漢方入門!漢方薬の名前に隠された秘密を解説
漢方薬の名前には、難しい漢字や長い名称のものが多く、さらに種類も多いのでなかなか覚えにくいですよね。
しかし、代表的な漢方薬には「葛根湯(かっこんとう)」や「麻黄湯(まおうとう)」など“湯(とう)”がつくもの、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」や「抑肝散(よくかんさん)」など“散(さん)”がつくもの、そして「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」や「八味地黄丸(はちみじおうがん)」など“丸(がん)”がつくものなど、ある法則があります。
今回は、薬剤師である筆者が漢方薬の「〜湯・〜散・〜丸」の違いについてわかりやすく解説します。
漢方薬の語尾は製法の違い
最近の漢方薬においては、“粉ぐすり”のイメージが強いと思います。
しかし、もともとは粉ぐすりに限らずさまざまな形態の漢方薬がありました。
これは、漢方薬の元となる生薬の有効成分をいかに上手に取り入れるか、香りや味などの効果を生かすにはどのようにすれば良いかなど、試行錯誤が繰り返されていたからです。
その結果、漢方薬はさまざまな製法によって生み出されることになります。
そして冒頭で述べたように、製法によって〜湯、〜散、〜丸などの名前で振り分けるようになりました。
それでは、それぞれの特徴を解説していきます。
「湯(とう)」がつく漢方薬
生薬を水から煮詰めてつくる、いわゆる“煎じ薬”で、もっともスタンダードな漢方薬の形態です。香りや味も効能のひとつとすることができます。
「散(さん)」がつく漢方薬
生薬を細かく粉砕して粉にした原末です。
加熱により有効成分を失ってしまうものや、精油部分に有効成分があり煮詰めることができない生薬の加工に使われます。
「丸(がん)」がつく漢方薬
細かく粉砕した生薬を、蜂蜜などを加え丸く固めたものです。
精油部分に有効成分があり、揮発しやすい特徴をもっている生薬の加工に使われます。
現在の主流は「エキス製剤」
漢方薬は時代の流れとともに「エキス製剤」と呼ばれる形態が主流となってきました。ちなみに、現在の医療機関で処方される漢方薬のほとんどは、この「エキス製剤」になります。
エキス製剤(※)は、毎日忙しく時間のない現代人のライフスタイルに合わせて、携帯に便利で飲みやすく、長期保存もしやすいように作られました。
このように、漢方薬は常に患者のことを考えながらアップデートを繰り返してきました。
しかしながら、前提として漢方薬はその人の体質や症状に合ったものでないと、十分に効果を発揮することはできません。
漢方に詳しい医師や薬剤師としっかりコミュニケーションをとり、自分に合った漢方薬を見つけることが大切です。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛