集中力が続かない人は、正しく脳へ栄養を
集中力が切れると、仕事や家事などのパフォーマンスが下がり、効率が悪いことばかり…
中には、もともと集中力が続かないタイプだと自覚している人もいるのではないでしょうか?
じつは、集中力が続かない人や切れやすい人は、あることが原因になっているかもしれません。
今回は薬剤師である筆者が、集中力の低下の原因と対策について解説します。
集中力が落ちたら脳に“栄養”を!
集中力の低下は、肉体的な疲労、そして精神的な疲労をもたらします。
例えば、疲労が溜まると、仕事や勉強などの効率を低下させ、ミスが生じやすくなりますが、これは「脳」が発するSOS信号であることが分かってきています。
つまり、集中力が低下してきたなと感じたら、脳に“栄養”を届け、ケアしてあげる必要があるのです。
脳に必要な“栄養”とはズバリ「糖質」と「脂質」です。
また、他に望ましい栄養としては、アミノ酸やビタミン、ミネラルなども挙げられます。
今回は、特に重要な役割を担う、糖質と脂質について解説します。
<糖質>
糖質といえば「炭水化物」ですが、その中でも“茶色い” 炭水化物がオススメです。
例えば、白米や小麦粉などは精製されている“白い”炭水化物に分類され、“茶色い” 炭水化物とは、玄米、大麦、オートミールやライ麦などの精製されていないものを指します。
精製されていない糖質は、脳のエネルギーとなるブドウ糖をゆっくり血中に放出するため、集中力を持続させるのに役立ちます。
また、脳のパフォーマンスを保つためには血糖値を一定に保つ必要がありますが、麺類やパン、甘い飲み物などの精製された糖分を多く含むものは、血糖値の急激な上昇を招きます。
つまり、集中力が低下した時に甘いものを摂る方も多いと思いますが、白砂糖を多く使ったスイーツや菓子だと、血糖値を急激に上げてしまうので、かえってパフォーマンスを下げてしまう恐れがあるのです。
<脂質>
脳の情報伝達に関わっている神経細胞(ニューロン)の膜がうまく働くには、魚類や植物油に多く含まれる「不飽和脂肪酸」が良いとされています。
逆に、肉やファストフードなどに含まれる飽和脂肪酸やトランス脂肪酸などは、脳の“栄養”としてはあまりオススメではありません。
したがって、脳には肉よりも魚、ドレッシングはノンオイルドレッシングへ、マーガリンはオリーブオイルに代替するなど、意識的に変えていきましょう。
血糖値のコントロールには適度な間食も大事
集中力を保つためには、「朝食」をしっかり摂ることが大事です。
なぜなら、空腹状態が続いたあとに摂る昼食は、血糖値を急激に上げてしまい、集中力の低下や強い眠気を感じやすくさせてしまうからです。
血糖値のコントロールを優先した考え方だと、4時間程度の間隔で食事を摂るのがよいとされています。朝食を摂ることができなかった場合や食事の時間がずれてしまったときなどは、間食に血糖値を急上昇させないナッツなどがオススメです。
そして、午後からの集中力を下げないために、昼食時に食べる食材の順番は、野菜や海藻を先に食べるようにしましょう。これは、血糖値の急上昇を避けるための工夫になります。
また、夕飯が遅くなるときには、夕方に適度な間食を摂ることもオススメです。
疲労のサインを感じたら…
集中力を低下させないためには、「疲労」を溜め込まないことです。
疲労は、一般的には病気ではないと考えられていますので、西洋医学では薬などの治療を行いません。ですから、カラダから出る“疲労のサイン”を見逃さないようにして、適宜対策を取るようにしましょう。
また、漢方の考え方では、体内の生命活動をコントロールする「気・血・水(き・けつ・すい)」の不調和が、疲労の原因とされています。
疲労を改善する目的の漢方薬として、代表的なものに「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」や「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」、「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」などが挙げられます。
気になる方は、カラダに現れている症状によってそれぞれ処方が変わりますので、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
「悩み別漢方」の“疲労”ページでも、そのメカニズムについて詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
疲労は、集中力の低下だけではなく、さまざまな体調の不調をもたらす原因にもなります。
漢方薬も紹介しましたが、まずは栄養がある食べものを摂り、十分な睡眠、規則正しい生活習慣を送ることも疲労回復に大切です。
基本的なところから改善していく努力をしていきましょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
参照
ツムラ補中益気湯エキス顆粒(OTC)
https://www.tsumura.co.jp/products/ippan/045/index_s.html
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛