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「患者を治す」という根本は同じ

日本に中国から医学が伝わったのは5〜6世紀以降。その際、多くの漢方処方薬や生薬、医学の本が持ち込まれました。
その後、室町時代までは伝来した中国の医学にそって医療(診断や治療)が行われていましたが、それ以降は日本で独自の発展を遂げていきます。日本国内の風土や気候、日本人の体質やライフスタイルに合った医学に進化し、確立していったのです。
現代医療で用いられている漢方医学や漢方薬は、日本の伝統医学としてずっと守られ、発展していった「日本独自の医学」と言えるでしょう。

例えば、血圧を下げる、細菌を殺す、精密検査をするなど、西洋医学のほうが得意である分野では西洋医学で対応し、西洋医学では対応しにくい不定愁訴や検査には表れにくいちょっとした不調は漢方医学で治療する。こうすることで治療の幅が広がります。

漢方医学と西洋医学の主な特徴 漢方医学と西洋医学の主な特徴

実は、こうした流れ、考え方は確実に医療界に広がっています。 医師が日常診療で漢方薬を使うケースが増えていますし、実際に両者を組み合わせて使うことで有効であったケースが数多く報告されるようになっています。今では漢方薬を使用している医師は8割にものぼっています(「漢方薬使用実態・意識調査2012 調査対象:日経メディカルONLINE登録医師・日経メディカル開発」より)。

それぞれの長所を活かした治療

漢方が西洋医学と違うところは?

西洋薬はたいてい一つの有効成分で作られていて、血圧を下げたり、細菌を殺したり、熱や痛みを取ったりするなど、一つの症状や病気に対して、強い効果があります。 また西洋薬のベースとなる西洋医学では、患者の訴えのほかに検査を重視していて、その検査結果から病気の可能性を探ったり、治療法を考えていったりします。検査結果や数値などにしっかり表れるような病気を得意としていると言えるでしょう。

一方、漢方薬は1剤に複数の有効成分が含まれているため、多様な症状に効くのが大きな特徴です。 また漢方薬のベースとなる漢方医学は、患者の病状(訴え)や体質を重視し、その結果から処方します。そのため、体質に由来する症状(機能性の月経痛や冷え症、虚弱体質など)、検査に表れない不調(更年期障害の症状)などの治療を得意としています。 症状だけでなく、1剤で複数の病気が改善されることがあるのも漢方薬の大きな特徴です。たとえば、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)は、腰痛や頻尿に有効ですが、飲んでいると疲れやむくみなど、複数の症状が改善されることがあります。

漢方が得意とする症状・悩み 漢方が得意とする症状・悩み
COLUMN

漢方薬は健康保険が使えます

漢方薬にはたくさんの種類がありますが、主要な148処方には健康保険が適用されます。これらは「医療用漢方製剤」といわれ、厚生労働省から認可を うけた医療用医薬品となります。そのため、病院や医院でこれらの漢方薬を処方してもらうときは、原則1〜3割の患者負担ですみます(負担の割合は年齢や健康保険の種類によって異なります)。 ただし、病院や医院によっては健康保険を使わない自由診療で漢方薬を処方しているところがあります。その場合は健康保険がきかないので、全額、患者負担となります。薬局で処方せんなしで購入する場合も同様です。 (2016年11月現在)

「漢方薬は高い」というイメージがありますが、決してそうとは限りません。ケースによっては同じ病気でも西洋薬より薬代がリーズナブルなこともあります。 例えば風邪の場合、西洋薬なら熱を下げる解熱薬、咳を止める鎮咳薬、痰をきる去痰薬、細菌の増殖を抑える抗菌薬、これらの薬で胃が荒れないようにする胃薬・・・と、数種類の薬を使うことがあります。 これに対し、漢方ではこうした作用を1剤で補える場合があり、そういう場合であれば薬代は少なくてすむのです(グラフは日本漢方生薬製剤協会発行「漢方薬との上手なおつきあい」より)。

グラフ

監修医師

新見正則医院
院長
新見 正則 先生
新見 正則 先生

1985年慶應義塾大学医学部卒業。1993年から98年、英国オックスフォード大学医学部博士課程卒業。1998年より帝京大学医学部外科に勤務。2002年より本邦初の保険診療でのセカンドオピニオン外来を始める。2007年より松田邦夫先生に漢方を師事。

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