漢方ビュー通信

2月に入ったら始めたい、花粉症の「初期療法」って?

2020年、スギ花粉の飛散時期や量は?

花粉症の人を悩ませる、春がもうすぐやってきます。
まだ先のことだから…と思っていないで、今から対策を。じつは花粉症では「初期療法」がとても大切なのです。

まずは、2020年の飛散の傾向からみていきましょう。
日本気象協会の春の花粉(スギ・ヒノキ)飛散予測(第2報)によると、2020年1月は全国的に気温が平年並みか高くなるものの、2月は冬らしい寒さになると予想。
スギ花粉が飛び始める時期は例年並みで、東京と福岡は2月10日ごろ、大阪は2月24日ごろ、仙台は2月25日ごろになりそうです。
飛散量は、西日本や関東までは例年より少ない見込みで、東北はおおむね例年並み、北海道はやや多いと予想しています。

飛散が少なくても油断禁物。大気汚染で症状悪化も

花粉症とは、「ある特定の花粉に対するアレルギー反応によって起こる症状」のこと。
スギやヒノキが知られていますが、そのほかにもブタクサ、ヨモギ、イネなども花粉症の原因となります。こうした花粉は何かしら飛んでいるため、最近は「1年中、花粉症」という人もいるようです。

さて、話をスギ・ヒノキの花粉症に戻すと、先の予測通りだと今年の春はラクに過ごせそうな気もしますが、油断は禁物です。というのも、近年、ディーゼル排気などの大気汚染が花粉症の症状を重くしていると指摘され始めているからです。
油断して何もしなかったら、いつもよりつらい…ということにならないよう、楽観視せずしっかりと対策をとったほうがよさそうです。

花粉症治療には根治療法と対症療法の2つ

花粉症に対して行われている治療は、大きく2つ。アレルギー反応を起こさないように体質を変える「根治療法」と、症状を抑える「対症療法」です。

根治療法の代表的なものが、スギ花粉のタンパクエキス入りの薬を舌の下から吸収させる舌下免疫療法。2014年から健康保険が適用になっていますが、治療を始められるのは原則、花粉症の季節が終わってからになります。

一方の対症療法では、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬などが使われます。
症状をもたらす原因物質(ヒスタミンなど)の放出を減らしたり、原因物質が神経や血管に作用するのをブロックしたりします。
効果は高いものの、眠くなるなどの副作用があるので、職種などによっては服用には注意が必要になるケースもあります(最近は眠気が出にくいタイプも出ています)。
漢方薬では、「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」がよく使われます。

花粉が飛ぶ2週間前から薬を飲み始める

対症療法で重要なのが、花粉が飛ぶ2週間ほど前から薬を飲み始める「初期療法」です。
事前に薬を使い始めることで、症状をもたらす原因物質の作用を早い段階から抑えることができます。
症状が起こってから慌てて治療を始めるのではなく、症状が始まる前からしっかり対策をとる。
これが花粉症の時期を快適に過ごすポイント。そのためにも2月に入ったら花粉の飛散状況をこまめにチェックするようにしましょう。

なお、初期療法の考え方はセルフケアでも有効とのこと。以下のような対策を早めにとることをおすすめします。

マスクや帽子、専用のメガネを着用する
室内の掃除はこまめに行う
洗濯物は室内干しにする
部屋に入る前に花粉を落とす
衣類は花粉が付きにくいポリエステルや綿製品を着用する

毎年、花粉で悩まされるという人は、初期療法とセルフケアを実践して、快適に過ごすことができるように対策をしておきましょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

参照

日本気象協会
https://tenki.jp/pollen/expectation/

国立環境研究所
https://www.nies.go.jp/fushigi/050504.html

厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/kafun/dl/ippan2.pdf
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/kafun/dl/ippan-qa_a.pdf

Jan 31 2020

医療ライター・山内

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