、さまざまな不定愁訴を併発する人が増えてしまう傾向があります。
そこで今回は、薬剤師である筆者が、寒くて乾燥した今の時期にできる、“防御機能を高める対策”を紹介します。
防御機能を高めるポイントは「粘膜」
防御機能を高める…、要するに免疫力を高めるわけですが、そのキーとなるのが「粘膜」です。
粘膜は体内の至るところにあり、花粉やウイルスなどのあらゆる外敵から身を守ってくれる免疫物質(IgA)が存在しています。
つまり、このIgAの分泌を増やすことは、花粉症対策をはじめ、カラダの調子を整え、さまざまな病気から身を守ることにつながっているのです。ですが、IgAは加齢やストレス、乾燥、栄養状態などでも分泌が低下するので注意しなければなりません。
粘膜を守り強くする方法とは
粘膜を守り、かつ強くしていく方法は次の3つです。それぞれ詳しく解説します。
乾燥対策をしっかりと
寒い時期には空気が乾燥しますが、その影響で寝起きに喉がイガイガしたり、口や鼻の中が乾いたりするような感覚になることがあると思います。
じつはこれ、口や鼻に存在する粘膜が乾燥しているサイン。暖房の設定に気をつけたり、加湿器などを活用したりして、乾燥を軽減する工夫をしましょう。
腸内環境を整える
粘膜細胞は、1~2日程度で消滅して3日程度で生まれ変わります。なので、代謝の回転を円滑に行う必要があります。
そこで重要なのが、細胞の材料になるタンパク質の摂取です。
ただし、摂取したタンパク質を有効利用するための消化吸収能力に問題があれば、単純にタンパク質を食べただけでは粘膜は強化されず、逆に腸管に害を与えることもあります。
そのため、腸内環境を整えることも同時に行っていくことが大切です。また、IgAは腸内に多く存在しているので、なおさら腸内は気を配るべき器官といえます。
腸内環境を整えるために、適度な運動や十分な睡眠、タンパク質など栄養に気をつけた食生活を心がけましょう。
粘膜強化につながる栄養を摂る
粘膜を強化する栄養素として、ビタミンDやビタミンAがあります。特に、ビタミンDは、皮膚の表面で防御機能として働いているディフェンシンなどの抗菌ペプチドを作るために役立つので重要な栄養素といえるでしょう。
ビタミンDは、食事による摂取のほかに、太陽の光を浴びることで生成されるものがあります。日照時間が短くなる今の時期には、ビタミンDが不足しやすくなることが多いので、早起きや日中の散歩などを意識的に行うとよいでしょう。
粘膜のサポート役に漢方薬も
粘膜を守り強くする方法は、粘膜を乾燥させないこと、粘膜の代謝を円滑にするために腸内環境を整えること、粘膜強化につながる栄養を摂ることが重要なポイントだということが理解できたと思いますが、さらに漢方薬でサポートしていくこともおすすめです。
例えば、喉に潤いをもたらすことに期待できる「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」や腸に潤いをもたらして便秘の改善が期待できる「麻子仁丸(ましにんがん)」、気力を補い疲労倦怠や虚弱体質を改善するとされる「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」などがあります。
このほかにも、その時の状態や体質によって適した漢方薬がありますので、気になる人は漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談してみるとよいでしょう。
免疫機能を健康的に保っていく選択肢のひとつとして、漢方薬を試してみてはいかがでしょうか。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛