いろいろな顔を持っている漢方

漢方はバリエーション医療

漢方の特徴をひと言で表すとしたら、「バリエーション(変化、振り幅など)」がピッタリではないでしょうか。なぜなら漢方はいろいろな意味で多様・多彩であるからです。

漢方薬はこれだけ多様・多彩

  • 漢方薬はさまざまな生薬を複合的に組み合わせた薬
  • 一剤でいろいろな症状を解消したり、和らげたりする
  • 病態やその人の体質に合わせて、さまざまな漢方薬が用いられる
  • 飲んですぐに効くタイプの漢方薬と、飲み続けることで効いていくタイプの漢方薬がある
  • 同じ病気でも、発症してからの経過日数、症状によって用いられる漢方薬が異なる

アメリカ風邪を治した漢方薬

漢方薬は「慢性病に効く薬」「体質改善のために飲む薬」「長く飲まないと効かない」などのイメージを持つ人もいるでしょう。確かにそういった一面も漢方薬にはあります。しかし、それだけではないのです。
こんなエピソードがあります。

江戸の末期、米国の提督ペリーが来航しました。その時に持ち込んだ「アメリカ風邪(今でいうインフルエンザ)」を治したのは、実は漢方薬といわれているのです。
当時の処方が何であったのかは分かりませんが、今でも「麻黄湯(まおうとう)」などの漢方薬はインフルエンザに用いられ、現代医学でもその有効性が報告されています。

速効性のある漢方薬

インフルエンザ以外にも速効性を期待して漢方薬が使われることがあります。いわゆる「こむら返り」と呼ばれる足がつった状態では芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」という漢方薬が有効です。胃もたれや胃痛、腹部膨満感など胃腸に問題があるときは、「六君子湯(りっくんしとう)」や「大建中湯(だいけんちゅうとう)」、「安中散(あんちゅうさん)」などを用いると、スーッと症状が和らぐ場合があります。

女性にやさしい漢方薬

西洋医学では病名を重視します。漢方医学ではからだを局所的にみず、心とカラダをひとつのものとしてとらえ総合的に判断します。つまり、症状を重視し、その人の体質などによって処方が異なるのです。
そして、1剤に複数の成分が含まれているため、複数の症状にも効果が期待できます。

体質と症状と漢方薬

監修医師

新見正則医院
院長
新見 正則 先生
新見 正則 先生

1985年慶應義塾大学医学部卒業。1993年から98年、英国オックスフォード大学医学部博士課程卒業。1998年より帝京大学医学部外科に勤務。2002年より本邦初の保険診療でのセカンドオピニオン外来を始める。2007年より松田邦夫先生に漢方を師事。

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