漢方ビュー通信

寒い季節はトイレが不安…尿トラブルの対策について

寒い季節はトイレが不安…尿トラブルの対策について

寒くなるとトイレが近くなるのはなぜでしょう?
さっき行ったはずなのにまた行きたくなる…寒い夜にはトイレに起きてしまう…このような人も多いかもしれません。

排尿の悩みとして、頻尿や尿もれなどが挙げられますが、じつは深刻な病気が潜んでいる場合もあります。

今回は薬剤師である筆者が、尿トラブルについて解説します。

冷えるとどうしてトイレが近くなるの?

冷えるとトイレが近くなるのには、いくつかの原因が考えられています。

まず、寒い時は暑い時と比べて汗が出にくくなるので、その分を尿から排泄しようとするカラダの反応であること。そして、寒いと膀胱周辺の筋肉が収縮するため、尿を貯めておくことのできる量が減少し、尿意を早く感じることになるからです。

通常の排尿の頻度は、1日に5〜8回くらいが平均といわれています。
もし、それ以上の頻度でトイレにいく人は、頻尿もしくは何か他に原因があることが考えられます。

ちなみに、トイレを我慢しすぎると膀胱炎になるのは、膀胱に溜まっている尿に大腸菌などの細菌が繁殖してしまうためです。尿意を催してもトイレを我慢しがちの人は特に気をつけましょう。

尿トラブルに隠された病気

尿トラブルに隠された病気

そもそも排尿について他人と比べる機会がないので、自分が正常な状態かどうか分からない人も多いのではないでしょうか。
一般的に、正常な排尿とは、1回の排尿量200〜300ml程度(コップ1杯ぐらい)、1日の排尿回数は前述したように5〜8回が標準的とされています。
これをもとに、尿トラブルから考えられる病気やカラダへの影響を解説します。

尿量が少なめで頻度が増えている状態は…

加齢、脳や神経の病気、前立腺や子宮の異常などの影響を受けていることがあります。
特に、加齢によって骨盤底筋の筋力が低下すると、くしゃみや咳、階段の上り下りなど、急に力が加わった時に尿もれを起こしやすくなります。
また、肥満気味で内臓脂肪が多い人も、腹圧がかかり尿もれを起こすことがあります。

一回に出る尿の量と頻度が増えている状態は…

糖尿病や腎臓病、医薬品の影響を受けていることがあります。
当然ながら、水分の摂りすぎでも起こります。

器質的な異常がないのにトイレの回数が増えている状態は…

精神面が影響している可能性があります。トイレが気になって何度も行ってしまったり、すぐに行けない状況だと不安を感じてしまう状態です。そのため、寝ている間のトイレは基本的にありません。

その他の問題として

膀胱癌や前立腺肥大、子宮筋腫、尿路系の炎症、臓器の下垂による圧迫から尿もれ・頻尿を起こしていることがあります。

尿トラブルの対策4つ

頻尿や尿もれなどの尿トラブルに対して、身近なことからできる対策を紹介します。

1)利尿作用のある飲み物を控える

水分摂取の際に、利尿作用のあるコーヒーや緑茶、エナジードリンク類、アルコールなどを選んでいては、どうしてもトイレの回数が増えてしまいます。摂取する水分の種類にも気をつけましょう。

2)骨盤底筋を鍛える

移動中や座っている時などに、肛門をキュッと締めるように力をいれて30秒キープします。
気が付いた時に何度もやってみましょう。

3)膀胱周辺を温める

カラダが冷えたことにより筋肉や血管が収縮し、頻尿を招きます。
スクワットなどの運動をしたり、カイロを貼ったり、なるべく湯船につかるなど、カラダが温まるようにしましょう。

4)漢方薬を試す

冷えからの頻尿、心因性の頻尿、年齢による頻尿などさまざまな原因に対して改善を促してくれるものがあります。
それぞれの症状ごと、その時のカラダの状態、個々の体質などで選択される漢方薬は異なりますので、気になるようであれば漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみましょう。

自律神経の乱れには漢方薬が効果的な場合も

尿トラブルで怖いのは、恥ずかしいからといって専門家や泌尿器科から遠ざかってしまうこと。
明らかにトイレの回数が増えたり、血尿や痛みを伴うような時、また何か気になる時には、早めに医療機関に相談するようにしましょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

Feb 12 2020

薬剤師・大久保 愛

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