頻繁に出るゲップはカラダのサイン!?
一般的に、ゲップは人前ですると失礼とされており、我慢しているという人もいるでしょう。
食後や炭酸飲料を飲んだ後などのゲップは自然な現象とされますが、それ以外で頻繁に出るようなら注意が必要です。
時として、ゲップはカラダから発せられる、“サイン”の場合もあるからです。
今回は薬剤師である筆者が、ゲップの原因と対策について解説します。
ゲップの正体は逆流した“空気”
ゲップとは、胃の中に溜まった空気やガスが口から排出されることです。
食事や唾液と一緒に飲み込んだ空気が元になっており、胃に入った空気がそのまま腸に向かわず、逆流して口から排出される現象になります。
ちなみに、他にも「おくび」や、医療用語で「曖気(あいき)」と呼ばれることもあります。
ゲップはなぜ出るの?
ゲップが多く排出される原因は空気が逆流することにあります。
例えば、胃と食道の間にある下部食道括約筋の働きの低下、胃の内容物の停滞、胃への内圧がかかりすぎたりすると空気が逆流しやすくなります。
では、それぞれの症状を具体的にみていきましょう。
1)逆流性食道炎
胃酸や胃の内容物が逆流し、食道が炎症を起こしている状態です。
ちなみに、逆流性食道炎が起こる原因は下記のようなケースが考えられます。
・下部食道括約筋の筋力の低下
食道と胃のつなぎめにあたる下部食道括約筋の筋力が低下し、胃の内容物が食道に戻ってきてしまいます。
・食道裂孔ヘルニア
食道が通る横隔膜の穴が緩み、胃の一部が食道側にはみ出てしまっている状態です。その結果、締まりが悪くなり、胃の内容物が逆流しやすくなります。
・油の多い食事
油の多い食事は、十二指腸からコレシストキニンというホルモンの分泌を増やします。
このホルモンは、下部食道括約筋を緩ませたり、胃酸の分泌を促進する働きがあります。これにより、胃酸とともに空気も逆流しやすくなります。
2)小腸内細菌過増殖症
本来、小腸内では増殖するはずのない腸内細菌が異常に増殖する状態です。
通常、腸内細菌は大腸で増殖しますが、小腸で増殖すると、小腸内にガスが溜まりゲップやおなら、お腹の張り、空気が逆流しやすくなります。
原因として、糖質過多や抗生物質、制酸剤、鎮痛剤などの服用が挙げられます。
3)呑気症(どんきしょう)
呑気症は、別名「空気嚥下症」とも呼ばれています。
唾液とともに、大量の空気を飲み込むことで、胃や食道、腸に空気が溜まり引き起こされます。緊張した時や不安な時、ストレスを感じた時などに陥りやすく、結果的にゲップやおなら、お腹の張りなどを感じることがあります。
漢方医学においての、ゲップの捉え方
ゲップや胃もたれなど胃の不調を感じると、胃薬に頼る人も多いのではないかと思います。
この時、無意識に“制酸剤” を選択して服用していることがあるかもしれません。
制酸剤とは、胃腸薬の一種で胃酸を中和する医薬品になりますが、状況によっては、前述したようにお腹の張りを強くしてしまう効果もあるので、ゲップを促してしまう恐れもあります。
ですから、薬は自己判断で選ぶのではなく、医師や薬剤師に相談してから服用するのが安心です。
漢方の考え方では、ゲップは「気(き)」の流れの異常とし、これを「気逆(きぎゃく)」の状態であるとしています。
漢方薬を用いることで気の流れを整え、ゲップを抑えたり、胃の不調を招くストレスを軽減したり、消化を正常に保つことなどに期待できることがあります。
胃の不調の原因はさまざまです。また、同じように胃の不調に対する漢方薬も種類がたくさんあるので、必ず医師や薬剤師へ相談し、適切な服用を心がけましょう。
最近、ゲップが増えたなと感じた時は、消化器系統に異常が起きているかもしれません。
そのまま放置したり、自己判断で対処するのではなく、しかるべき場所で適切な判断を仰ぎ、早めに対処するようにしましょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛