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温水洗浄便座の使い過ぎは逆効果に!?

温水洗浄便座の使い過ぎは逆効果に!?

今や、ほとんどの家庭に普及されている温水洗浄便座
肛門や腟を清潔に保つことができるため非常に便利なものですが、普及しているのは意外にも日本だけ。外国ではそれほど普及していないのが現状です。

さて、日本では当たり前のように設置されている温水洗浄便座ですが、過剰な使用によって引き起こされる問題が指摘されています。

今回は薬剤師である筆者が、温水洗浄便座の過剰使用がもたらす症状について解説します。

温水洗浄便座症候群とは

温水洗浄便座症候群」とは、温水洗浄便座を過度に使用することで引き起こることから、そのように呼ばれています。
そもそも温水洗浄便座を使用するのは、肛門を清潔にしたい、排便を促進したいなどさまざまあると思います。ところが、この温水洗浄便座の使用によって、かぶれやかゆみなどの症状が起こることがあります。いくつか代表的な症状を解説します。

温水洗浄便座症候群とは

肌荒れ

肛門の洗いすぎによって、本来必要な常在菌や皮脂まで洗い流してしまうことがあります。それにより、免疫や皮膚バリアが低下し、かぶれやかゆみなどの肌荒れを引き起こすことがあります。

便秘

残便感がある時や便が出にくい時など、排便を促すために使いすぎると、便意を正常に感じなくなってしまう恐れがあります。
最初は便秘改善のために使っていても、いつのまにか自力で排便する力そのものが低下してしまい、便秘が進行してしまうのです。また、温水洗浄便座がないと落ち着いて排便ができなくなり、排便のリズムを崩し便秘を招いてしまう場合もあります。

切れ痔

水圧が刺激になり、傷がつき切れ痔の原因となることがあります。

温水洗浄便座は便利なものですが、このように過度な使用はさまざまな症状の原因となってしまうことがあります。
特に、排便に悩みを持つ人に過剰な使用が多いと思われますが、なるべく温水洗浄便座に頼るだけではなく、根本である“便の状態”から改善することも大切です。

便の状態で腸内環境を知る

それでは、まず理想とされる“便の状態”を挙げます。

1: バナナ2〜3本分のサイズ
2: 黄褐色で匂いは気にならない
3: いきまずに出てくる
4: 便器にべっとりつかない
5: 水に浮く

いかがでしょうか?
実際には、なかなかこのようなお通じがある人は少ないかもしれません。

通常、便は約24時間を目安に排出されると言われていますので、なるべく体内に留めずに、順次スムーズに排泄していく必要があります。
長時間、便が体内に留まっていると、便から水分が体内へ吸収されていってしまい、コロコロと固くなり排泄しづらい形状になっていきます。

理想の便は約8割が水分といわれており、それ以外の2割は腸内細菌、食べかす、腸の粘膜が同等の割合で含まれているとされています。腸内細菌には、善玉菌、悪玉菌、日和見菌が存在しますが、これらは人の食べ物を餌として増殖しています。
ちなみに、便秘時の腸内では、悪玉菌が増殖し、インドールやアンモニア、硫化水素などの有害物質が発生しやすい状態となっています。

つまり、体内(腸内)に便が溜まる時間が長ければ長いほど有害物質は溜まりやすくなり、それらの物質は体内に吸収され全身を巡り、肌荒れや口臭を招くことになってしまいます。

自分の便の状態を毎日把握することは、体調を知る上で大切なことです。
臭くて黒っぽく、べっとりとした便は、腸内環境が“悪玉菌優勢”であることがほとんどです。毎日自分の便を観察する習慣を身につけておきましょう。

便の状態で腸内環境を知る

温水洗浄便座は適度に使いましょう

温水洗浄便座の使用は、低圧で10秒以内に留めるのが良いとされています。なるべく過剰な使用は控えるようにした方が良いでしょう。
また、腸の状態を良くする努力も必要です。腸内環境を整える方法としては、食事や運動など、生活習慣を見直すことが一番効果的でしょう。

そして、いざという時に服用する薬として、一般的な便秘薬や下痢止めだけではなく、「漢方薬」を使うこともオススメです。
漢方薬の中にも、腸の動きを整えてくれるものや、ストレスから腸へ与える影響を軽減したりとさまざまな効果に期待できるものがあります。そして、漢方薬であれば1剤で、便秘ならお通じをしっかりつける方向に、逆に下痢なら下痢を止める方向に働かせる処方もあります。
悩んでいる人は、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみましょう。

このように、外側からの刺激に注意しつつも、カラダの内側からの改善意識も大切なのです。
温水洗浄便座は適度に使い、快適な状態を保ちましょう。便の状態に悩む人は、生活習慣を整えたり漢方を使用したりと内面からの改善を心がけましょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)


こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic

Mar 15 2019

薬剤師・大久保 愛

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