漢方ビュー通信

手指の乾燥対策は、カラダの外側と内側から!

手指の乾燥対策は、カラダの外側と内側から!
冬は乾燥の季節──手荒れでガサガサ、指先がパックリひび割れでお悩みの人も多いでしょう。
手荒れは、家事や水仕事など日常生活にも支障が出てくるので、予防もしくは早期治療したいですよね。

今回は、薬剤師である筆者が、この時期の手指のケア手先のひび割れ対策について解説します。

冬はひび割れを起こす原因がたくさん

冬はひび割れを起こす原因がたくさん

手のひび割れは、皮膚のバリア機能(皮脂)の低下により引き起こります。

そもそも手のひらにはバリア機能を促す皮脂腺はありませんが、角層由来の皮脂や汗などが混ざることで潤いをもたらし、外の刺激から守ります。
つまり、角層の乱れや皮膚表面の潤いの低下は、手のひび割れを起こす原因となりうるのです。

さらに、バリア機能が低下した皮膚は刺激物やアレルゲンが入り込みやすくなり、湿疹やただれを引き起こしやすくなるので注意しましょう。

それでは、角層の乱れや皮膚表面の潤いを低下させる原因を3つあげてみます。

1)手の冷え

手先が冷えて血流が悪くなると、新陳代謝が下がり、角質が硬くなっていきます。その状態になると、手先のひび割れや乾燥を引き起こしやすくなります。

2)手の洗いすぎやお湯の使用

この季節は風邪に対して特に敏感になるので、手洗いやアルコール消毒を行う機会が増えます。また、冷水での食器洗いが辛いので、お湯を使用することも多くなっているかと思います。
これらの過度の手洗いや消毒、お湯の使用は手から油分を奪い、角層から水分が蒸発しやすくなります。結果的に、手の乾燥を招くことになってしまいます。

3)外気の乾燥

空気の乾燥、暖房などの影響でカラダから水分が蒸発しやすくなります。その結果、汗をかきにくくなるため、手先をはじめとして皮膚全体が乾燥しやすくなります。

■手荒れ予防はカラダの外側と内側から!

手荒れ予防はカラダの外側と内側から!

手指のひび割れを予防するには、カラダの外側とともに内側からのケアが必要になります。
それぞれ解説していきます。

<カラダの外側ケア>

手洗い後や水仕事の後には、ハンドクリームを塗りましょう。また、空気が乾燥しないように加湿器の使用も心がけましょう。
さらに、首元、手首、足首を温めるのも効果的です。なぜなら、それらの部位には太い動脈が通っているため、全身を効率よく温めることができるからです。冷えの改善とともに、皮膚の新陳代謝の向上にもつながります。

<カラダの内側ケア>

栄養不足、筋力の低下、血行不良が肌の乾燥の原因となる“冷え”を招きます。
栄養素としては「タンパク質」を多く摂るように心がけましょう。その他にも、シナモン、フェンネル、八角、生姜などのスパイスを使用するのも効果的です。

ただ冬本番になると、手足がしもやけになるほど冷える人もいます。そういうときには、漢方薬もオススメです。頑固な冷えを感じる人は、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談しましょう。
漢方ビューの「冷え症(冷え性)」ページでは、冷え症の考え方と代表的な漢方薬を解説しています。

手の乾燥を放置しておくと、手湿疹へと進行していくこともあります。
特に冬の時期は、手荒れしやすい要素が揃っていますので、予防をしっかりしておきましょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

Jan 15 2019

薬剤師・大久保 愛

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