漢方ビュー通信

血圧チェックは大丈夫?放っておくと危険な“高血圧”

血圧チェックは大丈夫?放っておくと危険な“高血圧”

自分の血圧がどれくらいなのか、きちんと把握できていますか?
また、高血圧や低血圧が健康に悪いことは分かっていても、実際にカラダに対してどのようなリスクがあるのかを、あまり理解していない人も多いのではないでしょうか。

今回は、薬剤師である筆者が、高血圧に関するリスクと対策を解説します。

高血圧とは

高血圧とは

心臓はポンプのような役割で、収縮と拡張を繰り返すことによる強い圧で血液を全身に送り出し、酸素や栄養、ホルモンなどを必要なところに届けています。この圧のことを「血圧」といいます。

この一連の流れで、心臓が縮んで大動脈に血液を送り出した時の圧を「収縮期血圧」または「最高血圧」と呼びます。そして、血液が全身を流れ、心臓に戻ってきて膨らんだ時の圧を「拡張期血圧」または「最低血圧」と呼びます。
この数値が片方、あるいは両方とも高い状態を「高血圧」といいます。
血圧は睡眠時に下降し、起床時に上昇しやすい特徴があり、また行動や感情によっても変動します。

高血圧の種類は大きく2つに分けることができ、別の病気が原因で起こる「二次性高血圧」と、はっきりとした原因が分からない「本態性高血圧」があります。
全体の9割が本態性高血圧といわれており、原因が分からないとはいえ生活習慣が大きく関わるとされています。

高血圧の放置は命の危険が…

高血圧は、血管の弾力が低下している状態です。
そのまま放置していると、血管への負荷が大きくなってしまいます。すると、血管の壁は硬く、また血流も悪くなるので、血管が破けたり詰まったりする症状が起こります。
これが、脳梗塞や心筋梗塞、脳出血、眼底出血などの命に関わる病気を引き起こす原因にもなる「動脈硬化」です。
さらに、血管が硬いと、心臓が無理に負荷をかけてしまい、心臓側がダメージを受けてしまうことがあります。すると、「心肥大」を起こし「心不全」を起こす原因にもなってしまいます。

日頃からできる高血圧対策

日頃からできる高血圧対策

血圧を安定させるために、ふだんからできる対策を紹介します。
心がけと意識が大事なので、ぜひ実践してみてください。

首元を温める

寒い季節は、血圧が高くなりやすい傾向があります。
そんな時に効果的なのが、“首元を温める”こと。じつは、首筋には「動静脈吻合(AVA)」という特殊な血管が通っていて、そこを温めることでカラダが冷えを感じにくくなるのです。
スカーフやマフラーを巻いて対策をしましょう。

下半身の血流をよくする

下半身に血液が滞っていると、それを循環させようと心臓に負荷がかかります。
そこで、下半身に筋肉をつけ血流をサポートするようにしましょう。
オススメの運動として、スクワットやつま先立ちをして元に戻すことを繰り返す「カーフレーズ」があります。しかし運動が苦手な人は、家の中をつま先立ちして歩いたり、エスカレーターやエレベーターを使わずに、階段を利用するなどの工夫をして過ごすのもよいでしょう。

漢方医学で高血圧はどう診るか

漢方薬には、西洋薬のように直接血圧を下げる作用はありません。
したがって、高血圧の治療では降圧薬による西洋医学的な治療が優先されます。

ところが、高血圧に伴って頭痛や耳鳴り、肩こり、動悸などの随伴症状に悩まされている人は多く、そうした場合に漢方薬はそれらの改善を目的に処方されることがあります。
その際、漢方の考え方である「気・血・水(き・けつ・すい)」に基づき、また患者さんのそのときの体質や状態、症状によって処方は変わります。
漢方に詳しい医師や薬剤師に相談して、自分に合った漢方薬を選んでもらうようにしましょう。

高血圧の治療には何より「生活習慣の見直し」、そして「薬物治療」が必要です。
まずは高血圧を改善して、血圧を正常にするようにしましょう。そうすることで、それに伴うさまざまな不調も改善していくと思われます。
高血圧は放置せずに、早めの対応を心がけましょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/search.html

Nov 27 2018

薬剤師・大久保 愛

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