パニック障害、不安障害を解説
突然、襲ってくる不安や恐怖感による発作…
何の前触れもなく繰り返されるこのような症状を、パニック障害や不安障害と呼びます。
じつは、このような症状に襲われた経験のある人は少なくありません。
症状が悪化すると、自分の行動に制限をかけたり、生活に支障が出たりとツライ思いをしてしまいます。
今回は、薬剤師である筆者がこのパニック障害、不安障害について解説します。
パニック障害、不安障害とは
不安な感情やドキドキするような症状は、誰もが感じるものです。
しかし、パニック障害や不安障害は、それらが日常生活に支障をきたすほどのレベルで発生する症状になります。
人それぞれですが、強い不安とともに動悸や息苦しさ、呼吸困難、胸の痛み、吐き気、胃腸障害、めまい、寒気などの症状が襲ってきます。
症状は、約10分程度で治まるとされていますが、突然起こる発作のようなものなので、何か重い病気に罹っているのではないかと不安になってしまう人もいるでしょう。
しかし、残念ながらパニック障害や不安障害の原因はまだはっきりと分かっていないため、受診をしたとしても、異常が見当たらないと診断されてしまう場合もあります。
また、パニック障害や不安障害は、すぐに治るといった病気ではありません。一度の発作で終わりというわけではなく、慢性的に不安な状況が続くことになります。
症状には3つの分類があり、パニック発作、予期不安、広場恐怖があります。
次に、それぞれ解説します。
<パニック発作>
突然、強い不安感を感じ、身体的・精神的な症状を伴いますが、短時間で治まります。
症状としては、動悸や息苦しさ、呼吸困難、胸の痛み、吐き気、胃腸障害、寒気、めまい、現実ではない感覚、発汗、恐怖心、震え、のぼせなど多岐にわたります。
また、パニック発作が起こる要因には、特定の状況に反応するものと、きっかけがなく突然起こるものとがあります。
時間が経過することで回復することがほとんどですが、発作を繰り返すことで重度のパニック症に進行していく可能性もあります。
<予期不安>
パニック発作を繰り返し起こすことで、次も起こるかもしれないという恐怖心を抱えている状態です。
<広場恐怖>
慣れていない場所や人混みの中、閉鎖されている空間にいるときに恐怖を感じます。
そのため、電車やエレベーター、映画館、美容室、会議室、デパートの地下などを避けたくなる傾向があり、悪化すると、親しい人が傍にいたとしても家の近くまでしか外出できなくなってしまうような状態です。
症状のレベルに合わせた治療法を
このようなパニック障害や不安障害の治療では、医師の判断によって、抗うつ剤や抗不安薬などの薬物療法が用いられます。
その他、思考の癖や行動を見直す認知行動療法や暴露療法などもあります。
また、症状の程度によっては、漢方薬が有効な場合もあります。
症状が複数存在するこれらの障害に対して、カラダ全体を診て、不安の原因になっているところへアプローチを図ります。そうすることで、原因となっている不安やストレスを取り除き、精神的なケアを行っていくのです。
つまり、肉体的な症状が起こらなくなることで、自然と不安を感じることが少なくなっていくと考えるのです。
漢方には、「心身一如(しんしんいちにょ)」という考え方があります。
これは、“ココロとカラダは一つであり、ココロを健康に保てばカラダも健康になり、またカラダが健康であればココロにも健康がもたらされる”というもので、心身の調和とバランスを重視している考え方です。
このケースでの漢方治療は、西洋薬のような早い効果に期待できないかもしれませんが、その人の体質や症状に合った形で寄り添えるケアです。
長い間、精神的な悩みを抱えている人などは、一度、漢方に詳しい医師や薬剤師などに相談してみるのもよいかもしれません。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛