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汗のニオイであなたの疲労度がわかる!?

汗のニオイであなたの疲労度がわかる!?

暑い季節は汗をかきやすいので、カラダや着ている服のニオイが気になる人も多いと思います。
気温が高く湿気が多い環境だと、ニオイは出やすくなってしまうのですが、汗をかく理由はさまざまで、事前にそのニオイ対策を取ることができるんです。

今回は薬剤師である筆者が、汗をかく理由とニオイ対策について解説します。

発汗のメカニズム

汗をかく理由は、大きく分けると3つに分類されます。
それぞれ解説していきます。

<温熱性発汗>

人はカラダを動かすためにエネルギーを使いますが、その際に“熱”が発生します。
その熱が体内にこもり続けると、どんどん体温が上がってしまいます。
すると、視床下部で体温の上昇を感知し、熱を発散させるために汗をかき、蒸発する時の気化熱を利用することで体温の上がりすぎを防いで体温調節をします。
温熱性の場合は、全身から発汗することが多く、ニオイはほとんどしないと言われています。

<精神性発汗>

緊張やストレスにより自律神経が乱れ、交感神経が活発になり発汗します。
精神性の場合は、手や脇、足の裏など局所的に発汗することが多いです。また、タンパク質やミネラル、皮脂を含むため、ニオイがきついと言われています。

<味覚性発汗>

辛いものや酸っぱいものを食べた時に、交感神経が刺激され、その結果発汗が促されると言われています。味覚性の場合は、額や鼻を中心に発汗することが多いです。

ツンとするアンモニア臭い汗は「疲労臭」

ツンとするアンモニア臭い汗は「疲労臭」

アルコールの飲み過ぎや夏バテ、疲労などが重なると臭いニオイの汗が発生しやすくなります。
このニオイは「疲労臭」と呼ばれ、原因物質はアンモニアです。
正常な肝臓は、アンモニアを毒性のない尿素に分解し、尿として体外に排泄します。
しかし、アルコールの飲み過ぎや夏バテ、疲労などにより肝臓の働きが低下すると、アンモニアを分解する力が低下し、体内にアンモニアが溜まってしまいます。すると、アンモニアが血液に乗って全身をめぐり、汗や皮脂として分泌され、臭いニオイを発生させるのです。

疲労臭を予防する栄養素

臭い汗のニオイには、肝臓の機能低下が起因していることが分かりました。
つまり、肝臓の働きを助け、アンモニアの分解を促すことが、ニオイ対策に必要なことなのです。
それでは、肝臓を助ける栄養素を多く含んだ食材を紹介します。

オルニチン

代謝回路のひとつに、アンモニアを無毒な尿素に解毒する「オルニチン回路(尿素回路)」があります。そこでオルニチンは必要不可欠な物質で、シジミチーズに多く含まれています。

疲労臭を予防する栄養素:オルニチン

クエン酸

疲労解消に良いことで有名です。
エネルギーを作り出すカラダの仕組みに、「クエン酸回路(TCA回路)」というものがあります。この回路に必要不可欠なのがクエン酸で、梅干しレモンなどに多く含まれています。

ニオイがない汗は健康的で良いですが、ニオイが強い汗は疲労、ストレス、アルコールの飲み過ぎ、皮脂分泌の異常などが原因であることが多いとされます。
制汗スプレーなどの表面的な対策だけではなく、根本的な部分から改善を行ってみてはいかがでしょうか。

疲労臭を予防する栄養素:クエン酸

疲れやすいカラダは危険信号

もちろん汗をあまりかかない人にも疲労感はあると思います。
疲労とは、一般的には心身が消耗し回復のための休息を必要としている状態とされています。疲労が溜まると、「疲れた」という状態にとどまらず、仕事や勉強などの効率を低下させたり、ミスが生じやすくなったりします。
小休止や休息、睡眠、休養、栄養補給という疲労回復の方法を適宜とることが必要となります。

こうした疲労対策を行っていても、疲労が回復できない場合は、何か病気の症状として現れている可能性もありますので、必要に応じて検査を受けることをおすすめします。

Aug 17 2018

薬剤師・大久保 愛

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