相談しにくい“お尻のこと”…さあ、どうする?
痔のハイリスク群は?
なかなか人に相談できない病気、そのひとつが「痔」ではないでしょうか。
痔とは、肛門のまわりの組織にできた病気の総称で、大きく「痔核(いぼ痔)」、「裂肛(切れ痔)」、「痔瘻」の3種類があります。
このうちもっとも患者数が多いのが痔核で、直腸や肛門の静脈がうっ血して膨らんだものとされています。
痔の原因は、便秘で強いいきみを繰り返すことや、座りっぱなしなど長時間同じ姿勢でいることなどから。また、冷えによるうっ血も悪影響を及ぼすとのこと。
つまり、冷房の効いたオフィスでデスクワークを行う、かつ便秘ぎみの女性。これこそ痔のハイリスク群といえるのです。
ちなみに、妊娠や出産でも痔になりやすいとのこと。この時期はお尻にも注意が必要です。
痔核の症状について
痔の症状で多い痔核は、できた場所や大きさなどによっても違いますが、痛みや出血のほか、かゆみ、粘液もれやうっ滞、痔核の飛び出しによる不快感をもたらします。
出血や痔核の飛び出しはトイレに行ったときだけでなく、運動をしたときや重いものを持ち上げたときなどにも起こることがあるそう。
出血は鮮明な赤色をしていることが多く、多量な出血から下着やトイレットペーパーに軽く付着するぐらいのものまで、さまざまです。
進行度は、下記の「ゴリガーの臨床病気分類」が用いられています。
<ゴリガーの臨床病期分類>
軽い | Ⅰ度:排便時に出血する |
---|---|
↓ | Ⅱ度:排便時に痔核が肛門の外に出るものの、排便後に自然に戻る |
↓ | Ⅲ度:排便後に痔核が肛門の外に出て、手で押さないと戻らない |
重い | Ⅳ度:痔核が大きく、排便とは関係なく常に外に出ている |
※当サイトでは表現をわかりやすく改変しています。
治療では漢方薬が使われることも
治療は進行度によって変わります。
Ⅰ、Ⅱ度では、生活習慣の改善や、塗り薬(軟膏)を用いた薬物治療が中心ですが、Ⅲ度より進行してしまうと、外科治療や注射による治療が必要になります。
痔核の治療にはいくつか方法があるため、まずは担当医としっかり相談することが大切です。
治療方針に不安や疑問が残ったら、別の医療機関にセカンドオピニオンをとってもよいかもしれません。
受診先は「肛門科」を標榜しているところが理想ですが、一般外科のなかにもしっかり診てくれるところがあるようです。最近では女性の医師がいる肛門科もあるので、調べてみてはいかがでしょう。
ちなみに、痔の治療で「漢方薬」を使うこともあります。
漢方薬の処方は、症状の進行度や体調によって変わりますが、「乙字湯(おつじとう)」などが用いられるようです。
自分に合った漢方薬を見つけるには、医師とコミュニケーションをよくとって、患者と医師の二人三脚で治療に取り組んでいくことが大事です。
痔の予防と改善のための3つのポイント
痔になりにくい、再発させない為の対策として、避けるべきポイントは下記の3つです。
- 長い間、座っていること
- 寒い場所に居続けること
- 排便時にいきむこと
また、アルコールやストレス、疲労なども悪影響を与えることから、節酒を心がけ、ストレスや疲れを溜めないような生活を送ることも大切です。
食事では、海藻やキノコなど食物繊維が豊富な食材を摂り、水分を多めに摂りましょう。
半身浴や入浴などで下半身を温める、冷えたオフィスではひざ掛けをするといった、冷え対策も有用です。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
参照
肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)・直腸脱 診療ガイドライン 2020 年版(PDF)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic医療ライター・山内