原因不明な不調、「未病」におすすめなのは…
近年、病気の予防法として、東洋医学、漢方医学の考え方が見直されているそうです。
漢方をはじめ、薬膳や食薬、ヨガ、マインドフルネスなどを生活に取り入れようとする人が増えてきているとのこと。
例えば、漢方では、食べ物は健康維持や病気の予防のための基本であると考えます。毎日の食事に「薬膳」の考え方をとり入れ、不調の改善や病気の予防を目指しましょう。
西洋医学は、原因が明らかに特定できる病気への対処を得意としていますが、今回解説する東洋医学、漢方医学を軸にした体調管理法は身に着けておくべきスキルのひとつといえるでしょう。
それでは、セルフメディケーションと漢方医学の視点から、病気の予防についてみていきましょう。
セルフメディケーションと漢方医学の合わせ技がおすすめ
カラダの不調が軽度のうちに、病院にかからず自分で改善することを「セルフメディケーション※」といいますが、この軽度のカラダの不調は漢方医学で表す「未病」と非常に似ています。
※世界保健機関(WHO)の定義「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」
未病とは、健康から病気に向かっている状態をいいます。
検査などで異常が発見されないにもかかわらず自覚症状がある場合や、自覚症状がなくても検査値に異常がある場合のどちらも未病とされています。
未病による不調は原因が特定しづらく、改善するまでに時間がかかる場合がありますが、じつは、漢方医学では未病の改善を得意としています。
漢方の考え方は、カラダ全体を“ひとつ”とみなし、特定の数値や一部分の改善ではなく、全体のバランスを整えることで不調の改善を目指します。
つまり、カラダに現れた自覚症状とその人の体質を見て、個々に合った漢方薬を処方することができるのです。
こうした不調は、そのまま放置しておくと大きな病気の引き金になってしまう可能性を持っているので、不調を感じたタイミングで改善していくことが大事です。
その際、漢方薬の助けに加え、できる範囲内でのセルフメディケーション(食生活の見直しや睡眠時間の調整など)を行う合わせ技で、改善の質を高めていくとよいでしょう。
漢方薬を服用する際には相談を!
さて、「漢方薬」に対して興味はあるけども、服用には不安を感じる人も多いかもしれません。
例えば、漢方薬は種類も多く、高額なイメージ…何より自分に合った処方がよく分からないといった声を聞きます。
漢方薬の主要な148処方には健康保険が適用されます。これらは「医療用漢方製剤」といわれ、厚生労働省から認可をうけた医療用医薬品となります。そのため、病院や医院でこれらの漢方薬を処方してもらうときは、患者負担が少なくすみます(負担の割合は年齢や健康保険の種類によって異なります)。
※ただし、病院や医院によっては健康保険を使わない自由診療で漢方薬を処方しているところがあります。
そして、漢方薬はその時の自分の体調や、具合によって適切な処方が変わることがあります。何よりも同じような症状を訴える人でも個人の体質によって処方も異なることがあります。
今や、ネットや書籍などでもさまざまな情報が簡単に調べることができますが、やはり専門の医師や薬剤師に相談して服用するのがよいでしょう。
食習慣や生活リズムの変化、気候の変化、ホルモンの変化、ストレスなど、日頃私たちには、多種多様な変化が起こります。
これらに伴って引き起こされる不調に対して、いつでも相談できる場所があると安心ですよね。
特に、漢方に詳しい医師や薬剤師を見つけておくことは、未病対策のひとつの手段になります。
それに加えて、日々の生活の中でできるセルフメディケーションを実践しながら、未病対策に取り組んでいきましょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛