漢方ビュー通信

不眠症対策のひとつに漢方という考え方

不眠症対策のひとつに漢方という考え方

疲れているはずなのに、なかなか寝付けない──。
他にも、夢でうなされる、朝早くに目が覚める、極端に眠りが浅いなど、「睡眠」に関わる悩みは多岐にわたります。

睡眠は、健康面において非常に重要な要素のひとつです。
ですから、この睡眠の質を改善することで、さまざまな不調を改善できる可能性を秘めています。

今回は薬剤師である筆者が、睡眠について考察し、不眠症に関する知識とその改善方法について解説します。

不眠症の基礎知識

不眠症の基礎知識

まずは、不眠症について基本的なことを見ていきましょう。

<不眠症の種類>

一般的に、不眠症は大きく4つのタイプに分類できます。
寝付くのに時間がかかる「入眠障害」、夜中に目が覚めてしまう「中途覚醒」、早朝に目が覚めてしまう「早朝覚醒」、ぐっすりと眠った気がしない「熟眠障害」があります。
このような症状が一過性ではなく、3週間以上継続的に続くことを不眠症と呼びます。

<不眠症の原因>

一番多いとされるのが、ストレスやココロなどの精神的な症状から起こるものです。
その他、薬やカフェインによる作用、振動や騒音、気温、寝具などの環境によるもの、痛みや老化による肉体的な原因などが考えられます。
最近では、寝る前のスマホも悪影響を及ぼします。

<不眠治療>

まずは、上記の原因を取り除き、なるべく眠りやすい状態を整えることから始めます。
それでも眠れない時には、「睡眠導入剤」などを服用します。また、状況に応じて不安や緊張を和らげる効果がある「抗不安薬」を使用することがあります。

不眠症に対する漢方の考え方

漢方では、「気・血・水(き・けつ・すい)」という考え方があり、それぞれのバランスが取れている状態を、身心共に健康だとしています。例えば、何かしら体調を崩していると、いずれかの要素が不足したり、滞ったり、偏ったりしていると考えます。

不眠においては、「気」の流れが滞っているケースが考えられ、その流れをスムーズにする処方や気分を落ち着かせる漢方薬が処方されるというように、不眠が生じている背景を考慮した処方が一般的です。

しかし、注意したいのは、漢方薬は睡眠導入剤などと違い、服用してすぐに睡眠を誘発するようなものではないということ。
漢方薬は、その時の体質や症状を見極めて、「気・血・水(き・けつ・すい)」の中で不足しているところを補ったり、巡りを改善したりするのを得意としています。つまり、不眠になった原因を改善することで自然な睡眠を導き、夜になると自然に眠くなるカラダを作っていくという考え方に基づいているからです。
また、不眠にだけ効果を示すのではなく、それに付随する疲労や肩こり、動悸、めまいなどの症状を改善するものもあります。

不眠症に対する漢方の考え方

いずれにせよ、まずは不眠症の原因を取り除くことを第一に考えましょう。
特に、就寝前にはカラダとココロがリラックスできるように、ライフスタイルの見直しを積極的に行うことが大事です。
しかし、それでも改善されない場合には、漢方薬に頼ることも選択肢のひとつに入れてみましょう。

良質な睡眠は、健康維持に重要な要素です。日々の生活に活力を与え、パフォーマンスアップにもつながるので、睡眠で悩んでいる人は改善できるように努力しましょう!

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/search.html

Jun 18 2019

薬剤師・大久保 愛

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