漢方ビュー通信

もうそんな時期!?花粉症などのアレルギー対策は済んでますか?

もうそんな時期!?花粉症などのアレルギー対策は済んでますか?

立春(2/4)から春分(3/21)頃にかけて吹き始める強風、春一番。
春の訪れもあと少しかと期待しつつも、同時にやってくるのが、大量の花粉や黄砂、PM2.5といった厄介者たち。鼻や目、喉などに張り付いて、くしゃみや喉の痛み、目のかゆみなどを引き起こします。この時期の悩みとして、困っている人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は薬剤師である筆者が、花粉症などを始めとするアレルギー症状と免疫の仕組みについて解説します。

免疫の働きによってカラダは守られています

私たちのカラダには、リンパ球や顆粒球、マクロファージなどの免疫細胞が存在しており、異物が侵入した際に反応し、カラダを守ってくれます。

例えば、花粉がカラダに侵入すると、イメージとして、まずはマクロファージが第一関門となって異物を食べてくれます(自然免疫)。そして、その異物の情報がリンパ球のひとつであるヘルパーT細胞(Th細胞)に伝わり、IgE抗体をつくりだし、再び花粉が侵入してきても排除できるように準備をします(獲得免疫)。

また、少し専門的になりますが、カラダに侵入してきた異物が、花粉やダニ、カビ、アレルゲンなどであれば、Th2細胞が働きIgE抗体をつくり、細菌やウイルスなど病原菌であればTh1細胞が働きIgG抗体をつくります。
このTh1細胞とTh2細胞は、お互いに暴走しないように抑制しあっていると考えられていますが、そのバランスが崩れた時に、アレルギー症状が悪化し、免疫異常を起こすとされています。

ちなみに、近年、除菌や消毒などを頻繁に行うようになったため、Th1細胞が働く機会が減りました。そのため、免疫機能がバランスを乱し、アレルギー症状を感じる人が増えているともいわれています。

自然の力で免疫のバランス調整を

自然の力で免疫のバランス調整を

子供の頃に、土遊びや草木を摘んだりして遊ぶと、カラダが強くなると聞いたことはないでしょうか。じつはこの話、あながち間違いでもありません。
土壌には、もともと細菌が存在しており、その細菌由来の成分であるLPS(リポポリサッカライド)にはアレルゲンを除去したり、抗体産生に関わるマクロファージを活性化させたりする働きがあるといわれているからです。
また、土を触ること以外にも、根菜や雑穀などの植物にもLPSは多く含まれるため、免疫のバランスを整えるために食事に取り入れることも効果的です。
さらに、このLPSは、主に植物の根などを使うことが多い漢方薬にも多く含まれていることがわかってきています。

漢方入門!漢方薬の名前に隠された秘密を解説

漢方薬には、花粉症の症状を和らげてくれるものもあります。
毎年、抗ヒスタミン剤などの薬が手放せない人や、眠気や集中力の低下などの副作用が気になっているような人に、“眠くならない”漢方薬はおすすめです。
来るべき春の始めにやってくる厄介者対策として、漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談して、選択肢のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

Jan 25 2022

薬剤師・大久保 愛

関連コンテンツ