季節の変わり目は“自律神経”のケアをしっかりと!
季節の変わり目は、体調を崩しやすい時期です。
気温や湿度、気圧などの環境の変化にカラダが順応しようとして、体調不良を感じてしまうことが多いのです。
特に寒暖差のストレスは、多くのエネルギーを消耗しますので、秋から冬にかけては自律神経のバランスが乱れやすくなります。
今回は、薬剤師である筆者が、季節の変わり目に注意すべき“自律神経”のケアについて解説します。
自律神経が与えるカラダへの影響
よく耳にする「自律神経」ですが、実際はカラダにどのような影響を及ぼすのでしょうか。
まず、自律神経とは、体内の環境(体温や血糖、血圧など)が一定になるように働き健康を保つもので、自分の意思ではコントロールができません。
季節の変わり目などは気温や気圧、湿度の変化が頻繁に起こるため体内に影響を与えますが、この時、カラダにかかる負荷から守るために自律神経は働きます。
そして自律神経には、交感神経と副交感神経があり、一方が活動すると、もう一方が抑制されることによってバランスを保っています。
しかし、どちらかの神経が過剰に働きバランスを乱すことがあります。これを、“自律神経が乱れた状態”と言います。
自律神経の乱れは、自律神経がコントロールしている臓器や免疫機能の乱れに繋がります。
慢性的なストレスや睡眠不足、食生活が乱れているような人は、自律神経が乱れやすい状態になっています。
したがって、そのような状態の人は、季節の変わり目などは特に自律神経が乱れやすくなっているので、免疫の低下から風邪を引きやすくなったり、消化不良や睡眠障害を起こしやすくなるのです。
自律神経の乱れには“温”がポイント
自律神経が乱れている時は、交感神経が過剰に働いている状態なので、副交感神経を優位にする方法が有効だと考えられます。
その方法のひとつに、カラダを温めてリラックスさせる方法があります。
熱が伝わりやすい部分を温める
カラダには、熱が伝わりやすい部分とそうでない部分があります。例えば、足先や尻は熱が伝わりにくく、目元や首の後ろは熱が伝わりやすい部分です。
そこで、寝る前や疲れたと感じた時に、熱が伝わりやすい目元や首の後ろを蒸しタオルやシャワーなどで温めます。
すると、短時間でカラダが温められ、副交感神経が優位になると考えられます。同時に、眼精疲労や肩こりの緩和にもなります。
仙骨(せんこつ)を温める
仙骨とは、骨盤の中央にあり、背骨の下端に位置する逆三角形の骨です。
この仙骨周辺には、神経や腹部大動脈などの血管がたくさん密集していますので、温めると緊張がほぐれ、副交感神経に働きかけたり、血流を促したりすることに期待ができます。
オススメの方法は、仙骨周辺に温熱シートを貼ったり、シャワーを当てたりして温めることです。また、冷えや生理痛などの緩和にもなります。
自律神経の乱れには漢方薬が効果的な場合も
自律神経の乱れは、目に見えるような症状がないので、慢性化しやすくそのまま放置しがちです。
また、病院で検査をしても、異常が発見されにくい特徴もあります。
このような症状を「不定愁訴」といい、漢方薬による治療が効果的な場合があります。
例えば他にも、頭が痛い、食欲がない、むくむ、イライラするなどの症状がある時に、西洋医学ではそのまま様子をみることも多いのですが、漢方はそうしたカラダに現れた症状を重視し、その人の体質などを考慮した治療(漢方薬の処方)が行われます。
不調が長引いている場合は、我慢せずに漢方に詳しい医師や医療機関に相談してみましょう。
特に季節の変わり目は、自律神経を乱して体調を崩しやすくなっています。カラダを効率的に温めるなどして、早めの対策をとっていきましょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛