漢方ビュー通信

生理痛(月経痛)緩和の方法を薬剤師が解説!

生理痛(月経痛)緩和の方法を薬剤師が解説!

女性のカラダと切り離すことができない「生理(月経)」。
その生理(月経)ですが、ほぼ痛みを感じない人もいれば、起き上がることができないほどの痛みを感じる人もいます。
また、この生理痛(月経痛)に悩まされている女性の中には毎回鎮痛剤などに頼っている人も多いのではないでしょうか。

今回は薬剤師である筆者が、生理痛(月経痛)を緩和させる方法を、日々できることから漢方という選択肢まで解説をします。

生理痛(月経痛)の原因

生理痛(月経痛)の原因

生理痛(月経痛)の主な原因と考えられているのは、“子宮の収縮”です。
生理になると「プロスタグランジン」という物質が分泌され、子宮を収縮させます。そして、要らなくなった子宮内膜がはがれ、血液とともに体外へ排出されます。
この時、プロスタグランジンの分泌が増えすぎると、収縮が強くなり、痛みを引き起こします。

次に考えられるのが、血行不良の場合です。
血流が悪いと、このプロスタグランジンが骨盤にとどまり、下腹部に痛みをもたらします。漢方医学でも「不通則痛(ふつうそくつう) 」といって、“流れ”が悪いところに痛みを生じるという意味の言葉があります。
また、物理的に子宮口が狭いことにより痛む場合もあります。

生理痛(月経痛)緩和に効果のある食材

生理痛(月経痛)緩和に効果のある食材

生理痛(月経痛)には、プロスタグランジンの調整や血行不良の改善が有効だと考えられます。
今回は、食事の面から生理痛(月経痛)の緩和に“役立つ食材”を紹介します。

1)えごま油、亜麻仁油、くるみ、青魚

オメガ3脂肪酸を豊富に含む食材です。EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を補うことで、プロスタグランジン分泌を正常化させる働きがあると言われています。

2)アーモンド、アボカド、うなぎ、ごま

ビタミンEが豊富な食材です。ビタミンEは、血流を改善する目的で医薬品としても流通しているほど一般的です。冷えや血行不良を感じる人にもオススメです。

3)鰹、レバー、小松菜、ほうれん草、大豆

鉄分が豊富な食材です。生理中は血の不足に陥りやすく、冷えや貧血を招きやすくなります。日頃から貧血ぎみな方は食事に取り入れてみましょう。

4)生姜、シナモン

生姜はカラダを温め、血流の改善に役立つことで有名です。また、漢方医学ではシナモンを「桂皮 (ケイヒ)」と呼び、生姜と同様、血流の改善に効果があります。

5)にんにく、バナナ、鶏肉、玄米

ビタミンB6が豊富な食材です。ビタミンB6は、プロスタグランジンの過剰な分泌を抑えると言われています。

生理痛(月経痛)には漢方薬も

漢方の見方では、生理痛(月経痛)は「血(けつ)」、つまり血液や血液循環の異常で起こると考えられています。
この血の異常には、血行が滞って血行不良になる「お血」と、血液不足の「血虚(けっきょ)」があります。そこで、漢方医学では、お血を解消する駆お血剤や、血虚を解消する漢方薬を用いて生理痛(月経痛)を和らげていきます。

漢方薬を服用する際は、自分の体質にあったものを選ぶことが大切です。漢方に詳しい医師・薬剤師に相談し、処方してもらうようにしましょう。
詳しいことは、下記「悩み別漢方」でも解説していますので、こちらもぜひ参考にしてみて
くださいね。

生理痛(月経痛)が我慢できない時に、鎮痛剤に頼ってしまうのは仕方がありません。けれど、この先もずっと鎮痛剤を飲み続けることに対して、不安を抱いている人も多いかと思います。
漢方薬での体質改善や、身近な食事に痛みを緩和する食材を取り入れてみてはいかがでしょうか。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

Oct 12 2018

薬剤師・大久保 愛

関連コンテンツ