抗生物質は正しく服用しないと逆効果に!?
病医院などで処方される「抗生物質」──。
風邪をひいた時や怪我をした時など、あらゆるケースで処方されることが多い薬です。
さて、この“万能薬”のような抗生物質ですが、効果があるからこそ知っておかなければならないことがあります。例えば、誤った方法で服用すると、逆に効果がなくなってしまったり、カラダに不調をもたらす…ということも。
抗生物質は、きちんとルールを守って服用することで、そのポテンシャルを最大限に生かすことができる薬なのです。
今回は、薬剤師である筆者が、この抗生物質について解説します。
抗生物質と整腸剤の関係
抗生物質とは、ズバリ“細菌を退治する薬”のことです。
名前の通り、カラダに悪さをする生物に抗うために発明された薬で、細菌などの微生物の成長を阻止する働きがあります。
さて、この抗生物質の発見は人類にとって画期的なもので、不治の病とされた「結核」を克服した歴史もあります。ところが、病気の原因になる細菌を抑えるために効果的な反面、じつは腸内細菌にも影響することがあります。
つまり、不要な菌だけでなく、腸内に必要な菌までも殺してしまうのです。
腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌がバランスを保ちながら存在し、腸内環境をベストな状態に保っています。
しかし、抗生物質はこれらの菌を無差別に攻撃してしまうため、そのベストバランスを崩してしまうことがあります。結果、腸の機能が低下して「下痢」などを引き起こしてしまうのです。
抗生物質が処方される際に、同時に整腸剤も処方されるのは、腸内環境のバランスを保つためなのです。
抗生物質にもリスクがあることを忘れずに
効果的な薬である抗生物質ですが、それゆえリスクも兼ね備えていることを忘れないようにしましょう。いくつか事例を紹介します。
薬剤耐性菌が作られる?
処方された抗生物質を飲み切らずに、いざという時のために保管をしている人はいないでしょうか?
例えば、風邪気味だからと言って、家に余っている抗生物質を服用すると、効果がないばかりか体内の良い細菌にまでダメージを与え、症状が悪化する場合もあります。
さらに、抗生物質を中途半端に使用すると、耐性がついた“薬剤耐性菌”が生まれる可能性があり、ますます薬効がなくなってしまう恐れがあります。
このように、間違った服用は腸内環境を乱すだけでなく、薬剤耐性菌まで作り出してしまうこともあるので、デメリットでしかありません。
抗生物質を服用する際は、必ず処方された用法・用量を守り、“都度飲み切る”ことが大切です。
抗生物質は、子どもから大人まで服用できる身近な薬になっています。
昨今では、ちょっとした症状でも処方されることが多い薬なので、抗生物質に対しての危機感や警戒心などが薄れてしまっているのではないかと感じています。
しかし、先述したように他の薬と同様、カラダに対する影響はゼロではありません。
服用する際は、必ず医師や薬剤師の指示に従うことを忘れないようにしましょう。
抗生物質をはじめ、薬はなるべくなら服用する機会は少ない方がいいものです。
普段から、免疫を高める食事や睡眠をしっかり取った生活を送るように心がけましょうね。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛