未病をよく理解していますか?
はっきりとした症状は現れていないけれど、なんとなく調子が悪い…
こういった場合、まず“我慢する”ことが一般的です。
そして、少しの休憩で治まるほどの症状だと、そのまま放置している人も多いと思います。
確かに、我慢することで症状が治まれば良いのですが、場合によっては悪化して病気につながることもあります。
今回は、薬剤師である筆者が、病気とはいえない「未病」について解説します。
未病に漢方医学の考え方を
一般的に「未病」とは、健康の状態から病気に向かっている状態のことをいいますが、健康と病気の線引きがしづらい状態でもあります。
そして、西洋医学と漢方医学では、この未病に対しての捉え方が下記のようにそれぞれ異なります。
西洋医学で考える未病 → 自覚症状の有無にかかわらず、検査をすると異常が見られる
漢方医学で考える未病 → 自覚症状があるのに、検査数値に異常が見られない
漢方医学で考える未病は、原因の特定ができない不調とされ、「不定愁訴」と呼ばれます。
なんだか調子が悪い…だけど原因が特定できないという時は不安でいっぱいになりますが、漢方医学では今の状態を分析し対策をとることができます。
一方、西洋医学では診断名をもとに治療を開始するため、未病の状態だと治療に進むことができないケースが多いのが実状です。
したがって、西洋医学が得意とする分野では西洋医学で対応し、西洋医学では対応しにくい不定愁訴などには漢方医学で治療を行うことで、治療の幅が広がるのです。
未病の症状をチェック
未病には一体どんな症状があるのでしょうか。
下記のチェック事項を参考にしながら、未病の症状がないか確認してみましょう。もし、複数個該当するようであれば早めの対策を行うことが必要だと考えられます。
未病チェック事項
- 疲れやすい、疲れがとれない
- ぐっすり眠れない
- カラダが冷えやすい
- イライラしやすい
- 胃腸の調子が悪い
- 食欲がない
- カラダがだるい
- 頭痛、めまいを感じる
- 肩こりがある
- コロコロした便が出る
- 落ち込みやすい
- お腹が張りやすい
- 生理前に体調が悪い
未病対策に「漢方薬」という選択肢を
未病の状態で対策をしておきたいもの─
ところが、前述したように、診断名がない段階では薬物療法を行うことはできません。
そこで、助けになってくれるのが「漢方薬」です。
未病による不調は原因が特定しづらく、改善するまでに時間がかかる場合がありますが、漢方薬はカラダに現れた自覚症状と、その人の体質を見て、それぞれに合った処方を行うことができます。
未病で悩んでいるとしたら、我慢せずに漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみましょう。
病名を特定できなくとも、その時の体調や症状に合わせて、その人に合った漢方薬を選定し、不快な症状を緩和してくれる助けになってくれると思います。
また、漢方医学の基礎となる考えは生活習慣にも注目しますので、漢方薬を上手く活用しながら、根本的な生活の改善を図る機会も得ることができるでしょう。
もちろん、西洋薬も有効なケースがあるので、漢方薬と西洋薬、それぞれの長所を生かしながら使い分け、生活習慣を見直していくことが理想的です。
病気を治すには、最終的に自分で治そうという力(自己治癒力)が必要です。
ですが、病気全般に言えることとして、患ってから改善するまでにはどうしても時間を要します。
病院に行くことを面倒に感じていたり、まだ大丈夫だと思って、自分のカラダのことを後回しにしないことが大切です。
すべては“健康ありき”であることを再認識して、日々の生活を送るようにしましょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛