漢方ビュー通信

あなたの腸内環境は大丈夫?“便”で分かる健康状態

あなたの腸内環境は大丈夫?“便”で分かる健康状態

毎日の便通、特に「便秘」に悩みを抱えている人はいらっしゃいませんか?
また、“便のタイプ”で腸内の健康状態を測ることができるというのを聞いたことがある人も多いと思います。
便のタイプには、コロコロした硬いものや、液状に近い柔らかいものなどありますが、これらは腸内環境のバランスが影響している場合があります。

今回は薬剤師である筆者が、腸内環境と便の関係について解説します。

腸内細菌のバランスで健康が左右される

腸内細菌のバランスで健康が左右される

じつは、私たちの腸内にすんでいる(腸内細菌)の総量は、ざっと1〜1.5kg程度に及ぶとされています。そして、この環境の中には、「善玉菌」「日和見菌(ひよりみきん)」「悪玉菌」がバランスを保ち存在しています。

健康な便の約8割は水分で、それ以外の約1/3は腸内細菌が占めています。

ちなみに、代表的な善玉菌には「ビフィズス菌」や「乳酸菌」が挙げられますが、腸内でこの善玉菌が優位になると、オリゴ糖や食物繊維などの糖質の分解が進みます。そして、酪酸や乳酸などの酸が作られ、悪玉菌がつくる有害物質の産生を抑えることもできます。また、これらの酸は腸の刺激となり、蠕動(ぜんどう)運動が促されます。

逆に、「ブドウ球菌」や「ウェルシュ菌」、「大腸菌(有毒株)」などに代表される悪玉菌が優位になると、タンパク質を腐敗させて、アンモニアなどの有害物質を生み、下痢や便秘、臭いおならがお腹に溜まる原因となります。
さらに、栄養の吸収低下や、充満した有害物質が他の臓器にも悪影響を及ぼすなど、良いことがありません。

硬いコロコロ便は腸内環境が悪化しているサイン

便が、腸内に長時間留まっていると、水分の再吸収が進み“硬いコロコロ便”に変わっていきます。
硬い便は、腸壁を傷つけることで痛みが生じたり、痔を発症させる可能性があります。
また腸内に長期的に留まっているため、悪玉菌による腐敗が進み、有害物質がどんどん体内に取り込まれていき、多くの健康被害を起こしやすくなっていきます。
コロコロ便を感じていて、胸焼けやめまい、肌荒れ、免疫の低下が悩みという人は腸内環境を早急に整える必要があるかもしれません。

腸内の動きをよくする方法

腸内の動きをよくする方法

腸内の動きをよくするためには、善玉菌を増やすこと、水分の不足を作らないこと、お腹周りに筋肉をつけることなどが考えられます。
では、具体的にどのような方法があるのか紹介していきます。

1)食物繊維を摂る

水溶性食物繊維”であるワカメや昆布などの「海藻類」と、“不溶性食物繊維”である切り干し大根やゴボウなどを1:2の比率で摂りましょう。
コロコロ便に加えおならが臭い人は、食べた肉や魚の量の3倍程度の食物繊維を摂るように意識しましょう。

2)肉を控える

鶏肉や牛赤身など、低糖質高タンパクな肉類が流行しています。
しかし、お腹に違和感を感じている人は、悪玉菌優位な腸の環境によってタンパク質が腐敗され、余計に腸内環境を悪化させてしまう可能性があります。
自分のカラダに合う、肉の摂取量をみつけてみましょう。

3)水分はこまめに摂る

食事中の水分摂取は、食べ物が大腸に届いた時に水分が豊富に含まれるというデータがあります。コロコロ便が気になる人は、食事中の水分摂取も意識してみましょう。

良好な腸内環境をつくることは“健康”に直結します。
そして便の状態は、その健康状態を測るバロメーターです。私たちのカラダは、食生活や運動のほか、ストレスなどの影響で日々変化します。
コロコロ便が続いたり、おならがいつもより臭い、お腹が張るなどの変化があったら、腸内活動を考えましょう。

便秘に漢方薬も

だるさや病気とは言えない不調への対策は漢方薬がオススメ

漢方の見方では、便秘は「気・血・水」のなかの「」の不足、ストレスや緊張による「」の異常、「」の異常である「お血」などによって起こると考えられています。
便秘以外の症状がない場合は、西洋医学的な「下剤」のような利用の仕方、つまり症状があるときだけ一時的に使うことが多く、便秘以外の症状を伴うときは、体質改善を行いつつ、お通じの状態を整えるという使い方をしていきます。いずれにしても自己判断はせずに、医師に相談して処方してもらいましょう。
詳しいことは、下記「悩み別漢方」で解説していますので、こちらもぜひ参考にしてみてくださいね。

便”は自分の生活習慣を正すための指標になるので、毎日きちんと観察する癖もつけましょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

Sep 21 2018

薬剤師・大久保 愛

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