漢方ビュー通信

乾燥肌対策は、保湿だけじゃ不十分です!

乾燥肌対策は、保湿だけじゃ不十分です!

心地よい風が気持ちのよい秋──。
ところが、いつの間にか足のスネには粉が吹きはじめ、かかとにはひび割れ、唇の薄皮が剥けてきたりと、「乾燥」が気になり始めてくる頃でもあります。

夏の間に日焼け対策がきちんとできていなかった人は、秋にシミやシワなどを強く感じることもあるかもしれません。さらに、アレルギーが出やすい季節でもあるので、乾燥肌にプラスして痒みを感じることもあると思います。
そのため、秋というシーズンは、肌がカサカサ、ゴワゴワに感じる人が増加してきます。

そこで、今回は薬剤師である筆者が、秋の乾燥肌について解説します。

乾燥から肌を守る3つの要素

乾燥肌とは、その名の通り“肌が乾燥している”状態のことを指しますが、具体的には角質層の水分量が20~30%を下回り、水分を保持できていない状態の肌をいいます。

水分を保持するために必要な要素は次の3つ、「角質細胞間脂質」と「皮脂膜」、そして「天然保湿因子」になります。
この3つの要素のうち、1つでも支障をきたすと、乾燥肌になりやすくなります。
また、これらは年齢とともに減少していくため、歳を重ねるごとにケアの重要度が上がっていきます。

秋の気候が肌に与える影響

秋の気候が肌に与える影響

それでは、過ごしやすいはずの秋がなぜ肌に悪影響を与えるのか具体的に解説します。

(1)乾燥した空気

秋の特徴は、涼しく乾燥した空気です。
肌の保湿メカニズムは、本来、汗と共に皮脂が分泌されることで皮脂膜を作り、肌の水分の蒸発を免れています。
しかし、涼しく乾燥した空気の中では、皮脂分泌は低下し、皮脂膜が薄くなるため水分の蒸発も十分に防ぐことができなくなります。
さらに、暖房を使う時期になると乾燥肌は加速していきます。

(2)肌のバリア機能低下

夏に紫外線対策が十分できていなかった場合、角質層の水分が失われ、バリア機能が損なわれていることがあります。このような状態だと、肌がカサカサ、ゴワゴワと感じるようになります。
すると、肌は自らを守るため分厚い角質層をつくり、肌の状態を悪化させてしまうことがあります。

(3)気圧や気温の変化

季節の変わり目には、気圧の変化や気温の変化などが頻繁に起こります。
すると、自律神経の乱れに伴うホルモンバランスの乱れや血流の低下、抵抗力の低下を感じるようになります。
さらには、花粉などのアレルゲンも増えるので、肌トラブルの原因も増えてしまいます。

今年の肌対策に、漢方薬をプラス!

漢方

秋から冬にかけて、肌トラブルは増加していきます。
そのため、肌には十分な保湿を、そしてカラダの内側からはターンオーバーを促すための栄養バランスに気をつけ、免疫力を下げるような食事(甘いものや油もの、ジャンクフードなど)を避けることが大事です。

そして、それらの対策に加えて漢方薬をプラスしてみてはいかがでしょう。
漢方では独自の考え方である「気・血・水(き・けつ・すい)」から不調を探っていきますが、乾燥肌は「血(けつ)」の不足が原因であると考えられています。
その際、乾燥肌に悩まされている人が他に合わせ持つ症状(かゆみ、炎症、湿疹の有無)を診ながら、個々の体格、表情、体質から、その人に適したものを処方していきます。

漢方では、「皮膚は内臓の鏡」と言われるように、皮膚の症状と体内の不調とは深い関わりがあると考えます。乾燥肌ではない体内の不調に対処することで、肌の状態にも変化が現れることもあります。そのため、胃腸の調子や便秘など乾燥肌の悩み以外の問題も同時に改善できる場合があります。
興味がある人は、ぜひ一度専門の医師に相談してみてください。

今年は、乾燥を防ぐ保湿剤の使用、食事を含む環境改善、そして漢方薬服用の3本柱で対策をとってみてくださいね。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/search.html

Oct 23 2020

薬剤師・大久保 愛

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